小野 亘 院長の独自取材記事
名古屋プログレス腎臓内科・透析丸の内駅前クリニック
(名古屋市中区/丸ノ内駅)
最終更新日:2026/07/31
丸ノ内駅から徒歩2分、伏見駅から徒歩3分、栄と名古屋駅のほぼ中間に位置するビルの2階に「名古屋プログレス腎臓内科・透析丸の内駅前クリニック」はある。白を基調とした明るい院内には個室の透析室や全ベッドに備えたタブレット型端末など、透析中の時間を自分らしく過ごすための工夫が随所に光る。院長の小野亘先生は腎臓内科を専門とする医師として施設での血液透析に加え、在宅血液透析と腹膜透析にも対応する。この3つを扱えることが同院の特徴だという。「腎臓透析医療に関わる人に自分らしい夢を持てる環境を提供する」の信念のもと、夜間透析や訪問診療まで幅広く展開。穏やかな語り口の奥に強い情熱をにじませる先生に、その理念の原点や診療の特徴について聞いた。
(取材日2026年7月9日)
透析の時間を「自分らしい時間」に
まずはクリニックのコンセプトについてお聞かせください。

当院の一番の信念は「腎臓透析医療に関わる人に自分らしい夢を持てる環境を提供する」ことです。血液透析の患者さんは週3回、往復を含めると約6時間を通院に費やすため、どうしても生活が透析中心になってしまいます。同年代の方と比べて仕事を続けている方がとても少なく、社会とのつながりが徐々に失われていく現状をこれまで何度も目にしてきました。その状況を変えたくて、透析医療でできることをすべてそろえるクリニックをつくろうと決意したんです。物件は地下鉄の駅から徒歩2分以内の条件で3年以上探し続けました。クリニック名の「プログレス」には名古屋に新しい選択肢を提示するという思いと決意を込めています。
その理念を実現するための環境についても教えてください。
名古屋の既存の透析クリニックは遅くても22時半頃に診療を終えるところがほとんどですが、当院では23時半まで対応しています。これは、働く方が定時まで仕事をした後でも無理なく通院できる環境を整えたかったからです。透析施設は自宅の近くで選ぶのが一般的ですが、職場の近くで透析を受けられる選択肢が広がれば、患者さんは仕事や生活を必要以上に制限することなく、自分らしい日常を続けやすくなります。それもあって、施設面では、プライバシーの保たれた個室を多く設け、全ベッドにタブレット型端末とインターネット環境を備えました。例えば、17時頃に一時退勤し、当院の個室で透析を受けながらオンラインで業務を続けることや好きな動画を楽しむことも可能です。透析が社会とのつながりや働く機会を奪うものではなく、生活の一部として自然に続けられるものであってほしいと強く感じています。
先生が腎臓内科医の道に進まれたきっかけを教えてください。

父が腎臓内科の医師で透析が専門だったことが最初のきっかけです。ただ、医師になれと言われたことは一度もなく、自分で選んだ道でした。腎臓内科は内科の中でも守備範囲が広く、高血圧症や糖尿病といった生活習慣病のほか、膠原病や内分泌代謝疾患まで幅広く診られます。腎臓が悪くなる前の段階で見つけることも、悪くなった後に治療の選択肢を示すことも望め、一貫して関われる点に魅力を感じました。何より患者さんと深く長く関われる医療が自分には合っていると思います。学生時代にはラグビーやサッカーなどのチームスポーツに打ち込んでいたので、それぞれの役割を尊重しながら一つの目標に向かって取り組むことにやりがいを感じていました。その経験は、スタッフと一丸となって患者さんを支える今のクリニックづくりにも生きていると感じています。
施設でも在宅でも、その人に合った透析を
こちらで受けられる透析治療について教えてください。

「個室透析」と「23時半までの夜間透析」は当院の大きな特徴の一つです。また、当院では施設での血液透析に加え、在宅血液透析と腹膜透析にも対応しています。自宅でできる透析を2種類とも扱っています。在宅血液透析はご自身やご家族が自宅で行う透析で、腎臓本来の働きに近い状態を保つことをめざせるため、体への負担の軽減や薬の減少が期待できます。もし自分が今透析になったら迷わず在宅血液透析を選びたいと思うのに、患者さんにきちんと伝えられない環境があることがずっと疑問でした。腹膜透析は通院が月1回程度で済み、血液透析中に血圧が下がりやすい方にも適した方法です。在宅透析と施設透析をご本人の状況に応じて、一つのクリニック内で柔軟に切り替えられることが当院の強みです。
在宅で透析をされる患者さんをどのように支えられていますか?
腹膜透析の患者さんには、訪問診療も行っています。入院をきっかけに通院が難しくなり、血液透析があるために自宅へ帰れなくなるケースは少なくありません。腹膜透析に切り替えると自宅での生活を続けられる可能性が広がります。遠隔モニタリングで治療データをリアルタイムに確認でき、処方内容の変更やオンライン診療にも対応しています。大きな病院では難しい柔軟な対応がクリニックだからこそ実現できると感じています。また、ケアマネジャーの資格も取得しました。医師には介護を学ぶ機会がほとんどなく、患者さんに具体的な介護サービスを提案しにくいのが課題でした。資格を得たことでケアマネジャーさんとの連携がスムーズになり、生活を支える提案ができるようになっています。
患者さんと向き合う上での心構えを教えてください。

まず大切にしているのは、その方が何を大事にしているかをとことん聞くことです。医療情報を先に伝えるのではなく、仕事のこと、趣味のこと、生活の中で譲れないことを把握した上で治療の選択肢をお示ししています。当院ではウェブ問診も導入していて、前回の受診からの体調変化を事前に記入していただき、体調の変化をいち早く察知できる仕組みを作りました。腎臓内科の外来も充実させ、健診で異常を指摘された段階から一貫して診られるクリニックをめざしています。腎臓の病気は自覚症状がほとんどないまま進むことが多いので、健診の結果をきっかけに来てくださったときには「この段階でよく来てくれたね」と心から伝えるようにしています。
スタッフとともに、名古屋の透析医療を前へ
スタッフの皆さんの温かさも印象的です。チームづくりで大切にされていることをお聞かせください。

透析治療は週3回の長いお付き合いになります。そのため当院のスタッフは、病気や治療だけでなく、趣味やご家族のこと、日々の出来事など、患者さん一人ひとりとのコミュニケーションをとても大切にしています。私が特に心強く感じているのは、患者さんとの何げない会話の中から、その方にとってより良い治療や生活の在り方を考えてくれていることです。実際に、「この方には在宅透析という選択肢も合うのではないでしょうか」といった提案がスタッフから上がることもあります。患者さんに最も近い場所で寄り添い、安心感を届けてくれる自慢のスタッフです。こうした仲間に支えられながら、患者さん中心の医療を実践できていることをとても誇りに思っています。
今後、特に注力したいことを教えてください。
在宅血液透析はもともと名古屋で始まった医療なんです。それに携わっていたのが私の父で、まだ携帯電話のない時代に離島の患者さんも診ていたと聞いています。しかし現在、愛知県の在宅血液透析の患者さんは大幅に減っています。一方で東京では一つのクリニックだけで多くの患者さんを診ている例もあり、本気で普及に取り組む医師がいれば広がる医療だとわかっています。名古屋で生まれた医療だからこそ、もう一度この地でしっかり提示できるリーダーになりたい。医療経済の大学院でも学びながら、名古屋・東海圏の透析医療を引っ張っていく存在になるという覚悟で臨んでいます。今この年齢だからこそ全力を注げる。腰を据えて取り組むべきだと思い、一歩を踏み出しました。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

透析治療には、自分らしい時間に変えられる選択肢がたくさんあります。週3回ベッドで横になるだけというイメージにとらわれず、ご自身に合った方法を一緒に探していけます。仕事や社会生活との両立に悩んでいる方には、ぜひ当院の環境を知っていただきたいですね。また、健診で腎機能の異常を指摘された方は、早めに腎臓の専門家へ相談してほしいと思います。腎臓・透析医療に関わるすべての方が、自分らしい夢や人生を描ける。その実現を支えるクリニックであり続けたいと思っています。

