田村 隆典 院長の独自取材記事
丘の上歯科クリニック
(横浜市金沢区/能見台駅)
最終更新日:2023/03/03
金沢区能見台5丁目、海を見下ろす住宅街の一画に「丘の上歯科クリニック」はある。院内に広がるのは、スペースをゆったりと確保した心地良い空間。高い天井と大きな窓が印象的な待合室は開放感にあふれ、リラックスして過ごせそうな雰囲気だ。また、診療室は個室となっており、プライバシーへの配慮や感染症対策にもつながっている。「開院から12年がたちましたが、開業時から来てくださる方もいらっしゃり、信頼される喜びを実感しています」と笑顔で語る田村隆典院長は、大学院で歯周病学を専攻しその後も大学病院で歯周病や先端の治療を会得した歯科医師。「いつまでもおいしく噛める幸せを」をコンセプトに、口腔内全体をトータルに捉え、将来を見据えた治療を提案している。医院の特徴やめざす医療について聞いた。
(取材日2022年9月21日)
歯周病治療を軸に、困ったときに頼れる街の歯科医師に
開院から12年が経過されたそうですが、どのような患者さんがいらしていますか。
当院は歯周病治療を含めた包括的歯科治療を希望されて、横須賀や戸塚、県外など遠方から通っていただく患者さんもいらっしゃいますが、近くにお住まいで長く通い続けていただいている方が大半です。開業12年になりますが開業初日から今もいらっしゃってくださる方もいたり、大学病院勤務時からずっと信頼してくださって25年近くのお付き合いになる患者さんも複数いらっしゃったり、身が引き締まる思いです。診療を通し地域に歯周病ケアが根づいてきたという実感もあります。歯周病は心筋梗塞や脳梗塞、糖尿病との関連性も実証され、高血圧や糖尿病と同様の生活習慣病として位置づけられいます。歯周病罹患患者は医科における外科手術後の入院期間が長期化するとも実証されており、健康年齢を長く保つためには、歯周病の治療と予防は欠かせません。そういった情報を地域に発信できるクリニックでありたいと思っています。
長く診療を続ける中で何か変化はありましたか。
開業当初とやるべきことは同じでも、患者さんへの配慮といったものをより意識するようになってきました。例えば、状態が悪い時だけいらして、その後の受診が途切れてしまう方などもいらっしゃいます。歯を守るためには定期的に歯科を受診することがとても大切ですが、お仕事や家事、育児、介護などで、どうしても歯のことを後回しにせざるを得ないこともあるでしょう。大学病院ではそうした患者さんは少なく、開業当初はかなり困惑しました。しかし今は患者さん個々の事情があり時間的に通院が難しい患者さんも時間ができたときに受診していただけるよう、生活背景に配慮しながら歯を守るためにすべきことをお伝えすることが大切だと感じます。以前は正しいことをお伝えせねばと意気込むあまり、多少なりとも押しつけるような形になることがあったかもしれません。現在では、いずれ皆さんが歯を守る武器となれば良いという気持ちで情報提供をしています。
診療上のポリシーがあれば教えてください。
街の歯科医師として、皆さんが困ったときにお助けできる存在でありたいと思っています。痛みがあるという方はご連絡をいただいたその日に診るようにしています。今年はお正月やお盆に通院中の方からご連絡がありクリニックを開けて対応しました。休診日にも余裕があれば留守電をチェックしたり、病状が心配な方にはこちらからご連絡を差し上げたりもしています。当院に通ってしっかり治したいという方には精一杯対応して私ができることで応えていきたいと思っています。
診断装置で歯の状態を数値化し、診療に生かす
診療上の特徴について教えてください。
「虫歯になりかけなので様子を見ましょう」と言われることはよくあると思います。しかし、1人28本、仮に1ヵ月100人の方が通院すれば2800本、歯科医師がその一本一本の病状を覚えておくことは難しいです。医科は血糖値やヘモグロビンA1c値など、体の状態を数値化して記録することが当然ですが、虫歯の診断においては歯科医師の主観的な判断がいまだに行われているのが実状です。そこで当院では、歯に低出力のレーザーを当てて反射光を読み取ることで状態を数値化する、光学式虫歯診断装置を導入しています。虫歯の状況を数値化し、肉眼で確認できない状態を捉え、進行の有無を確認しながら治療へとつなげています。また、クリーニングや定期検診でも数値に基づいた適切な診断ができるよう努めています。定期検診では1回1時間しっかり時間をかけて歯茎の検査から歯石の除去、歯のポリッシングや虫歯の検査、ブラッシング指導など行っています。
予防治療にも力を入れているのですね。
定期検診において歯科衛生士は基本的に担当制としています。予防専用ルームで歯のクリーニングや予防に関するアドバイスを行っています。いつもお話しするのですが、クリニックでのクリーニングは家でいう大掃除。大掃除だけでは十分でなく、毎日正しい歯磨きを継続することも欠かせません。衛生士を担当制としているのは、それぞれの患者さんの歯並びやブラッシングの癖に合わせた磨き方のアドバイスができ、継続的に診ることで変化に気づきやすくなるからです。また、歯科治療は人と人との間で行われるもので、意思の疎通や心理的な距離感の近さも重要だと思います。1人1人とじっくりと向き合うことでより良い医療が提供できると感じています。また、定期検診の最後には、私が10倍の拡大鏡でお口の中を確認するダブルチェックを行うことで、汚れの取り残しや虫歯の見落としをなくしています。
診療の際に心がけていることはありますか。
歯が悪くなる背景には必ず何らかのストーリーがあります。歯並びや噛み合わせ噛み癖や生活習慣など、歯が悪くなってしまった理由を探るようにしています。例えば奥歯がなくて噛み合わないと、前歯だけがぶつかり上の前歯が押し出されていきますし虫歯の原因となっていることもあります。こうした理由を考慮することなしに治療しても再発したり、次々に悪くなる歯が出てきたりする結果になりかねません。初診の際に歯の欠損があれば「なぜ抜くことになったのか」を必ず尋ねますし、細かくお話を伺って悪くなる原因を見つけるようしています。その上で、どこまで治療するかは患者さん次第。経験上予見できることはすべてお話しし、5年後、10年後のために今できることをご提案しています。一生自分の歯で過ごして頂くには、10年後まで考える必要があると私たちは考えています。そのために耳の痛くなることもお話ししないといけないこともあるかもしれません。
長く親しんだ地域で「噛める幸せ」に貢献
歯科医師たちによるネットワークも大切だそうですね。
親戚に歯科大教授もおり、先輩後輩と縦横のネットワークも広く維持できています。それぞれの専門性を頼り必要に応じて患者さんをご紹介することも。身の回りに優れた歯科医師が多く存在していることは、自分にとっても患者さんにとっても大きなメリットとなっていると感じています。
休日など生活面でなさっていることはありますか?
地域密着のクリニックということで街で患者さんに出会うこともよくありますが、道端などでお会いした際に同行しているお友達やご家族に歯科受診を知られたくないという方もいらっしゃると思います。そのためあえて私からは挨拶をしないように気をつけています。失礼に感じられる方がいたら申し訳ないですが、ご理解いただけたらと思います。もちろんご挨拶いただければ信頼を感じうれしいですね。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。
地域に根差したクリニックとして患者さんの5年後10年後に予見できることについて情報発信できる歯科医師でありたいと思っております。また、患者さんに求められることに対してしっかり応えていきたいと考えています。インプラント治療も行っていますが、インプラントはブリッジや入れ歯と同様に噛むための一つのツールであり、希望された方には治療しますが、前面に出してお勧めはしていません。重要なのは患者さん個々に合った治療をすること。治療した歯をいかに良い状態で一生使えるようにするかということです。そのため、すべての歯において治療後も予防は欠かせません。歯科用CTで診断したりエルビウムヤグレーザーで歯周病治療に取り組むなど、先進機器を用いて、治療以上に治療後のケアに力を入れております。そうした診療が皆さんの全身の健康や、「いつまでもおいしく噛める幸せ」につながればうれしいです。
自由診療費用の目安
自由診療とはインプラント治療(1歯)/44万円~