伊在井 みどり 院長の独自取材記事
みどりファミリークリニック
(岐阜市/岐阜駅)
最終更新日:2026/04/15
西野町バス停から徒歩2分。2026年4月現在、高橋産婦人科の一角で診療を行い、5月には新しい建物への移転を控える「みどりファミリークリニック」。院長の伊在井みどり先生は島根大学医学部卒業後、安江病院で勤務医として長年研鑽を積む中で、患者の人生を最後まで見届けたいという思いを強くしてきた。内科・小児科を自ら担い、皮膚科を担当する長女とリハビリテーションを専門とする次女による親子3人の体制で、治療から予防、美容皮膚科まで幅広く対応する。ロゴのMの曲線には、出産・育児・介護と続く人生の波に寄り添いたいという願いを込めた。「医師は患者さんの人生を一緒に走る伴走者でなきゃいけない」と語る伊在井院長に、往診への情熱や地域医療にかける思いを聞いた。
(取材日2026年4月6日)
生まれ育った地で、人生の波に寄り添う場をつくる
こちらの地域で開業された経緯をお聞かせください。

2026年4月現在は高橋産婦人科の一角をお借りして診療しており、5月に新しい建物へ移転する予定です。この辺りは幼稚園から高校まで過ごした地元で、同級生も暮らすなじみ深い場所なんです。これまでのことをお話ししますと、出雲神話への憧れから島根大学に進み、卒業後は岐阜大学の第3内科に入局して安江病院で長年勤務してきました。勤務医時代は病院の異動があるたびに、一人の患者さんを最後まで診きれないもどかしさも感じていて……。外来で通えるうちは外来で、通えなくなったらご自宅に伺って最後まで支えたい。その思いが、かかりつけ医をめざす原動力になりました。車やバスでも来やすい立地ですので、この地域に暮らす方はもちろん、幅広い方に頼っていただけたらうれしいですね。
クリニックのロゴに込めた思いを教えてください。
アルファベットの「M」をモチーフにしたロゴには、みどりの「M」だけでなく、人生の波という物語を込めました。新しい命が生まれる喜びの波、子どもの成長を願いながら不安に揺れる波、やがて親の介護に向き合う静かで深い波、そしてふと自分の健康を見つめ直す波。その一つ一つに、家族の一員のように寄り添いたいという願いを、手をつなぐような曲線に重ねたんです。「どんなときも、一人じゃないよ」。それが私の一番の思いです。実際の診療でも、女性の患者さんはご自身の体調だけでなく、ご家族のこと、お子さんの進学のことなど、さまざまな相談をされます。内科の治療から予防、エイジングケアのご相談まで、当院に来れば何でも話せる。そんな場所をめざしています。
新しいクリニックの設計で大切にされたことはありますか?

新しいクリニックづくりで特に大切にしたのは「話しやすさ」です。患者さんもスタッフも心から話ができる、温かみのある空間にしたいと考えました。色はペパーミントグリーンを基調に、明るさと清潔感、爽やかさを感じていただけるようにしています。動線にもこだわりました。建物の中央にスタッフの動線を配置し、その周囲に待合室や検査室、リハビリ室を設けることで、スタッフと患者さんが交わらない設計にしています。感染症の方は別室で対応するなど、新型コロナウイルスの流行中の経験を踏まえた対策も徹底しました。プライバシーを守りながらも気軽に声をかけ合える雰囲気を大切にして、ハード面だけでなくスタッフの気配りというソフト面でも、安心していただける場所にしていきたいですね。
親子3人体制で、患者の暮らしを丸ごと支える
診療の内容や体制について教えてください。

私が内科と小児科を担当し、長女の澤田先生が皮膚科、次女の影島先生がリハビリを受け持つ、親子3人体制で診療にあたります。皮膚科では、しみやしわなど気になる悩みの改善を、体に負担の少ない方法でめざす美容皮膚科にも取り組んでいます。看護師も、ベテランから若手までさまざまな年代のスタッフをそろえました。患者さんの年齢層も幅広いですから、いろいろな世代のスタッフがいる「バリエーション」が大事だと思っているんです。今後は理学療法士の常勤スタッフも迎えて、リハビリ体制をさらに充実させていきたいと考えています。女性のお悩みにきめ細かく対応する一方で、男性の受診ももちろん歓迎していますし、ご夫婦で一緒にご利用されているケースもあります。ご家族みんなの健康を支える場でありたいですね。
院内の検査設備や、他の医療機関との連携について教えてください。
検査機器としてはCT、エックス線、超音波検査、心電図の他、動脈硬化の進行度を調べる血管年齢の測定機器や骨粗しょう症の検査機器を導入します。リハビリや筋力維持に活用できる運動機器も備え、検査から予防、リハビリまで1つの場所で対応できる体制をめざしています。地域連携にも力を入れていく考えで、専門性の高い治療が必要な場合はすぐに適切な医師へ紹介し、落ち着いたらまた当院に戻っていただくという流れを重視しています。私は岐阜県医師会の会長も務めていますので、そのネットワークを生かして高次医療機関とも顔の見える関係を築き、患者さんにとって適した道筋をつくっていきたいですね。
往診・訪問診療にはどのような思いがありますか?

何より、往診が好きなんですよ。患者さんのお宅に伺うことを負担だと感じたことはありません。お宅に伺うと、お部屋に飾られた賞状や写真から、その方がどんな人生を歩み、何を大切にされてきたかが見えてくるんです。病院の中だけでは知り得ない「その方らしさ」にふれられることは、医者冥利に尽きます。もう一つ大切にしているのが、介護をされているご家族の健康です。患者さんを診に行きながら、ご家族の表情や体調にも目を配るようにしています。介護する側が先に倒れてしまうことも多いんです。医師は患者さんやご家族の人生を一緒に走る伴走者でなきゃいけない、それが私の信念です。
「自分だったらどうだろう」と問い続ける医療
患者さんとの向き合い方で大切にされていることを教えてください。

お話を聞くとき、その方に自分を重ね合わせて考えるようにしています。自分ならこうしてほしいだろうな、こう思っているのかなと想像できれば、先回りして提案もできますし、つらい思いをさせずに済むこともあります。心に余裕がないとそこまで気を配れないでしょうから、じっくりお話を伺える今の環境はありがたいですね。「今日は話を聞いてもらえただけですっきりした」と笑顔で帰られる方もいます。対話でご本人の気力が高まるなら、それも大切な医療だと思うのです。体の不調の背景にストレスがあるケースも少なくありませんから、心と体の両面を支えることを意識しています。付き添いのご家族が話したそうにしている気配を察して声をかけることも、スタッフみんなで大切にしたいですね。
予防という観点での取り組みについて教えてください。
これからは予防医学の時代だと確信しています。病気になる前にコントロールを図ることで、合併症を防ぐことにもつながります。私は長年、糖尿病の診療に携わってきましたが、血管の状態は今ではなく数年前のコントロールを反映しているんです。今は数値が良くても過去の蓄積で心筋梗塞や脳梗塞が起きることもある。だからこそ、早い段階からの予防が大切です。高齢の方の転倒予防も大きなテーマで、近隣でも横断歩道を渡りきれずに転んでしまう方を見かけます。歩ける体を維持するための筋力づくりを支援していきたいですね。情報が多すぎて何を信じれば良いかわからないという声もよく聞きますので、ホームページなどを通じて正しい医療情報を発信することにも、娘たちの力を借りながら取り組んでいきます。
最後に、読者の方へメッセージをお願いします。

どんな悩みも一人で抱えていては解決しません。体のこと、子育てのこと、ご家族のこと、何でも話せるクリニックにしますので、気軽にご相談ください。小児科から在宅医療まで対応していますから、お子さんの頃からの長いお付き合いができればと思っています。一緒に健康をつくっていきましょう。私自身、1人ではできないことばかりだと実感する毎日です。移転準備と岐阜県医師会会長の仕事に追われる日々ですが、休日に通っている日本舞踊のお稽古で生まれた「人とのつながり」に、いつも助けられているんです。困ったときに声を上げられる場所がある、それだけで気持ちは軽くなります。ロゴに込めた「どんなときも、一人じゃないよ」という思いを胸に、皆さんの人生の波に伴走し続けたいと思います。
自由診療費用の目安
自由診療とはしみのケア/1万円~、しわのケア/1万5000円~

