田島 里奈 院長の独自取材記事
りなレディースクリニック
(西宮市/阪神国道駅)
最終更新日:2026/08/31
阪急今津線・阪神国道駅から徒歩1分、ビルの5階に2026年に開院した「りなレディースクリニック」。木目調の扉やグレートーンの壁、観葉植物を配した院内は、すっきりとした中に温かみを感じる落ち着く空間。川のせせらぎや小鳥のさえずりを織り交ぜたBGMは、緊張を和らげるとともに、診察室での会話が待合室に伝わりにくくしプライバシーへの配慮も。院長の田島里奈先生は日本専門医機構産婦人科専門医であるとともに、日本婦人科腫瘍学会認定婦人科腫瘍専門医。シンガポールで邦人向けの産婦人科の立ち上げに携わった経験を持つ。患者の言葉だけでなく、表情や目線、歩き方や椅子の座り方にも診断につながる情報があるという。専門性を生かしたがんの早期発見への取り組みや保険診療を柱とする診療姿勢、クリニックづくりへの思いを聞いた。
(取材日2026年7月15日)
10代の原体験と詩人の言葉。縁に導かれ開院へ
穏やかな色調の院内が印象的ですが、どのような思いで設計されましたか?

クリニックのロゴはオリーブの樹がモチーフで、「女性がここでひととき羽を休め、元気を取り戻して、また日常へ飛び立っていける場所にしたい」という思いを込めています。院内も華やかさや非日常感を演出するのではなく、木目調のドアやグレートーンの壁、観葉植物を取り入れ、シンプルなカフェのように肩の力を抜いて過ごせる空間をめざしました。部屋割りから家具選びまで自分で考え、待合の椅子も色分けして、迷わず移動できるよう工夫しています。保険診療を中心とするクリニックだからこそ、困った時に気負わず受診できる身近な場所でありたいと考えています。「自分が患者だったらどう感じるだろう」という視点で、居心地と機能性の両方を大切にしています。
開院に至るまではどのような道のりがあったのでしょうか。
山口大学卒業後、大学病院や関連病院で研鑽を積み、ご縁があってシンガポールで日本人向けの産婦人科の立ち上げに携わりました。帰国後は関西労災病院で無痛分娩の導入や若手医師の教育に関わり、医療事故を個人の注意だけに頼るのではなく、システムで防ぐ「ヒューマンエラーの起こりにくい仕組みづくり」に取り組みました。その他にも、閉鎖された産婦人科の再開やクリニックの立ち上げに携わる機会に恵まれ、医療技術だけでなく、組織づくりや運営についても多くを学びました。振り返ると、節目ごとにさまざまなご縁に導かれてきたように思います。そうした経験を重ねる中で、「いつか自分のクリニックをつくるなら」と少しずつ温めてきた思いが、また新たなご縁によって形になったのが当院です。
産婦人科の医師を志したきっかけを教えてください。

高校2年生、17歳の時に卵巣腫瘍が見つかり、手術を受けました。病気そのものへの不安や怖さよりも、初めて産婦人科を受診し、男性医師の診察を受けた時の戸惑いやショックのほうが、強く心に残っています。ちょうど同じ頃、国語の授業で、生まれてきたことへのざんげの念が描かれた、とても印象深い詩に出合いました。「いつか人生を振り返った時に後悔しない生き方をするには、どうしたらいいだろう」と考えるようになり、人のためになる仕事がしたいと思ったんです。その思いと、自分自身が患者として産婦人科を受診した経験が重なり、「女性である自分だからこそできることがあるのではないか」と考え、産婦人科医を志しました。
問診票の先にある心の声を聴く
こちらにはどのような患者さんが来院されていますか?

当初は30~40代の働く女性を中心に想定していましたが、実際には10代の患者さんも多く、20~30代を中心に幅広い世代の方が来院されています。生理痛や生理不順、ピルの処方、おりものの異常、性感染症の検査など、受診のきっかけもさまざまです。「女性医師」をキーワードに探してくださる方が多く、親子での受診や友人からの紹介も増えています。思春期から妊娠、更年期、老年期まで、何か困った時に「ここに来れば大丈夫」と思っていただけるクリニックでありたいですね。不妊のご相談にも対応していますが、高度な治療が必要な場合は、適切な専門施設へ早めにおつなぎしています。
患者さんと向き合う上で大切にしていることは?
婦人科を受診される方の中には、人には言いにくい悩みを抱え、なかなか言葉にできない方もいらっしゃいます。少しでも安心して話していただけるよう、まずは笑顔でお迎えしています。問診票の情報だけでなく「ほかに気になることはありませんか?」とお聞きすると、「実は……」と、それまで話せなかった悩みを打ち明けてくださることもあります。説明するときは、表情や仕草、目線にも気を配り、きちんと伝わっているかを確認します。つらい結果をお伝えする場合でも、不安な気持ちのまま帰られることがないよう、最後はできるだけポジティブな言葉で締めくくるようにしています。時間のかかる検査や処置の際は雑談を交えながら緊張をほぐし、「気がついたら終わっていた」と思っていただけるような診療を心がけています。
検査や治療の面で力を入れていることを教えてください。

がん拠点病院での診療経験を生かし、特にがんの早期発見には力を入れています。子宮頸部を詳しく観察できるデジタルコルポスコピーを導入し、子宮頸がん検診で精密検査が必要になった方にも、ガイドラインに沿った検査を院内で行っています。子宮体がんや卵巣がんについても、必要な検査を過不足なく行うことを大切にしています。また、デリケートな部位のイボや膿瘍などにはラジオ波メスを用いた保険診療での治療も可能です。漢方薬も取り入れ、西洋薬だけでは対応しにくい症状にも、その方に合った治療をご提案しています。さらに、貧血や炎症を調べる血液検査は院内ですぐに結果を確認でき、必要に応じてその日のうちに治療を開始できます。できるだけ一度の受診で必要な検査や治療まで進め、患者さんの負担を減らすことも大切にしています。
日々進化し続ける、安心して頼れるクリニックに
スタッフの皆さんについても伺います。

それぞれの立場で診療を支えてくれており、スタッフには本当に恵まれていると感じています。受付スタッフは、細かく説明しなくても私の意図をくみ取り、先回りして動いてくれる頼もしい存在です。患者さんからのお問い合わせにも、的確かつ優しい言葉で対応してくれています。看護師・助産師も、患者さんが診察中には言えなかったことを聞いて気持ちをフォローしてくれたり、常に気を配り、患者さんに寄り添ってくれています。また、日々の診療で気づいたことや改善案をみんなで共有し、意見を出し合っています。スタッフ同士が支え合いながら、一緒にクリニックをつくっていけることが、私たちのチームの強みだと思っています。
今後、クリニックをどのように発展させていきたいですか?
日々進化し続けるクリニックでありたいと思っています。スタッフが診療や業務の中で気づいたことを共有し、解決策をみんなで考えて、できることはすぐに実行しています。例えば待ち時間を短縮するため、予約枠を何度も見直したり、完全予約制の曜日を設けたりと、試行錯誤を重ねています。また、近隣の病院との病診連携を進め、手術が必要な方は適切な医療機関へご紹介し、術後は当院でフォローすることで、患者さんの通院負担を減らせる体制をめざしています。同じ医療ビル内で開業されている他科の先生とも連携し、それぞれの専門性を生かした診療にも取り組んでいます。さらにオンライン診療や電子処方箋も活用し、お薬の処方や検査結果の説明など、来院しなくても完結できる診療を増やしていきたいですね。患者さんにとって「もっと便利に、もっと安心して」受診できるクリニックへ、これからも少しずつ進化していきたいと思っています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

婦人科は受診するだけでも勇気がいる場所だと思います。だからこそ、まずは安心して来ていただきたいですね。「すぐに内診されるのでは」と心配される方もいますが、必要がなければ行いませんし、心の準備ができていなければ「検査は次回にしましょう」ということもできます。必要な検査はきちんとご説明し、納得していただいた上で進めます。「こんなこと、どこに相談すればいいんだろう」と迷うようなことでも、気軽にお話しください。漢方を含め治療の選択肢も幅広く用意しています。常に「自分が患者だったらどう感じるだろう」という視点を忘れず、「ここなら安心して相談できる」と思っていただけるクリニックでありたいですね。

