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福田 豊 院長の独自取材記事

ふくだ小児クリニック

(横浜市泉区/いずみ中央駅)

最終更新日:2021/10/12

福田豊院長 ふくだ小児クリニック main

相鉄いずみ野線・いずみ中央駅から徒歩5分、長後街道沿いのいずみ中央クリニックビル3階にある「ふくだ小児クリニック」。1996年の開院以来、丁寧な診療とスタッフの親身な対応で、近隣はもちろん遠方から電車を乗り継いで訪れるたくさんの子どもたちの健康を守ってきた小児科医院だ。患者の待ち時間をできるだけ短縮するために二診制を取り入れ、福田豊院長と常勤の医師、および大学病院から派遣された医師で、日曜日の午後と祝日以外、毎日診療にあたる。相手に安心感を与えるおおらかな人柄、気さくでユーモラスな福田豊院長から、診療方針や新しい小児科分野の医療、医療にかける思いを聞いた。

(取材日2020年12月9日)

子どもの顔を見て、体に触れる診療に注力

クリニックの診療方針をお聞かせください。

福田豊院長 ふくだ小児クリニック1

1996年の開業から25年になりますが、「的確な診断、的確な治療」この方針は変わっていません。子どもの顔つき・動き・機嫌などに注意しながら、実際に目で見て触れて診断します。良くなるのも悪くなるのも変化が早いのが子どもの病気の特徴ですから、発熱や咳といった表面的な症状から判断するだけでは不十分です。例えば、子どもが腹痛だけを訴えている場合は、必ず下肢もチェックするようにしています。下肢に出血斑があればアレルギー性紫斑病の可能性を疑わなくてはいけません。さまざまなケースを想定しながら、頭のてっぺんから足の先まで総合的に診るようにしています。

25年の間に、地域や患者さんの傾向などに変化はありましたか?

小学校の内科健診を担当する多くの医師からは、子どもの数が減っていると聞かされます。全体的な傾向として、病気自体が軽くなっている印象はあります。昔だったら入院が避けられない状態の子も、治療法や予防法が進化して、コントロールしやすくなったと思います。アレルギー疾患など病気に対する理解も進んでいますし、ワクチン接種についてもこの地域ではしっかりできているように思います。ただし、子どもの病気そのものがなくなっているわけではないので、重症化しやすい状態や合併症などには引き続き注意しています。

子どものワクチン接種については、最近大きな指針変更がありましたね。

福田豊院長 ふくだ小児クリニック2

生後2ヵ月の乳児から幼児の間に接種しないといけないワクチンは種類が多く、これまで親御さんたちの混乱のもとになっていました。1種類ずつ打つと何度もクリニックに通わなくてはなりませんし、次のワクチン接種まで4週間以上待たないといけないものもあって、うっかりしていると未接種のワクチンがどんどんたまってしまう状態でした。当院ではこれまでも複数ワクチンの同時接種についてご相談に応じてきましたが、2020年秋からロタウイルスワクチンが定期接種となり、さらに接種間隔も見直されました。当院では感染症対策として14時から15時を予約なしでワクチン接種ができる時間帯に設定し、病気で来院された患者さんとの接触を避けるようにしています。

アレルギー治療に用いる舌下免疫療法は5歳から可能

小児科だけでなく、皮膚科とアレルギー科も受診できるそうですね。

福田豊院長 ふくだ小児クリニック3

近年、アレルギーの症状を訴える子どもは増えています。アトピー性皮膚炎は皮膚科に、喘息は小児科に、アレルギー性結膜炎は眼科に、となりがちです。これらはすべてアレルギーの分野ですから、1ヵ所ですべて対応できれば、子どもにとっても親御さんにとっても良いことですよね。私は日本アレルギー学会認定のアレルギー専門医として、喘息以外の多くのアレルギーの子どもを診てきました。また、当院では大人の患者さんの診察もしています。5歳以上のアレルギー性鼻炎の患者さんには、スギ花粉とダニの舌下免疫療法を行っています。舌下免疫療法では扱いやすい舌下錠で保険も適用され、ほかのお薬と併用することもできます。治療には時間がかかりますが、症状に悩んでいるという方はぜひご相談いただければと思います。

夜尿症の治療も行っていると伺いました。

睡眠中におしっこをしてしまうことを、5歳未満は「おねしょ」、5歳以上で月1回以上のおねしょが3ヵ月以上続くと「夜尿症」と呼びます。10歳くらいになれば自然に治るといわれてきましたが、最近は小学4年生くらいになると宿泊を伴う活動があるため、早めに治したい方が増えているようです。夜尿症は薬による治療法もありますが、規則正しい生活をするのが基本です。飲んだ水分が膀胱から出るのに2時間ほどかかるため、夕食後1時間くらいで寝てしまうと、夜中に尿意を催すことになります。そうならないよう、夕食から寝るまで時間を長くする、水分補給を控えめにする、寒い時期は保温に努めるなど工夫が必要です。

夜尿症にも薬があるんですね。

福田豊院長 ふくだ小児クリニック4

夜尿症の治療に用いる抗利尿ホルモン剤は、もともと点鼻薬だったものが、近年は内服薬もできて使いやすくなりました。実は、私が腎臓専門の外来で働いていた時の後輩たちが治療のガイドラインの作成に携わっていました。現在、多くの小児科医はこのガイドラインを参考にして治療しております。夜尿症で悩んでいる子どもや親御さんはたいへん多いものです。子どもたち自身が恥ずかしくつらい思いをしているのを、後輩たちがくんで取り組んだ仕事ですから、私も後輩たちを応援したくなりました。私は日本腎臓学会腎臓専門医の資格も持っているので、大人も含め、夜尿症以外の腎臓疾患の相談を受けることも多いです。

親としての勘を信じ、普段と違うと感じたら受診を

医師を志したきっかけをお聞かせください。

福田豊院長 ふくだ小児クリニック5

少年時代はパイロットになりたいと夢見ていた普通の子でした。高校卒業後、最初は工学系の分野に進学したのですが、機械よりも人と接する仕事に就きたいと考えるようになったのです。今振り返っても大きなチャレンジでしたが、挑戦もせずに後悔するのは嫌だと思ったんですね。そして順天堂大学医学部に進学し、卒業後は順天堂大学医学部附属順天堂医院、スウェーデンのカロリンスカ研究所で診療と研究を続けました。大学病院で小児科を担当していた当時、アレルギーや喘息に悩む患者さんの多さを実感し、少しでも役立てばと、日本小児科学会小児科専門医とアレルギー専門医の資格を取得しました。カロリンスカでは腎臓の生理学を研究していたこともあり、帰国後は順天堂大学小児科の腎臓の外来を担当し、講師としても学生や院生らの指導も務めました。

診察ではどのようなことを心がけていますか?

何年やっていても、医師の仕事は怖いものです。怖さがなくなった時が一番怖いです。例えば風邪はよくある症状ですが、風邪ほど怖い病気はありません。風邪の合併症には気管支炎や肺炎以外まれではありますが、髄膜炎、脳炎、脳症、心筋炎など、命に関わる病気があるからです。ありがちな症状の陰に隠れているものを見逃さないよう自分に言い聞かせながら、診療を行っています。最近はオンライン診療が話題になりますが、小児科はやはり、子どもの顔つきを見て触って診察しないとわからないことが多いです。例えば、おなかを触って便がたまっていることを親御さんに伝えると「トイレにはちゃんと行っています」と言われることもよくあります。実際に十分な量の排便をしているか、見ていなければ親御さんにもわかりませんよね。ですから、電話での問い合わせやオンライン診療では、容易に診断ができないことが多いのが現状です。

読者にメッセージをお願いします。

福田豊院長 ふくだ小児クリニック6

お子さんの小さな変化に気づける感性を大切にしてほしいです。「いつもと泣き方が違う」というような変化は親御さんしかわかりません。子どもの様子の違いが一番よくわかるのは、やはり一緒に暮らしている家族です。家族だからこそ、重症か重症でないか察知できることも多々ありますから、その直感を信じてください。熱や咳だけで判断せず、普段と違うと判断すれば、親の勘を信じて遠慮なく連れてきてください。逆に、少々熱はあっても食欲はあるし元気もある、ということなら、まだ一刻を争う状況ではないですよね。過度に心配したり、慌てたりしなくて大丈夫でしょう。子どもにとっては、いつも一緒にいるご家族が「一番のお医者さん」ですが、困ったときはいつでも相談してください。

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