小野瀬 みどり 院長の独自取材記事
みどりレディースクリニック
(横浜市鶴見区/矢向駅)
最終更新日:2026/06/12
JR南武線・矢向駅から徒歩3分、にぎやかな商店街と交差する通りに「みどりレディースクリニック」はある。植栽と和モダンの意匠が調和した院内は広々としており、和室の陣痛室や家族で過ごせる特別室など随所にこだわりが光る。院長の小野瀬みどり先生は北里大学卒業後、産婦人科一筋に30年近い経験を重ねてきた。お産ができる施設が相次いで閉鎖する中、行政にも働きかけを続け、この地に分娩施設を開いたのだという。女性の幸せの追求を目標に掲げ、産後ケアやRSウイルスワクチン接種にも力を注ぐ。はつらつとした笑顔で患者の言葉に真摯に耳を傾け、対話を通じて自然に心を開く包容力が印象的な小野瀬院長に、診療への想いや今後の展望を聞いた。
(取材日2026年5月15日)
和のぬくもりに包まれて、女性の一生に寄り添う
まずは、こちらのクリニックを開かれるまでの歩みを教えてください。

産婦人科一筋で30年近くになります。周辺地域ではお産ができる施設が相次いで閉鎖し、地域の産科医療が縮小していく現状がありました。お産のための病床許可を取るのは難しかったのですが、女性が安心して赤ちゃんを産み育てられる環境をつくりたいという一心で、行政にも働きかけながら地道な種まきを続けてきました。私自身は、33歳の時に胃がんを患い、最近では顔面神経麻痺を患うなど大病を経験しています。けれど、自分は何のために生まれてきたのかを深く考え抜いた時期があって、答えが見つかってからはもうぶれなくなりましたね。誰が何を言おうと、私は自分の人生を生き切ると決めています。たくさんの方の力をお借りしながら、ようやく実を結んだのがこのクリニックです。
院内はとても広々とした印象ですが、空間づくりのこだわりを教えてください。
クリニック名の「みどり」にちなみ、院内は緑と植栽を基調にしたデザインにしています。私自身が和の空間をとても大切にしていますので、特別室や陣痛室には和室を設けました。陣痛室はベッドのお部屋と布団のお部屋の2種類があり、お好みで選んでいただけます。中でも和室の特別室が一番人気で、いつも最初に埋まりますね。ご夫婦やご家族で泊まれる仕様なので、大切な時間を一緒に過ごしていただけるんです。畳の部屋に通されると、なんだか落ち着きますよね。そういう安心感を出産という特別な場面でも感じてほしくて、和の空間にこだわりました。他にもサロンやホールなど用途に合わせた部屋を複数ご用意しています。
とても素敵な環境ですね。その中で、どのような診療を行っているのでしょうか。

コンセプトを一言で言うと「ゆりかごから墓場まで」、女性のライフステージに合わせた医療を提供することです。初潮を迎えた頃の月経困難症から、子宮筋腫や子宮内膜症といった婦人科疾患、妊活中の方への栄養のアドバイスを含めたサポート、そして妊娠・出産、更年期の不調、さらに70代・80代で多い子宮脱のご相談まで、幅広く診ています。女性特有のつらさは毎日の暮らしの質を大きく左右しますから、その問題を一緒に解決していくことが私の役割です。
母と子を守るためのケアと、心に寄り添う診療
出産された後のお母さんへは、どのようなケアを行っていますか。

産後の心身的なつらさが深刻な課題と受け止められるようになって、もう10年以上がたっています。赤ちゃんが生まれて本来は幸せなはずの時期に、お母さんが追い詰められてしまうことがある。それを何としても食い止めたいんです。当院の産後ケアでは体の回復はもちろん、育児支援を大きな柱にしています。頼りになる助産師や看護師が「こういう対応ができますよ」「こういうマインドでいくといいですよ」と一人ひとりに寄り添いながら、体力面もメンタル面も両軸でサポートしていきます。初産の方でも、帝王切開の術後で上のお子さんのお世話が大変な方でも、状況に合わせたケアを受けていただけます。産前の段階で気になる兆候があれば拾い上げて、地域や行政につないでいく取り組みも行っています。
生まれてくる赤ちゃんの健康を守るための取り組みについても教えてください。
RSウイルスは、生まれて半年以内の赤ちゃんが感染すると重症化しやすいウイルスです。当院で行っているのは、妊娠中のお母さんにワクチンを打つことで、胎盤を通じて赤ちゃんに抗体を届ける「母子免疫」という仕組みを利用した予防です。このワクチンが今年の4月から公費の対象になりましたので、当院ではすべての妊婦さんに基本的にお勧めしています。もちろんメリットもデメリットもきちんとご説明した上でご判断いただきますが、接種しておいたほうが有用であるということはわかっていますので、よほどのご事情がない限りはお受けいただいています。生まれてくる赤ちゃんを守るためにできることは、しっかりやっていきたいですね。
患者さんと向き合う上で、大切にされていることを教えてください。

私が常に意識しているのは、その方の背景です。どんな環境で育ち、今どんな状況にあるのか。症状の裏には必ずその人ならではの事情がありますから、問診でも深く掘り下げるようにしています。限られた診療時間の中で大切なのは、何を引き出すかという「質問力」です。こちらからあれこれかぶせるのではなく、まずは傾聴に徹します。もし「つらいんです」と言われたら「つらいんですね」と受け止める。それだけで、患者さんはいろいろ話してくださるようになると考えています。初回ではなかなか本音を話せないこともあると思いますが、何回か通っていただく中で少しずつ緊張がほぐれていくと思います。その過程で信頼関係を丁寧に育てていくことが、かかりつけ医としての一番大事な役割だと思っています。
幸せになるために生まれてきた、すべての女性へ
診療を通じて、女性たちに伝えていきたいことはありますか。

私が一番大切にしているのは「女性の幸せの追求」です。なんで生まれてきたのかと聞かれて、すぐに答えられる方はなかなかいません。でも、私たちは幸せになるために生まれてきたんです。幸せになる責任があるんですよ。そのために一番大事なのは、自分で自分の気持ちを理解して整えていく力、セルフコントロールの力だと思っています。夜中に誰にも相談できないときでも、自分で自分を満たすことができれば、心が折れずにいられる。そうした土台があってこそ、子育ても自分らしい人生も楽しめるのではないでしょうか。子どもを産み育てたいと思える環境や社会をつくり、子どもと過ごす日々に幸せを感じられれば、第2子、第3子へと自然につながっていくと信じています。
これから先、どのような未来を描いていらっしゃいますか。
当院が軌道に乗ったら、ゆくゆくはお産施設を他の地域にも広げていきたいというビジョンを持っています。お産ができる場所が各地で減り続けている中で、この場所だけにとどまらず、必要とされるところに届けていきたいんです。「ここでお産ができたら幸せだよね」と、クチコミが自然と広がっていく未来が、私にはもう見えています。幸せに生きるために大切なことを伝え続ければ、おのずとそうなっていくと信じているんです。それと同時に、今こうして歩んでいけるのも、私の志に共感して集まってくれたスタッフやドクターたちのおかげですから、本当に感謝しているんです。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

人生の目的は幸せになること。本当にそれに尽きます。日々の暮らしの中でいろいろな課題や悩みが出てきて、自分の幸せとは何かを立ち止まって考える余裕すらないこともあると思います。でも一度きりの人生ですから、最後に「幸せだった」と思える生き方を選んでほしいのです。そのために大切なのは、自分の気持ちと向き合い、自分で自分を満たしてあげる力を少しずつ育てていくこと。自分の人生を諦めないでください。自分が自分の人生を諦めてしまったら、いったい誰が認めてくれるのでしょうか。私は産婦人科の領域から、一人でも多くの女性が幸せを感じられるようお手伝いをしていきたいと思っています。どうか自分自身を一番大切にして、幸せを選び取る人生を歩んでください。

