柳下 康博 院長の独自取材記事
ひなたこどもクリニック
(調布市/つつじヶ丘駅)
最終更新日:2026/08/05
深大寺市営住宅バス停目の前、メディカルモールの2階に2026年5月開業した「ひなたこどもクリニック」。院長の柳下康博先生は杏林大学医学部を卒業後、同大学医学部付属病院小児科で研鑽を積み、現在も大学と連携しながら診療にあたっている。調布市で生まれ育った柳下院長にとって、愛着あるこの街での開業は念願だった。深大寺や神代植物公園など自然を感じる場所が多いこの地域にちなんで院内は森をイメージ。植物がモチーフの壁紙に動物たちが隠れ、訪れる親子を温かく迎えてくれる。穏やかな笑顔が印象的な柳下院長は「一緒に子育てを楽しむ仲間がここにいるよ、という気持ちでいますので、何かあればいつでも声をかけてください」と話す。柳下院長に、アレルギー診療の体制や感染対策の工夫、地域の子育てを支える思いを聞いた。
(取材日2026年6月12日)
小児科医の少ない深大寺で、地元への愛着を胸に開業
まずは、こちらで開業された経緯をお聞かせください。

私は調布市で生まれ育ち、この街に愛着があります。杏林大学の小児科医局は多摩地区の小児医療を支える立場にあり、私自身も地域の子どもたちの診療に携わってきました。その中で、いつかはこの地域で開業し、地域医療に貢献したいと考えるようになりました。開業地を探していた際、深大寺エリアには1.5キロ圏内に15歳未満のお子さんが約5000人いるにもかかわらず、小児科を専門とする医師がいないことを知りました。さらに地域の方とのご縁にも恵まれ、この地で開業することを決めました。実際に診療を始めると、「待っていました」と声をかけてくださる方が多くいらっしゃいました。また、「これまでは車やバスで遠方の小児科に通っていた」というお話を伺うたび、この場所で開業してよかったと実感しています。
小児科の医師を志されたきっかけを教えてください。
もともと子どもが好きだったことに加え、高校生の頃から「未来に残るもの」に関わる仕事がしたいと考えていました。長い未来を担う子どもたちの健康を支える仕事として、小児科を意識したのが最初のきっかけです。杏林大学入学時から小児科を志望しており、初期研修を経てもその思いは変わらず、小児科に入局しました。卒業後は大学の関連病院で経験を積みながら、アレルギーの分野を専門的に学んできました。現在の専門は、食物アレルギー、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎です。開業後も月2回、杏林大学医学部付属病院のアレルギーの外来を担当しており、大学と連携しながら診療にあたっています。
院内の設計で工夫されたポイントを教えてください。

院内設計で最もこだわったのは、感染症対策の動線です。新型コロナウイルス感染症の流行後に開業したこともあり、隔離室を3室設け、発熱など感染症が疑われるお子さんと、それ以外の症状のお子さんの動線を分けました。隔離室では私が直接診察に伺い、処方箋の発行から会計までを室内で完結できるようにしています。そのままお帰りいただけるため、他の患者さんとの接触を最小限に抑えられます。また、乳幼児健診や予防接種も一般診療と時間帯を分け、低月齢のお子さんが安心して受診できる環境を整えています。内装のテーマは「深大寺の森」です。植物をモチーフにした壁紙には動物たちが隠れており、お子さんが楽しみながら過ごせる工夫を取り入れました。親御さんにとっても、少しでも気持ちよく通っていただける空間をめざしました。
大学病院と連携し、アレルギーの不安に丁寧に寄り添う
アレルギー診療はどのような体制で行っていますか?

当院では、クリニックと杏林大学医学部付属病院が連携した体制でアレルギー診療を行っています。私自身が両施設で診療しているため、病状に応じた適切な医療を切れ目なく提供できることが強みです。例えば、食べ物を口にして症状を確認する食物負荷試験は、軽症例であれば当院で行い、重症例や入院管理が必要な場合は大学病院で対応しています。院内には呼吸機能検査やプリックテストなど、アレルギー診療に必要な検査機器も備えています。大学病院での専門的な治療から地域での継続的な管理まで一貫してフォローできるため、通院負担の軽減や重症化の予防にもつながっています。大学病院で治療を受けていた患者さんを当院で継続してフォローするケースもあります。
小児科では保護者の不安への対応が必要になる場面も多いのではないでしょうか?
アレルギーについて不安をお持ちの保護者の方には、まずじっくりお話を伺います。いつ、何を食べて、どのような症状が出たのか、そのときの体調はどうだったのかを丁寧に確認すると、実はアレルギーではないケースや、過度に心配する必要がないケースも少なくありません。例えば食物アレルギーを心配されている場合は、「その食品は普段食べていますか?」「症状は出ていますか?」と一つずつ確認していきます。問題なく食べられていることがわかれば、その場で安心していただけることもあります。食べさせること自体に不安を感じている親御さんもいらっしゃいますので、検査や診察を重ねながら、一つずつ不安を整理していくことを大切にしています。不安を解きほぐし、安心してお子さんを見守れるようお手伝いすることも、小児科医の大切な役割だと考えています。
お子さんの診察で心がけていることを教えてください。

小さなお子さんは自分で症状をうまく伝えられないため、触診をしながら表情や反応をよく観察して診療を行います。おなかを押したときに嫌がるか、元気に笑っているかなど、言葉にならないサインを丁寧に読み取ることを大切にしています。また、普段のお子さんの様子をよく知る親御さんのお話も欠かせません。診察ではお子さんと親御さん、両方から情報を伺いながら状態を判断しています。私自身も一児の父であり、子育ては教科書どおりにはいかないことを日々実感しています。だからこそ、親御さんの不安や悩みにも寄り添いたいと思っています。保護者の方はお子さんの健康を一緒に守る大切なパートナーです。それぞれのご家庭に合わせて、私にできるサポートをしていきたいと考えています。
子どもの笑顔を守る「子育ての仲間」でありたい
アレルギー以外では、どのような相談に対応されていますか?

便秘やおねしょ、離乳食の進め方など、「病院で相談するほどではないかもしれない」と思われる内容でも、気軽にご相談いただきたいと思っています。そうした日常の困り事の受け皿になるのも、小児科の大切な役割です。もちろん、すべてを私一人で解決できるわけではありません。ただ、お話を伺った上で、市の支援制度をご案内したり、必要に応じて専門の医療機関へご紹介したりすることはできます。小児科クリニックは地域の中で「相談の入り口」や「ハブ」のような役割を担える存在だと思っています。どんな小さなことでも構いませんので、困ったときは気軽に相談していただけたらうれしいですね。
今後、クリニックをどのように育てていきたいですか?
当院は「子どもの笑顔を守り、毎日を楽しむ」を理念に掲げています。お子さんだけでなく、親御さんやスタッフも含め、関わる人みんなが前向きな気持ちで過ごせるクリニックでありたいと考えています。そして、地域に根差した存在として、今通ってくれているお子さんが将来、自分の子どもを連れてきたいと思ってくれるようなクリニックをめざしています。2世代、3世代にわたって地域の子育てを支え、「行ってよかった」と思っていただけるクリニックであり続けたいですね。
最後に、読者へメッセージをお願いします。

相談するかどうか、迷わなくて大丈夫ですよ。些細なことでも構いませんので、気になることがあれば何でも気軽に聞いてください。お子さんのことで心配なことや、どこに相談すればよいかわからないことは、誰にでもあるものです。そんなときに、まず声をかけていただける場所でありたいと考えています。愛着のあるこの街で、子どもたちの笑顔を守り、その成長と長い未来を見守っていきたいと思っています。何か気になることがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。

