山本 詞央里 院長の独自取材記事
SIGNET Dental Clinic
(名古屋市中川区/八田駅)
最終更新日:2026/07/21
八田駅から徒歩5分、小川のせせらぎが心地良い閑静な住宅街に「SIGNET Dental Clinic」はある。2026年4月に開院した同院の院長・山本詞央里先生は、口腔外科を皮切りに、スウェーデンで経験を積んだ歯科医師が院長を務める歯科医院で予防歯科を学び、矯正や訪問歯科など多彩な現場で研鑽を重ねてきた。「口腔環境の土台が整っていなければ、どんな治療もうまくいかない」。その実感から、予防とメンテナンスを軸にした歯科医院を生まれ育った地元に開いた。モダンな外観は隠れ家のようで、吹き抜けの院内には木のぬくもりと穏やかな開放感が広がる。その明るく爽やかな人柄により、子どもから高齢者まで幅広い患者に親しまれている山本院長に、開業の経緯や診療への思いを聞いた。
(取材日2026年4月25日)
多彩な経験が教えてくれた、予防という原点
まずは先生が御院を開業されるまでの経緯を教えてください。

愛知学院大学を卒業後、研修医時代の口腔外科からキャリアをスタートしました。最初に勤めた歯科医院では、予防医療先進国スウェーデンで経験を積んだ院長のもとで予防歯科の基盤を学び、その後は矯正専門の歯科医院や訪問歯科専門の歯科医院など、さまざまな現場で研鑽を重ねてきました。どの現場でも痛感したのは、口腔環境という土台が整っていなければどんな治療もうまくいかないということです。矯正の現場では汚れや歯周病が原因で治療を中断せざるを得ない方がいましたし、訪問先では、おいしい食事を楽しめるはずなのに歯の不調で弱ってしまう方もいました。その姿が本当に悲しくて、予防の大切さを伝えられる場をつくりたいと思い、生まれ育った地元での開業を決意しました。
先生が歯科医師をめざされたきっかけをお聞かせいただけますか。
母が歯科衛生士をしていたこともあり、幼い頃から歯科は身近な世界でした。高校2年生のときにアメリカへ留学したのですが、クラスメイトの多くが矯正装置をつけていて、昼食後にはみんなで歯磨きをするのが当たり前の光景だったんです。歯並びやお口の健康に向き合うことは他の誰でもなく自分のためなのだと、歯科意識の高さを肌で感じた経験でした。帰国して進路を考えていた頃、母から「先生になってみたら」と声をかけてもらったことが決め手になり、歯科医師の道を志しました。留学先で身につけた、構えずにコミュニケーションを取るという姿勢は、今の患者さんとの接し方にも良い影響を与えてくれていると感じています。
院名の由来と、院内の空間づくりで大切にされたことを教えてください。

SIGNET(シニエ)は英語やフランス語で「しおり」という意味で、実は私の名前の「詞央里」にちなんでいます。開業準備中に「先生のお名前を使われては」とアドバイスをいただいたのですが、そのまま使うのは少し恥ずかしくて、ひねりを加えました。本にしおりを挟んで一息つくように、忙しい毎日の中でもゆったりと検診やメンテナンスを受けていただきたいという思いを込めています。「怖い」「緊張する」といった歯科医院のイメージを変えるために、吹き抜けの開放感と木目の温かみ、間接照明の落ち着きを大切にした、リラックスできる空間づくりにこだわりました。完全バリアフリーでベビーカーや車いすでもそのまま通えますし、ペーパーレス化やプラスチックごみの削減など環境への配慮にも取り組んでいます。
母親の意識から始まる、家族の健康づくり
診療の方針や、大切にされている考え方についてお聞かせください。

当院が大切にしているのは、病気を治療するだけでなく、未然に防いで健康を育む「ヘルスケア」という考え方です。お口は全身の健康の入り口ですから、定期検診やメンテナンスを通じてお口から始まる健康づくりを支えていきたいと思っています。痛みで来院された方であっても、治療をきっかけに「これからは痛くならないうちに通おう」と意識が変わってくださるとうれしいですね。年代やライフステージによって求められるケアは一人ひとり異なりますので、その方の生活や環境に合わせた治療プランを丁寧にご提案しています。女性スタッフによるこまやかな心配りで、どなたにも安心して気軽に通っていただける場でありたいと考えています。
マタニティー歯科や小児歯科にはどのような思いで取り組まれていますか。
お母さんの歯科に対する意識は、お子さんの健康にそのまま影響すると感じています。赤ちゃんはお腹の中にいる早い段階から、歯胚という歯の卵のようなものができ始めますので、妊娠中からお口の健康を意識していただくことがとても大切なんです。そうした意識を持ったまま、お子さんが生まれた後も親子で予防に通い続けていただくことで、良好な口腔環境を長く維持することにつながると考えています。お子さんについては、小さいうちから歯科医院の環境に少しずつ慣れてもらうことも大事ですね。フッ素塗布も早い段階から始められます。実際にファミリーの方やマタニティーの患者さんにもご来院いただいています。新しいかかりつけとしてお役に立てたらうれしいです。
初めて来院される方への対応で、工夫されていることはありますか。

私が大切にしているのは、患者さんの気持ちや思いをしっかりとくみ取ることです。「こういう場合はこの治療ですね」と型どおりにお伝えするのではなく、その方が本当に望んでいることにしっかり寄り添いたいと思っています。同じ虫歯の治療であっても、その方の生活背景によって目的や方向性は異なりますから。初診では1時間ほどお時間をいただいて、じっくりお話を伺うようにしています。難しい専門用語は使わず、気楽にお話しいただける雰囲気づくりを心がけていますので、緊張されている方も安心していただけたらと思います。患者さんが笑顔を見せてくださったら、それが私にとっての一番のやりがいです。
美容院のように気軽に通える、地域のかかりつけへ
診療を支えるスタッフの皆さんについて教えてください。

歯科衛生士である母をはじめ、ベテランスタッフがそろっています。当院のコンセプトに共感して集まってくれたメンバーで、本当に心強い存在です。実際に診療が始まってみて、スタッフの皆さんが患者さん一人ひとりに細かいところまで気を配り、親身になってお話ししている姿を目の当たりにしました。仕事には真剣に向き合いながらも明るく和気あいあいとした雰囲気で、その空気は患者さんにもきっと伝わっているのではないかと思います。
今後の展望や、めざす歯科医院の姿を教えてください。
美容院に行くような感覚で「クリーニングに行こうか」と気軽に予防歯科へ通ってもらえる文化を、この地域に根づかせていくことが一番の目標です。「やっぱり“シニエ”だよね」と思っていただける存在になれたらうれしいですね。もう一つ力を入れていきたいのが訪問歯科診療です。以前、訪問歯科専門の歯科医院に勤務していた頃、ご自宅を訪れると「孫が来てくれたみたいだよ」と喜んでくださる方がいて、ご家族や施設の方からも感謝の言葉をいただきました。人のためになれるんだという手応えがあったので、ぜひ続けていきたいと思っています。今はまだ当院を離れられない時期ですが、もう少し余裕ができたら地域への訪問診療にも取り組んでいきます。
最後に、読者へのメッセージをお願いいたします。

歯科医院は痛くなったら行くものだと思っている方にこそ、定期的なケアの大切さをお伝えしたいと思っています。実際にお話しすると「そうだね、通わなきゃね」と受け止めてくださる方が多いんです。お口の健康は毎日の食事や笑顔の土台であり、全身の健康にもつながる大切なものです。当院の名前に込めた願いのとおり、本にしおりを挟むように月に一度立ち止まって、ご自身のお口と向き合う時間をつくっていただけたらうれしいですね。一人ひとりの人生をより豊かにすること、そのヘルスケアを支えるスタッフの人生も豊かにすること。この使命を胸に、開院に関わってくださったすべての方への感謝を込めて、日々の診療に力を尽くしてまいります。
※歯科分野の記事に関しては、歯科技工士法に基づき記事の作成・情報提供をしております。
マウスピース型装置を用いた矯正については、効果・効能に関して個人差があるため、必ず歯科医師の十分な説明を受け同意のもと行うようにお願いいたします。

