佐藤 昭之 院長の独自取材記事
金子歯科クリニック
(横浜市戸塚区/戸塚駅)
最終更新日:2025/05/02

JR横須賀線やブルーラインをはじめ、数多くの路線が交差する戸塚駅。その西口から徒歩約2分の場所に「金子歯科クリニック」はある。同地で30年以上診療を続けてきたクリニックは、2025年1月に地元出身の佐藤昭之院長に継承された。「金子先生が大切に育ててこられた診療環境の中で、地域の皆さんに経験を還元していけることに大きなやりがいを感じています」と、佐藤院長は話す。「通いやすいクリニック」を形にするため、新たなスタートを切ったクリニックについて、継承の経緯から今後の展望まで、幅広く話を聞いた。
(取材日2025年3月24日)
30年超の歴史をつなぎ、より通いやすい歯科医院に
クリニックを継承されたそうですね。

1991年より当地で診療されてきた金子宣由先生からバトンを受け継ぎ、これまでのクリニックの魅力はそのままに、より地域の方々から求められるクリニックをめざし、今年の1月から新院長となりました。とはいえ、突然院長が変わってしまっては継続的に通院されている患者さんを驚かせてしまいます。そこで、現在は金子先生にも在勤を続けていただき、既存患者さんのご紹介と引き継ぎを受けながら、新規患者さんも積極的に受け入れているところです。金子先生が30年以上にわたり培ってこられた土壌の上であれば、私の理想とする「通いやすいクリニック」「困ったときに気軽に足を向けていただけるクリニック」を形にできると考えています。
継承を決断された決め手は何だったのでしょうか。
いずれは生まれ育った戸塚で開業したいと考えていたため、金子先生が後継者を探していらっしゃると聞き、すぐに手を挙げました。こうしてご縁をいただき、これまでの経験を地域に還元できることに今は大きなやりがいを感じています。金子先生がこれまで患者さんのために整えられてきたこの歯科医院には、歯科用CTや3Dスキャナー、レーザー治療機器などの新鋭機器が導入されているのに加え、インプラントシミュレーションシステムや外科的処置に適した天井埋め込み型ライトも備えた手術室があります。業務用空気清浄機や口腔外バキューム、滅菌器などによる院内感染対策も取り、先進の設備体制だと考えています。
この設備体制を生かし実現されていきたい診療について教えてください。

これまで私が診療してきた中で、必要だと思ってきた機器はほぼそろっています。これも金子先生が時代を先取りし、整備してこられたからです。CTがあることでより正確な診断がつけやすくなりますし、デジタルスキャナーがあれば患者さんの負担を抑えながら精密な型採りを行いやすくなります。今後は目視やエックス線ではわからない初期から虫歯を数値化できるレーザー検出装置や、お口の中にどのような細菌がどの程度いるかを調べられる位相差顕微鏡など、患者さんにわかりやすく状態を伝えることに役立つ機器も導入、活用していきたいと考えています。虫歯や歯周病だと診断され、状態を知るだけでは改善にはつながりません。治療やケアによる改善も含め、数値や画像をもとに現状を具体的にご説明し、患者さんにもご自身の歯の事を把握していただくことこそ、治療やホームケアへのモチベーションにつながると考えています。
予防・治療のバランスと、本人の納得を何より大切に
今後、力を入れていきたい治療について教えてください。

すべての治療において、”よく噛める状態をつくり、保つこと”をめざしています。そのためには、予防・早期発見・治療の3つのバランスが必要不可欠です。できる限り歯を抜いたり削ったりすることなく状態を保つための予防に加え、リスク段階からの早期発見・早期治療、そしてよく噛める状態をつくるためのインプラント治療、入れ歯といった治療です。どれか一つでも欠けてしまっては、将来的によく噛める状態を保てなくなります。これらのバランスを大切に、幅広く対応していきたいと考えています。
診療の際に心がけていらっしゃることは何ですか。
患者さんとよくお話しすることに尽きます。実際にお口の中を拝見して、治療の選択肢を検討したことをご説明し、ご理解いただいてから初めて治療に移ります。「それでも歯を抜きたくない」といった患者さんの意志は何より大切にするようにしています。歯科医師として、もちろんやるべき最低ラインの治療はご説明するようにしています。しかし、その先の選択については、患者さんに決定を尊重するのが私の信条です。実は、私自身も受診は怖いし、抜歯は嫌です。学生時代に親知らずが痛んだ際に、抜歯から逃げ回り続けた経験があります。そんな時に先輩から「嫌なら抜かなくてもいいけれど、国家試験の直前に痛み始めたらつらいぞ?」と言われ、納得して抜歯を受けることができました。その時に、治療について納得した上で受けることの大切さを実感しました。今でも患者さんには、お気持ちに寄り添いながら、心からご納得いただける治療を大切にしています。
これまでの診療で心に残っているエピソードはありますか。

クリニックを移る際に、初診時は小さかった子から「先生のおかげで歯医者が怖くなくなった」と言われた時はうれしかったですね。その子にとって、将来のお口を守るための入り口のようなものを開けることができたと考えると、無理強いすることなく、根気良くやってきて本当に良かったと思いました。また、食事を楽しまれているという高齢の患者さんのお話を聞くのもうれしいです。やはり、よく噛めて食べられることは、人生の大きな喜びだと思います。以前恩師から「失って初めてその大切さを実感するのは、両親と健康、そして歯だ」と教えていただきました。当時はピンと来ないところもあったかもしれませんが、患者さんとともに歩んだ歯科医師人生で、その言葉の重みがわかってきたと思います。そして、当院に通っていただける患者さんにも良い出会いと思っていただけるよう努めていきたいです。
これまでの経験が患者の気持ちに気づかせてくれる
歯科医師を志されたのは、やはり歯科医師のお父さんの影響でしょうか。

実は高校を卒業する頃には歯科医療を遠ざけたい一心で、舞台俳優をめざすと公言していました(笑)。しかし、そんなに甘い世界ではなく、俳優の道を諦めると、やはり父の影響からか次の目標として歯科医療の道を選びました。そこからは一念発起し、自分なりに必死に取り組み、晴れて歯科医師となりました。そして、いざ歯科医師になってみると、すぐに一人前として診療ができるわけではなく、診断力や治療技術を磨くため下積みの期間が始まりました。とても楽だったとは言えない経験でしたが、一人前になるまでに多くのことを学んできたからこそ、今の自分の診療方針があると感じています。そして、歯科医師になるまで遠回りをしたかもしれませんが、そのいろんな経験が、さまざまな生活背景を持つ患者さんたちの気持ちに気づかせてくれる歯科医師にしてくれたと考えています。
診療を離れ、休日の気分転換に楽しんでいらっしゃることはありますか。
野球ですね。中学校・高校とピッチャーとしてプレーし続けてきて、今でも草野球に興じています。今は負傷により現役とは別のポジションを守っていますが、とても良い雰囲気のチームで楽しくやっています。より若い世代に活躍を譲ったり、仲間のミスやエラーにも寛容になれたり、大人になってからのチームプレーでは、勝つことや自身の活躍にこだわっていた若い頃とは違う楽しみがあり、気分転換になっています。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

最終目標としては、予防により、通っていただく皆さんに治療する歯がなくなり、「もう歯の削り方なんて忘れちゃったよ」なんて言いながら引退したいなと思っています(笑)。お口のことで「どうしよう」と思うことがあれば、まずは来ていただいて見せてもらえればと思います。様子を見て大丈夫か、治療すべきかを取捨選択するのは患者さん自身です。納得し、自信を持って方針を決めていただけるよう、わかりやすくしっかりとご説明します。私と、金子先生の時代からのベテランスタッフがお待ちしていますので、「歯医者さんって行きづらいな」と思う方こそ、どうぞお気軽にお越しください。
自由診療費用の目安
自由診療とはオールセラミッククラウン(奥歯)/5万5000円、インプラント治療(オペ・上部構造一式)/36万7000円