全身の健康に寄与し健康寿命を延ばす
「食べるため」の歯科医療
サリーレ歯科 SALIRE Dental Care
(横浜市旭区/二俣川駅)
最終更新日:2026/04/30
- 保険診療
現代社会において、平均寿命と健康寿命の間には約10年以上の乖離があるといわれている。この期間は要支援・要介護状態で過ごすことになり、寝たきりや認知症の発症により、家族との大切な時間を共有することが困難になるケースも少なくない。こうした課題に対し、歯科医療が果たすべき役割は単なる虫歯・歯周病治療にとどまらない。横浜市旭区二俣川にある「サリーレ歯科 SALIRE Dental Care」の遠藤昌敏院長は、国立長寿医療研究センターや療養型病院での長年の診療経験を通じ、「食べる」ことへの支援が健康寿命を守る最大の鍵であると確信してきた。超高齢社会へと向かう中で、歯科医師としていかに全身の健康に寄与できるか。その具体的な実践と意義、重要性についてあらためて聞いてみた。
(取材日2026年4月6日)
目次
「治す」ではなく「食べられる」がゴール、健康寿命を延ばすために歯科ができること
- Q「健康寿命と寿命の差を縮めたい」との考えに至ったきっかけは?
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A
▲患者と患者の家族の笑顔を守るための、口腔ケアを
厚生労働省所轄の国立長寿医療研究センターで高齢者医療に従事した後、慢性期の療養型病院に赴任いたしました。その診療の中で、約10年間、寝たきりになったり、意思疎通が難しくなったりして、ご家族との共有時間が持てなくなってしまう現実を目の当たりにしてきました。ご本人、ご家族にとってもこれほどつらいことはありません。健康寿命と寿命の差を縮め、自分らしく生きられる時間を伸ばすために、もっと手前の段階で何かできなかったかと真剣に考えるようになりました。ご本人も家族も笑顔で過ごせるようにするには何が必要か。それを考えた時に「お口の健康」の重要性にたどり着いたのです。それが現在の活動の出発点となっています。
- Q「お口の健康」が健康寿命にどのように関係しているのですか?
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A
▲食べる力が、人生を支える
一番大事なのは「食べること」です。食べられなくなると低栄養に陥りやすくなり、筋力低下やサルコペニアの進行につながる可能性があります。また、歩行困難をきっかけに要介護状態へと進行するリスクが高まります。こうしたフレイル(虚弱)の進行の入り口の一つとされるのが「オーラルフレイル」、つまりお口の機能の衰えなのです。また、歯周病菌を単なる歯の病気に関わる菌と侮ってはいけません。歯周病菌やそれに伴う炎症が血流を介して全身に影響を及ぼす可能性が指摘されています。脳梗塞や心筋梗塞のリスクを高め、糖尿病を悪化させる一因になるという報告もあります。お口を健康に保つことは、健康を維持するための第一歩なのです。
- Q高齢期の食事や栄養について、歯科医師として伝えたいことは?
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A
▲口腔内環境を守ることが、その人に未来に関わることも
例えば、入院を経た高齢者は、病院でリスク管理のために食事の形態を下げられてしまい、噛む・飲み込む力が落ちていることが多いんです。そこで私たちは嚥下機能を確認し、食後すぐに寝かせないこと、一口量の調整など、介助される方への具体的指示を通して誤嚥性肺炎のリスクを下げることをめざします。機能そのものを劇的に向上させることは難しくても、今ある機能を維持し、誤嚥のリスク低減を図っていく。こうした積み重ねが、その方の健康寿命を守ることにつながると思うのです。大切にしているのは「食べるための治療」。「何のために治すのか」という目的から逆算し、安全においしく食べていただくために必要な治療を組み立てています。
- Q患者さんやご家族と向き合う上で大切にされていることは?
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A
▲一人ひとりと向き合う姿勢を大切に治療を行う
人を外見や職業、年齢などで判断することは一切なく、どなたに対しても、同じスタンスで接することを信念としています。それは意識してというよりも、人を立場で判断することが性に合わないだけなのですが(笑)。説明については、自分が正しいと思っていることでも、相手の立場からは違って見えることがある、ということを常に意識しています。他院での治療に悩んでセカンドオピニオンで来られる方も多いですが、前の歯科医院を否定するのではなく、今の問題をどう解決していけるかという視点でお話しします。まずは医療者として必要な情報をわかりやすく提示し、患者さんが納得して一歩を踏み出せるような対話を進めることを心がけています。
- Q超高齢社会における医科歯科連携の重要性と、そのメリットとは?
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A
▲超高齢社会において、必要な連携を
歴史的な背景もあり、医科と歯科は別物として捉えられがちでしたが、体が一つである以上、切り離して考えるのは不自然です。医科の先生もフレイルについては積極的に取り組まれていますが、オーラルフレイルの視点が加わる機会は限られていると感じます。そこを担うのが私たち歯科医師です。多職種との会議を重視するとともに、以前は看護学校で教鞭をとるなど、職種の垣根を越える活動を続けてきました。多職種連携のメリットは、多角的に支えられること。医師、看護師、管理栄養士、歯科医師が垣根を越えて連携できれば、健康寿命を守る力は格段に高まります。こうした連携こそが、超高齢社会の今、待ったなしで求められていると感じます。

