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辻野 元祥 院長の独自取材記事

つじの内科クリニック

(国分寺市/国分寺駅)

最終更新日:2026/08/05

辻野元祥院長 つじの内科クリニック main

都内でも人口増加と老齢化率の上昇が著しい国分寺市に、2026年に開業した「つじの内科クリニック」。日本糖尿病学会糖尿病専門医である辻野元祥(つじの・もとよし)院長は、東京都立府中病院時代から東京都立多摩総合医療センターに至るまで内科医として約30年間勤務し、内科部長や内分泌代謝内科部長などを歴任し、多くの患者を診てきた。穏やかでゆったりとした雰囲気の辻野院長は「医療者が幸せでなければ、患者に良い医療は提供できない」という信念のもと、自身やスタッフの働きやすさを重視したクリニックづくりをめざしている。辻野院長が全幅の信頼を寄せるスタッフとともにめざす「ウェル・ビーイング(well-being)」な医療とは何か。定年退職からの開業というチャレンジングな決断の裏側とともに、詳しく聞いた。

(取材日2026年6月25日)

自分自身の「居場所」として開業

クリニックを開業されたきっかけについて教えてください。

辻野元祥院長 つじの内科クリニック1

開業のきっかけは、親しい医師などからの勧めでした。定年退職が近づくにつれ、退職後の過ごし方について考える機会が増えていったのです。最初は趣味のテニスや映画鑑賞を楽しみながら、ゆっくり過ごすリタイアプランを思い描いていました。ところが、周囲から「定年後も自分の居場所があったほうがいいのでは」「これまで培ってきた知識や経験を地域のために生かしてみてはどうか」といった助言を受け、少しずつ開業を意識するようになりました。最終的には自分の「居場所」として、自分自身が無理なく、やりがいを感じながら働ける診療空間をつくりたいと思い、開業を決めました。ですので、開業当初は「世のため、人のために」という大きな使命感があったというよりも、自分らしく過ごせる居場所をつくりたいという思いのほうが強かったように思います。

ご家族の反応はいかがでしたか?

開業について最初に相談したのは妻でしたが、相当戸惑いがあったと思います。長年、私は病院の部長職として多忙な日々を送ってきました。ですので、定年退職によってようやく旅行などを楽しめる時期が来たと、妻も期待していたのでしょう。それが新規開業するとなれば、驚くのも無理はないですよね。それでも最後は私の考えを尊重し、今は事務長としてクリニック運営を担ってくれています。妻は別の糖尿病クリニックで8年間勤めた経験があるので、事務の知識は私より豊富です。時折「開業していなければこんな苦労はなかった」と冗談を言われることもありますが、スタッフと協働して支えてくれる妻には、本当に感謝しています。

開業時にはお祝いのお花で院内が埋め尽くされたと伺いました。

辻野元祥院長 つじの内科クリニック2

そうなんです。とてもありがたいことに、多くの方々から開業のお祝いとしてお花や観葉植物をたくさんいただきました。スタッフのご家族が描いてくださった私の似顔絵も、受付に飾っています。開業後はこれまで診療してきた患者さんが来院してくださり、医師冥利に尽きる思いです。病院では私の外来担当日でしか患者さんを診られなかったので、長くお待たせすることが多くありました。今は週5日診療日がありますので、以前よりも受診しやすくなっていると思います。それでも場合によっては、少しお待たせすることがあるかもしれません。できるだけお待たせしないよう予約制にしていますが、私は患者さんとしっかりお話しすることを大事にしたいので、どうかご理解いただけますと幸いです。

幸せのために治療をする場所に

クリニックの診療理念であるウェル・ビーイングについて、詳しく教えてください。

辻野元祥院長 つじの内科クリニック3

当院が掲げる「ウェル・ビーイング(well-being)」とは、患者さんはもちろん、スタッフ、そして私自身の三者がこの場所で満足を得られている状態を指します。私はクリニックを「自分の居場所」として開業しました。そのため、無理な収益拡大はめざさず、完全予約制で診療を16時で終了する体制をとっています。それは、医療に携わる人間がヘトヘトに疲れ果てていては、患者さんが納得できる診療を提供できないと思うからです。スタッフが幸せに働ける環境を整えることで、余裕を持って患者さんと向き合え、結果として質の高い医療を還元できると考えています。人生は仕事だけではありません。だからこそ、少なくとも仕事場は幸せな環境でスタッフに働いてほしい。それが勤務医時代から思っていることです。

糖尿病治療においても患者さんにとってウェル・ビーイングな診療を心がけていらっしゃるそうですね。

はい。糖尿病に限らずですが、患者さんは治療のために生きているわけではありません。趣味や友だちとの交流、家族の時間など、大切な生活がそれぞれにあるはずです。ですから、食事療法などの治療を一方的に押し付けるのではなく、患者さんのライフスタイルに治療をどう組み込んでいくかをともに考える姿勢を重視しています。私の強みは、糖尿病を専門とする医師として、数多くの治療の引き出しを持っていることです。幸い、糖尿病は薬の開発も進み、治療の選択肢も増えています。患者さんの人生に寄り添い、無理なく幸せな生活を送るための診療を行うことが、私のモットーです。

糖尿病の患者さんの中には、自己管理に悩む方もいらっしゃると思います。

辻野元祥院長 つじの内科クリニック4

そうですね。特に糖尿病は症状がわかりにくいこともやっかいな部分です。糖尿病のコントロールがうまくいかなかった場合、心筋梗塞や脳梗塞、四肢の切断といった重篤な合併症を引き起こす恐れがあるため、やはり糖尿病は怖い病気です。ところが、そうした血糖値のコントロールがうまくいかなかった患者さんはご自身を責めてしまうことがあります。それは、糖尿病が自己責任の病気のように考えられていることも、要因の一つでしょう。しかし、私は医師として、「どうしてこんな状態になるまで放っておいたんだ」という捉え方は、いささか傲慢のように思うのです。患者さんもそうしたくてなったわけではなく、やむを得ない流れの中でそうした結果になったのだということを理解しなければなりません。患者さんの人生を否定するのではなく、先入観や偏見を捨てて客観的に捉えることが大事だと考えています。

専門性の高い診療を身近なクリニックで

内分泌疾患の診療についても教えてください。

辻野元祥院長 つじの内科クリニック5

内分泌疾患には、甲状腺、副甲状腺、下垂体、副腎、性腺などの病気が含まれ、中でもバセドウ病などの甲状腺疾患は多く見られます。「疲れやすい」「疲れが取れない」といった身近な不調の背景に、内分泌疾患が隠れていることも少なくありません。そうしたケースに対し、専門的な知見を生かして一人ひとりに適した治療を行います。一般的に大学病院や基幹病院では受診に時間を要することもありますが、当院では内分泌疾患に関する専門的な診療を、気軽に受けていただけることが特徴です。

患者さんに伝えたいことはありますか。

私は、糖尿病や内分泌疾患をお持ちの患者さんにとって、人生は「こころの旅」のようなものだと考えています。こうした慢性疾患における診療は、急性期の医療とは異なり、疾患そのものだけでなく、患者さんのお気持ちとも向き合いながら丁寧にサポートしていくことが特徴です。だからこそ、私は患者さんの人生という旅に寄り添う「ツアーコンダクター」のような存在でありたいと願っています。また、糖尿病や内分泌疾患は、早期発見・早期治療が特に重要で、その後の人生を大きく良い方向へ導ける可能性がある領域でもあります。少しでも「何かおかしい」と感じたら、ぜひ早めに受診してください。患者さんが気軽に相談できるクリニックをめざすとともに、地域での医療連携にも取り組んでいきたいです。

今後の展望や先生ご自身のウェル・ビーイングについてお聞かせください。

辻野元祥院長 つじの内科クリニック6

多摩地域、特に国分寺・小金井・小平・府中の先生方とは幅広くお付き合いさせていただいてきました。病院に紹介するほどではないけれど、コントロールが今一つうまくいかないという患者さんがいらっしゃれば、喜んで対応させていただきたいと思います。糖尿病治療はほんのちょっと「スパイス」を効かせるだけで、患者さんの人生が変わることが少なくありません。糖尿病の患者さんも人生100年時代。血糖だけでなく、血圧や脂質なども含めて、糖尿病専門医としてのノウハウを地域に提供していきたいと思います。私自身については、マイペースに仕事ができれば幸せです。お金は、妻と元保護猫の“くるみ”が食べていけるだけで十分。無理はせず、趣味のテニスを楽しみながら、患者さんにしっかり向き合うことを大切にしていきます。