外山 有加 院長の独自取材記事
オハナこどもクリニック
(高槻市/高槻市駅)
最終更新日:2026/05/08
2025年12月、高槻市に開業した「オハナこどもクリニック」。院長を務める外山有加(とやま・ゆか)先生は近畿大学を卒業後「関西医科大学」に入局。小児循環器科とNICU(新生児集中治療室)、新生児科の分野を経験。課題を感じたならば納得できるまで研鑽を重ねてきたという。また、4人の子を育てる母親でもあり「いらっしゃるお子さんを自分の子だと思って接しています」と語る表情はとても穏やか。薬の塗り方を実際にその子の肌で示し、大切なことは手書きのメモで渡すなど、診療には丁寧さが光る。今回は同院の診療や、自身の歩み、院名に込めた思いなどについて尋ねた。
(取材日2026年4月8日)
挑戦を重ねた先に開いた「オハナ」のクリニック
開業に至るまでの経緯をお聞かせください。

もともと枚方の「関西医科大学」でNICU、新生児科、小児循環器の分野を学びながら、長く勤務していました。生まれたての赤ちゃんの時からずっとお付き合いをして、成長の過程でその都度出てくるトラブルを外来で親御さんと一緒に向き合っていく。その診療スタイルがとても好きだったんです。もっと幅広い疾患や、いろいろなお子さんに出会えたらという思いが次第に強くなっていきました。そんな頃、このビルで「さいとう内科クリニック」を開かれている齊藤純先生とのご縁に恵まれました。お人柄やバイタリティーに惹かれ、一緒に頑張りたいという気持ちが芽生えたんです。現在は新生児から高校生まで、アレルギーや思春期のお悩みなど幅広く対応しています。
医師を志したきっかけや、これまでの転機について教えてください。
子どもが好きで、もとは学校の先生になりたかったんです。でも小児科医だった母から「医学部に行けば教員も臨床も研究もできる、選択肢が増えるよ」と助言をもらい、医師をめざしました。入局3年目で第一子が生まれ、外部での経験が限られる中、当直で重症の患者さんの対応にあたふたしてしまったことも……。「これでは駄目だ」と志願し、当直に積極的に入りました。NICUも、一度は課題を感じることが多いままに離れることになってしまいましたが、自ら志願して再び戻ると、母親としての視点が加わって、より面白さを見出せたんです。さらに、直属の先輩から外部病院の循環器外来を任されたことが大きな転機になりました。エコーをほとんど当てたことがない状態から独り立ちできるまでになり、背中に一本筋が通った感覚がありました。
院名の由来や院内のこだわりを教えてください。

ハワイが好きで、院名を考えていた時に、ハワイ語で「家族」を意味する「オハナ」が自分のコンセプトにぴったりだと思い、迷わず名づけました。ロゴも私自身がデザインしていて、ヤシの木で親子を、虹で架け橋を表現し、聴診器とパイナップルを添えています。院内は病院っぽくしたくないという思いから、パステルイエローやオレンジを基調にした明るい空間に。病気で気持ちが沈んでいるお子さんが、入った瞬間に少しでも安心できるように、部屋ごとに壁紙のテーマを変えたり、処置室の天井には雲の壁紙を貼ったりと工夫しています。発熱のお子さんは個室のベッドで休めるようにし、その部屋で診察を完了できる動線にもこだわりました。
薬の塗り方から心エコーまで、わが子のように丁寧に
お子さんの肌の症状やアレルギーには、どのように対応されていますか?

アトピー性皮膚炎や食物アレルギー、喘息など、アレルギー疾患のご相談はとても多いです。皮膚炎の予防と治療には特に力を入れ、お薬の処方だけでなく普段のお手入れの大切さをしっかりお伝えしています。塗り薬一つとっても、私と親御さんの「たっぷり」にはかなりギャップがあるもの。実際にお子さんの手に塗ってみせ、「これぐらいですよ」とご理解いただいて、初めて治療と思っています。食物アレルギーについてはインターネットの情報のせいで漠然とした不安を抱えて来られる方も多いので、何が正しくて何が違うのかをきちんと整理してお伝えするようにしています。
こちらで受けられる検査について教えてください。
小児循環器の経験を生かして、心エコー検査にはすぐに対応できる体制を整えています。心雑音は体調によって聞こえたり聞こえなかったりするので、園の健診などで突然指摘されると親御さんはびっくりされます。なので、たとえ無害とわかっていても、一度エコーで確認して「大丈夫だよ」とお伝えして、次に指摘があっても慌てずに済むようにしています。また、斜視や弱視のスクリーニング検査ができる機器のほか、心電図やホルター心電図、ジャンプ法による負荷心電図など、大きな病院に準じた循環器検査に対応した機器をそろえました。インフルエンザ・新型コロナウイルス感染症・溶連菌に対応したPCR検査機器も導入しています。発熱から早い段階でも検出でき、陰性であれば再検査が不要なので、保育園から急に呼び出されてすぐ来られた場合にもお役に立てます。
日々の診療で心がけていることを教えてください。

患者さん一人ひとりを「自分の子」だと思って接することが私の診療の軸です。ガイドラインを基準にしつつ、その子に合ったものを選び、時には親御さんと一緒に悩むことも。この子にとって何がベストか、あるいは現状ベターなのかを模索しながら、正しいだけでなく親御さんも納得できるゴールに着地することを大切にしています。また、患者さんは診察室で聞いた内容を1割ほどしか覚えていないとも言われるので、絶対に守ってほしいことは手書きのメモでお渡ししています。その際、自分ができないことは絶対に勧めず、親御さんが無理なく続けられるようシンプルな提案するのも私のこだわり。他にも、お子さんには診察後に、お菓子ボックスから頑張ったご褒美をあげています。どんなお菓子をどんなふうに選ぶのか、その様子に親御さんはどんな反応をされるのかといったことからもご家庭での様子が垣間見えて、診療の参考になることもあるんですよ。
家族を支える大切さを胸に、じっくり向き合う診療を
今の診療姿勢の原点となった経験についてお聞かせください。

私が大学生の時に母が他界したのですが、半年ほど入院に付き添う中で患者家族の立場を経験しました。先生の「お母さん、どうしてる?」という少しの声かけが、家族の気持ちをどれほど支えてくれるのか身をもって知ったんです。医師としての母の影響も大きいですね。自宅を兼ねる小児科医院で、休日でも患者さんを診る姿を幼い頃から見て育ちましたが、今は同じ開業医として、あの時の母の気持ちが改めてわかります。NICUで出産前から関わっていた若いご夫婦のことも忘れられません。最初は心を閉ざしていたお二人が少しずつ頼ってくださるようになって。残念ながらお子さんを救うことはかないませんでしたが、最後に「ありがとうございました」と頭を下げて帰られた姿に「関わり方」も私の大切な仕事なのだと深く思い至りました。
スタッフの皆さんについてお聞かせください。
受付と看護師の8人のスタッフで運営しています。全員が初対面のメンバーでしたが、開業準備を始めて1週間もたたず、旧知の仲間のように打ち解けてくれましたね。当院は「オハナ」を院名に冠するクリニックです。スタッフ同士の雰囲気が良くないと患者さんにも伝わってしまいますから、良いスタートが切れたと感じています。皆本当に勉強熱心で、私がいろいろな取り組みを始めようとすると必死についてきてくれますし、マニュアルも自分たちで作ってくれるんです。それぞれの個性や得意分野を生かして業務に当たってくれていて、一人ひとりがなくてはならない大事な存在です。
最後に、今後の目標と読者へのメッセージをお願いします。

親御さん一人ひとり、お子さん一人ひとりにゆっくり向き合って、丁寧に診療していきたいというのが今の目標です。スピーディーさを求めるより、じっくり話を聞いてほしいとお思いの親御さんに頼られるクリニックでありたいですね。育児をしていて悩まない親御さんはいません。それが普通です。でも、ご家庭で一人で解決できることには限りがあります。「こんなこと聞いて良いのかな」と思った時点で立派な悩み事ですから、遠慮なくご相談ください。当院では、思春期のお悩みや不登校のお子さんにも寄り添うことを大切にしており、回を重ねるごとにお子さんの笑顔が増えていったらうれしいですね。皆で一緒に考えて、皆でお子さんの成長を見守っていけたら、と。私も育児と仕事を両立させ、いつもフレッシュな気持ちで皆さんをお迎えいたします。

