古本 博嗣 理事長、森 龍太 院長の独自取材記事
ミモザ歯科
(広島市安佐南区/下祇園駅)
最終更新日:2026/08/27
「歯医者さんは、痛くなってから行くところ」というイメージを変えたいと語るのは「ミモザ歯科」の古本博嗣理事長と森龍太院長。東京で訪問歯科診療を学んだ古本理事長は広島に帰郷し父から歯科医院を受け継ぎ、高齢化が進む地域のニーズに応えながら訪問診療を発展させてきた。その後、「ミモザ歯科」を開院。新たな場所へ移転後、森院長を迎え、「地域の皆さんのお口の健康を、生涯にわたって守りたい」という思いのもと小児歯科・予防歯科にも力を注ぎ、0歳から高齢者までそれぞれのライフステージに寄り添う診療体制を築いている。開院10周年という節目を迎えた今、「生涯虫歯ゼロ」をめざす診療への思いや次の10年へ向けた展望について、古本理事長と森院長に話を聞いた。
(取材日2026年7月6日)
0歳から人生に寄り添う歯科医院
お二人のご経歴と、歯科医師をめざそうと思われたきっかけを教えてください。

【古本理事長】私は幼い頃から、人と深く関わる医療の仕事に就きたいと考えていました。母方は曽祖父の代から歯科医師で父も歯科医師という家庭でしたので、自然と歯科医師をめざすようになりました。大学卒業後は東京で一般診療に加え、訪問歯科診療にも携わってきました。「訪問診療を広島にも広めたい」という思いが、現在の診療体制につながっています。
【森院長】私は、最初は工学部へ進学しましたが、自分の進路を見つめ直す中で医療の仕事に興味を持ちました。実家が米屋だったことから「食」に関わりたいと思い、「食事」を支える歯科医師になろうと考え、改めて歯学部へ進学しました。
安佐南区で開院を決めた理由は?
【古本理事長】当初は父が開業した歯科医院を引き継ぎ、西原で診療を行っていました。この地域には子どもから高齢の方まで幅広い世代が暮らしており、一人ひとりの人生に長く寄り添えること、そして患者さんとの距離が近く、地域密着の医療を実践できる環境に魅力を感じ、この場所で診療を続けることを決めました。移転を機に、小児歯科や予防歯科にも力を入れ、生涯を通して通える歯科医院をめざしてきました。一人では実現が難しかった理想も、森先生が院長として加わってくださったことで一つ一つ形にすることができています。外来では予防を中心とした診療を行い、通院が難しくなった患者さんには訪問診療で寄り添うなど、私たちが思い描いてきた歯科医療が少しずつ実現できていると感じています。
この10年間を振り返って、印象に残っていることや感じることがあれば教えてください。

【古本理事長】父の後を継いだ後訪問歯科診療を始めましたが、当初は知り合いも少なく、苦労しました。患者さんとの関係づくりから始め、少しずつ軌道に乗っていったのですが、事業を拡大した矢先に新型コロナウイルス感染症が流行。経営的にも大変な時期でした。それでも森先生と一緒に診療方針や歯科医院づくりについて何度も話し合いながら、予防歯科や小児歯科に力を入れた歯科医院づくりが実現できたことは、とてもうれしく思います。がむしゃらな毎日でしたが、無事に10周年を迎えられて身の引き締まる思いです。
「生涯虫歯ゼロ」の実現をめざして
クリニックの特徴や強み、力を入れている診療や院内でこだわったところはありますか?

【森院長】当院の特徴は0歳から高齢者まで、生涯にわたってお口の健康を支えられる診療体制にあると思っています。幼少期には、虫歯ができる前から「歯科に通う」習慣づくりをサポート。青年期には、できてしまった虫歯を進行させないため定期的なメンテナンスを行っています。働き盛りの世代には歯周病の予防や治療、高齢期には入れ歯や噛み合わせ、訪問診療など年代に応じた歯科医療を提供しています。院内は大人と子どものスペースを分け、授乳室やおむつ替えスペース、子ども用トイレも完備しています。また、0〜3歳のお子さんのために「アリスルーム」という診療室を設け、保護者の膝の上で診療を受けられる「膝上診療」を行っています。歯科医院に通うことが習慣となるような空間づくりが特徴です。
外来診療から訪問診療まで、幅広く対応されておられるんですね。
【古本理事長】現在は「8020運動」の成果もあり、高齢になっても多くの歯を残している方が増えています。一方で、要介護になるとご自身で口腔内を管理することが難しくなり、歯周病や虫歯が進行します。近年では、全身疾患と歯周病の関連性もわかってきています。痛みの症状がないと思っている方も、実際に健診すると口の中に問題があるケースもあります。大切なのは、外来診療と訪問診療を切り離さず、子どもから高齢者まで、一人の患者さんと長くお付き合いできること。それが私たちの強みだと思っています。人生100年時代、外来で築いた信頼関係をそのまま訪問診療へつなげながら、お口の健康をずっと支えていきたいと考えています。
小児歯科にも力を入れていらっしゃいますね。

【森院長】私たちは「0歳から予防歯科は始まっている」と考えています。0歳で歯医者さんデビューは早いと思われがちですが、乳幼児期の歯科受診はご両親が正しい知識を学ぶことにもつながり、それがお子さんの健全な口内環境にもつながります。また、虫歯予防のためには歯磨きだけでなく3ヵ月ごとのメンテナンスも必要なので、成長に合わせてお伝えしています。このように、お子さんを段階的に診ていることも当院の特徴です。診療も、いきなり治療から始めることはありません。まずは「アリスルーム」で保護者の膝の上に座り、歯科医院に慣れることから始めます。その次は子ども専用の「牛さんのユニット」へ。さらに通常の診療台へと段階的に進み、お子さんが歯科医院を嫌いにならないよう工夫しています。3歳までに歯科医院に行った子は虫歯が少ないといわれており、早い時期から通うことには大きな意味があると考えています。
スタッフと思いを共有しながら一歩ずつ
開業10年を迎え、新たな取り組みや展望はありますか?

【古本理事長】開院から10年がたち、訪問診療と外来診療が少しずつ地域に根づいてきたことを実感しています。一方で、歯科医療は日々進歩しています。現状に満足することなく、新しい知識や技術を積極的に取り入れながら、地域の皆さんにより良い医療を提供していきたいと考えています。訪問診療では多職種連携をより強くし、顔の見える関係づくりが急務だと思っています。その上で、歯科医師ができる専門性の高い部分については、日々研鑽を積んでいきたいです。一方で「生涯虫歯ゼロ」を目標に、予防を中心とした歯科医療を提供するという私たちのポリシーは変わりません。これからも外来診療と訪問診療の両輪を充実させ、地域の皆さんが安心して相談できる歯科医院であり続けたいと思います。
患者さんと向き合う中で、大事にしていきたいことを教えてください。
【森院長】大切にしているのは、患者さんのお話に耳を傾けることです。初診では、これまでの経過やお困り事だけでなく、その方が本当に求めている治療を理解するよう心がけています。治療方法についても、複数の選択肢をご提案し、それぞれのメリット・デメリットをわかりやすくご説明します。ご納得いただいた上で、ご自身で治療を選択していただくことが大切だと考えています。一方、訪問診療では認知症や要介護などにより、意思疎通が難しい患者さんも少なくありません。ご家族や介護に関わる方々が「どのような生活を送ってほしいのか」「どのように支えていきたいのか」。その思いを受け止めた上で、歯科医療として何ができるかを考え、一人ひとりの生活に寄り添った診療を提供していきたいと思っています。
最後に、今後の目標について教えてください。

【古本理事長】この10年は、がむしゃらに走ってきました。これからは、どういう歯科医院でありたいのか。その姿を皆と共有しながら、一歩ずつ積み重ねていきたいですね。私たちの考えを地域の皆さんに伝えていくことも大切だと思いますし、何より自分たちが思いを体現していくことが必要だと思っています。大所帯になりましたが、チームで同じ方向を向いて歩む10年にしたいです。
【森院長】予防が大切と言い続けていますが、もちろん治療も大切です。治療は更なる悪化を防ぐための予防の一部と考えています。より良い治療や診療を提供するために知識や技術の研鑽を続けながら新しい設備や機器も積極的に取り入れていきたいと思います。予防や生活習慣のサポートも含めて、地域の皆さんの健康を支え続けていくことが私たちの役割だと考えています。

