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五十嵐 智一 院長の独自取材記事

山下歯科医院

(横浜市金沢区/京急富岡駅)

最終更新日:2019/08/28

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大阪大学歯学部卒業後、口腔外科での臨床研究を経て、祖父が開院した「山下歯科医院」を継いだ五十嵐智一院長。長年地域住民の歯科治療に携わる中で、「患者さん一人ひとりが教科書」と感じるようになったという。歯科先進国といわれるドイツやスイスの歯科医師とも交流、その中で学んだ知識や医療機器も取り入れ、歯科治療を実践してきた。精密な虫歯治療や歯内療法(根管治療)、入れ歯、インプラント治療などを求めて、遠方からも患者が訪れる。五十嵐院長にクリニックの特徴や、歯科治療に対する熱い思いを語ってもらった。
(取材日2017年12月7日)

祖父の歯科医院を継ぎ、地域に根差し独自の道を追求

開業までの経緯や、こちらの歯科医院の成り立ちを教えてください。

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ここは母方の祖父が開院した歯科医院です。私も横浜出身ですが会社員だった父の仕事の関係で関西で育ちました。工学、医学系も迷いましたが歯学部に進学。卒業後、附属病院の口腔外科に進みました。良い先輩同僚に恵まれ、母校の附属病院にはさまざまな口腔疾患の患者さんが近畿一円から集まり、医学部からの紹介も多い科でした。日本麻酔科学会麻酔科専門医の管理のもと、全身麻酔トレーニングを受けながらさまざまな医科の手術に立ち合ったり、微生物研究所で研究をかじったり、と多くの貴重な経験をしました。その後、学生時代に亡くなった父に代わり、80歳を超えて一人診療している祖父の意をくんで故郷の横浜に戻り、2009年に現在の診療室に建て替えました。

こちらの歯科医院の特徴や先生のこだわりを教えてください。

リニューアル後のこだわりは歯科診療室と隔てた手術室です。一番広い空間に、一般外科基準の空調換気、格納棚、手術用LED無影灯、生体モニタ-などを配備しました。少し緊張する雰囲気かもしれませんが、歯科用ユニットなので歯科治療もできます。消毒コーナーも広くとっているので滅菌消毒も効率良く行うことができます。レントゲン、CT、口腔内カメラ画像が院内LANでつながり、リアルタイムにモニターで拡大することでマイクロスコープ並みの精度を追求した治療ができます。半個室タイプの診療ユニットで、治療中に撮影した画像を見ながらの説明も患者さんに好評です。丁寧な治療と説明もこだわりの一つですね。

診療面では、どのような特徴がありますか。

親知らずの抜歯や口腔粘膜疾患の相談をはじめ、部活動中の唇裂傷や歯のけが、顎の骨に起こる骨髄炎など、口腔外科の患者さんが多く、近隣の小児科・耳鼻咽喉科とも連携し合う地域医療を大切にしています。一般歯科治療でも、顎の骨(髄)への感染を阻止するために、特に虫歯はレーザーでチェックしながら「悪い歯質は残さず」、「健全歯質はできる限り残し」、「露出した部分を即座に接着封鎖する」ことで歯髄(歯の神経と血管)を守ります。歯髄を失い、骨が感染した根の治療には限界がありますが、最善を尽くします。これらは保険診療です。口の外で作る修復では、単なる物の違いではないノウハウもありますが自費治療になります。

物の違いではないノウハウとは、例えばどのようなことでしょうか?

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保険、自費に関わらず実際に修復物を作るのは歯科医師ではなく歯科技工士です。その過程で私と患者さんがもっと積極的に関わります。技工士が仮歯を途中まで作ります。患者さんの口腔内の仮歯に、効率良く噛めて、強すぎる力から守れる、噛み合わせ面の形を与え、適合性、感覚、見た目、清掃性も正します。技工士は調整された仮歯を立体的に読み込んでジルコニア等の材料で同じ形に仕上げます。この方法ですと、基礎固めができた天然歯、生着したインプラントが悪くなりにくく、精緻な噛み合わせも再現できます。

海外の知識や技術も取り入れ、専門的な診療を行う

インプラント治療も多く手がけられていると聞きました。

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はい。顎骨・歯肉を徹底的に失ったケースが多く、骨を作り歯肉を増やす再建外科によって組織が再生してから人工歯根を埋め込みます。この再建は歯科とは言えないほどの知恵、経験、厳しさが求められます。インプラントは外科だけでは決まりません。感染防御の要となる粘膜貫通部を含む人工歯冠の作製に膨大な手間を要します。噛み合わせ、審美性、発音感覚、メンテナンスや修理のしやすさなど、細かな配慮をしています。

スイスやドイツの歯科医療も取り入れられているそうですね。

ドイツ人開業医のメーリングリストに加えてもらったことがきっかけでさまざまな歯科開業医と交流を持ち、診療所や大学も見学しました。歯科医師ではないドイツ人と家族ぐるみの長いつき合いもあり、一般の人から見た歯科のことも折に触れて聞く機会があります。成人の公的歯科保険がないスイスのインプラント普及率は90%以上、スイスは母国語が4つ、それ以外にも多言語の情報と人がヨーロッパ全土から集まり、歯科も例外ではありません。オーストリアの歯科医師は医師です。ドイツは非常に透明性の高い公的保険と私的保険の2本立てです。教育、社会、健康保険制度などが日本とあまりに違いますが、医学、歯科医学には国境がありません。知り得た中には日本では簡単にできないこともありますが、導入できるところは取り入れ、逆に日本の優れたところとコンビネーションしています。

診療をされる上で、どのようなことを大切にされていますか。

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ありきたりな言い方ですが、「自分も受けたい、家族や大切な人にする治療」をすべての方に実践することです。技術や知識はもちろん大切ですが、刻一刻変わる局面で判断を誤らないことが最も大切です。過去に良いと思って行った治療も、長い時間を経て観ると反省すべき点に気づかされます。そのような機会を与えてくださる患者さんこそが先生であり教科書です。私自身、骨造成してのインプラント治療も受けていますが経験しなければわからないことがあります。その意味ですべての患者さんが大切な存在です。

歯だけでなく口腔全体が守備範囲

先生は、口腔内において集団化した常在菌による感染症についても危惧されているそうですね。

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昔の日本人は歯に起因する病の恐ろしさを知っており、歯科を医科の一分野と捉えていた節があります。しかし今、歯は命に関係ないと歯科を軽んじるようになりました。虫歯、歯周病は単純に予防できる病気ではありません。歯は顎の骨と歯肉の一部です。顎の骨も歯肉も腐った歯根を異物として吐き出そうとします。骨や歯肉が炎症を起こしても薬で一時的に痛みは引きます。それで菌集団の巣窟と化した歯が残されると、骨も歯肉も治りません。血管を通して全身に巡りだした菌集団は薬では殺せず、免疫系でも排除されず、さまざまな厄介な病の源になります。間違った歯科情報、誤解を招きやすい報道も気になります。

印象的な患者さんとのエピソードがあれば教えてください。

最近の一例です。5歳の男の子が歯磨き中にふざけて転倒し歯ブラシで口蓋を突いたようです。もともと風邪気味だったようで、翌日、熱が39度まで上がり、食事もできずぐったり、慌てて小児科を受診。風邪症状での発熱とは考えにくく、軟口蓋に傷がありそうで診てほしいと依頼を受けました。来られた時はお母さんも憔悴しきっておられました。温めた牛乳に鎮静剤を溶かし、時間をかけて飲ませてもらいました。他の患者さんが終わった昼休み、お母さんとスタッフ皆が協力、寝入った子の口の奥を診ると、挫滅した傷が膿んでおり発熱の原因がこれだと確信、局所麻酔で壊死組織を切除開放しました。小児科に抗菌薬処方を依頼。数日後、男の子はすっかり元気になっていました。「良くなったこともだけれど、自分を責めないで、と言ってくださったことに救われました」との言葉に深い充足感と、大事に至らずに済んだ安堵感でいっぱいになりました。

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

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歯は、受けた治療でその後の運命が決まります。健全な歯ができるだけ残り、噛み合わせが維持されることが大切です。抜歯しないのが良い歯医者ではありません。経験を積んだ医療者が極めて慎重に行うインプラント治療は、歯を失う方の真に噛める部位を維持し、心身の健康が雪だるま式に損なわれていくのを防ぐ効果が期待できます。良い治療かどうかは長期に予後を観ることができて初めてわかるものです。口も歯も全身の鏡です。噂に惑わされることなく、ご自分とご家族の生涯を真剣に想像して治療を選択していただきたいです。持てる力を尽くし、信頼の絆が結べて、「歯と口腔のかかりつけ医」となれれば幸いです。

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