若菜 竜 院長の独自取材記事
金町わかな医院
(葛飾区/金町駅)
最終更新日:2026/08/03
JR常磐線・京成金町線の金町駅から徒歩4分、駅前通りから一本入った穏やかな通りに「金町わかな医院」はある。曽祖父の代から100年以上この地で医療を支えてきた歴史を受け継ぎ、4代目院長を務める若菜竜先生は、膠原病・リウマチ内科を専門とする医師だ。順天堂大学医学部附属順天堂医院などで研鑽を積み、現在も大学に籍を置きながら、「体と心を両方診るかかりつけ」を理念に、内科から精神科・心療内科まで幅広い診療を展開する。内科と精神科の医師が同じ院内で連携し、心身両面から患者を支える体制は同院ならではの強みだ。やわらかな色調の明るい院内で、温かく穏やかで患者の話にじっくり耳を傾ける若菜院長に、何でも相談できるかかりつけ医としてめざす医療の姿を聞いた。
(取材日2026年7月18日)
全身を診る膠原病内科の専門性を地域に還元するために
まずは、クリニックについてご紹介ください。

「体と心を両方診るかかりつけ」をコンセプトに掲げ、内科・リウマチ科・アレルギー科・皮膚科・精神科・心療内科の診療を行っています。曽祖父の代からここ金町で100年以上にわたって医療を続けていて、私で4代目になります。来院された方から「お父さんの代の眼科に通ってたよ」と声をかけていただくことも。そんな時は、地域とのつながりを改めて実感しますね。院内は明るくやわらかな色調で統一し、待合スペースにはゆとりを持たせました。ソファーは向かい合わせにせず患者さん同士の視線が交わりにくい配置にしていて、内科と精神科の診察エリアも明確に分けた設計です。どなたにも安心して過ごしていただける空間づくりを心がけました。
膠原病内科を専門にされた理由をお聞かせください。
もともと内科の中でも全身を診られる分野に興味があり、さらに自分のスペシャリティーを持てる領域として膠原病内科を選びました。順天堂大学医学部附属順天堂医院で臨床研修を行った後に膠原病内科へ入局し、済生会川口総合病院などでも研鑽を積みながら、日本内科学会総合内科専門医と日本リウマチ学会リウマチ専門医の資格を取得しています。膠原病は全身を上から下までくまなく診察・検査し、得られた所見を一つ一つ組み合わせて、ようやく診断にたどり着くような疾患です。その難しさこそがやりがいだと感じています。現在も順天堂大学の膠原病内科学講座に在籍し、先進的な治療にふれ続けることで知識をアップデートしながら、当院の診療へと還元しています。
開業された背景にはどんな思いがあったのでしょうか。

大学病院の外来はとても多くの患者さんが通われていて、一人ひとりに十分な診察時間を取るにはどうしても時間が足りませんでした。最後の頼みの綱として膠原病内科を受診していただいても、膠原病の診断がつかなければ仕組み上、そこで関わりが終わってしまいます。自分でクリニックを開くことで、なかなか診断がつかなかったり、あるいは西洋医学で病名がつかなかったりといった症状にお悩みの方々にもしっかり時間をかけて向き合うことができれば、という思いがありました。以前からこの金町で地域医療に取り組みたいとも考えていたこともあり、どんな些細なことでも気軽に相談していただける、地域のかかりつけ医として皆さんのお力になることができればと思っています。
内科と精神科の連携で、体にも心にも寄り添う
体と心の両面を診るために、どのような体制を整えていますか。

膠原病内科では、慢性疾患を長く経験するうちに気分が沈んでしまう方や、病気そのものが精神症状を引き起こすケースを多く経験してきました。体の不調と心の不調は切り離せないと実感したことが、連携体制を整えたいと考えた原点です。当院には精神保健指定医の資格を持つ医師が在籍し、私自身も内科と精神科の両方を診ています。例えば精神科に通う方が体の痛みやめまいを訴えた場合、通常は別の医療機関に紹介されることが多いのですが、当院では内科的な検査まで院内で完結できます。医師同士が綿密にやりとりできるのも同じクリニックだからこその利点です。開業直後から「内科も精神科もここで相談したい」という方が来てくださっていて、大きなニーズを実感しています。
身近な症状の中にも、専門家だからこそ気づけることはありますか?
大事にしているのは、予断を持たないことです。膠原病は珍しい疾患ですから、まずは考えられる病気の可能性をきちんと見極めるようにしています。その上で専門知識が生きる場面は確かにあって、例えば整形外科でエックス線に異常なしと言われた関節痛でも、関節リウマチなど自己免疫疾患の可能性を含めて内科的に診断を見直すことができます。患者さんがぽろっと口にした「爪の周りが荒れている」という一言から、皮膚筋炎や全身性エリテマトーデス(SLE)を疑うきっかけが生まれることもあります。「病院に行くほどではないけど気になる」という段階のご相談は、むしろ得意なところだと思っています。会話の中から手がかりを拾い上げ、必要な検査につなげるのが私の役割ですね。
治療の選択肢を広げるために、工夫されていることはありますか。

火曜の内科を担当する星野先生は、漢方診療の分野で活躍されている方で、日本内科学会総合内科専門医・日本消化器病学会消化器病専門医としての豊富な経験もお持ちです。漢方は病気ではなく「状態」に使えるお薬なんですよね。例えばご高齢の方で体力が落ちてつらそうでも、西洋医学では病名がつかないことがあります。漢方であれば今の体質や状態を見た上でお薬を提案できるので、病名がつかなくてもできることが増えるんです。私一人で全部頑張るというより、精神科の先生や漢方に詳しい先生など、いろんな先生の力を得ながらチームとして診療にあたりたいと考えています。それぞれの専門性を生かすことで、患者さんに提供できる医療の幅が広がると思っています。
誠実に向き合い、気軽に相談できるかかりつけ医へ
患者さんとの向き合い方で、心がけていることはありますか。

患者さんのお話を止めないようにしています。自分からいろいろ話したい方もいらっしゃいますので、言いたいことが終わってから私が質問するようにしていますね。逆にあまりお話が得意でない方には、こちらから少しずつお聞きしながらやわらかい雰囲気をつくるよう心がけています。結局、医療といっても人間と人間が話しているわけですから、信頼に値する人間でありたいという気持ちが根底にあります。私自身が信頼できると感じるのは、誠実に向き合ってくれる人です。だからこそ医師と患者という関係ではなく、人と人として向き合いたい。最新の医療がその方にとって最適とは限りませんので、お話をしながら一人ひとりに合った医療を提案していきたいと考えています。
この地域で、今後どのような役割を果たしていきたいとお考えですか?
何か相談したいことある時に、真っ先に思い浮かべてもらえる存在になりたいですね。受診するというより、「相談しに来ました」という軽い気持ちで足を運んでいただけるのが理想です。開業してみて意外だったのですが、若い方からの心の悩みの相談がとても多いんです。心の疲れや気分の落ち込みなど、これまで相談する場がなかった方たちに届いているのだと感じています。この先10年、20年と長いお付き合いを続け、世代を超えて頼っていただけるクリニックになることができれば、これ以上のことはありません。また、私は今も順天堂大学の外来に出ていますので、高度な医療が必要だと判断した場合には、自分自身で大学病院につなぐことができます。その点も、当院ならではの強みだと思っています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

風邪自体で熱や咳が続くのは1週間から10日程度です。それ以上長引く場合は別の原因が隠れている可能性がありますので、早めにご相談いただきたいと思います。健康診断で要経過観察や要検査の結果が出た場合も、ご自身で判断するよりは、結果を持って一度相談していただくのが安心です。早めに受診することで治療の選択肢は広がりますし、逆に我慢を重ねると、できることが限られてきてしまいます。これは心の不調も同じで、ちょっとしたストレスもため込んでいくと大きくなってしまうことがあります。体の悩みも心の悩みも、早い段階で相談することが大切ということですね。年齢を問わず幅広い方に対応していますので、迷われている方にこそ当院を思い出していただけたらうれしいです。

