三浦 理 院長の独自取材記事
みうらクリニック
(新潟市西区/寺尾駅)
最終更新日:2026/03/03
新潟市西区、国道116号亀貝インターチェンジから車で5分程の場所に2025年11月に開院した「みうらクリニック」。院長の三浦理(さとる)先生は新潟市出身で、新潟大学医学部卒業後、県内各地の総合病院で地域医療に従事。呼吸器内科を専門とし、静岡がんセンターで研鑽を積み、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医の資格も取得。その後、新潟県立がんセンター新潟病院で診療部長として、先端のがん診療の前線で活躍。医師として25年のキャリアを築く中、50歳という節目に「よりダイレクトに、長く患者さんと向き合いたい」という想いから地元での開業を決意した。休日は全国各地での講演やセミナー、勉強会活動などを通じ、がん啓発にも注力する三浦院長に、コンセプトや今後の展望を聞いた。
(取材日2026年1月7日)
風邪からがんまで身近で頼れる医療をめざして
開院時に描いたクリニック像をお聞かせください。

思い描いていたのは、風邪や生活習慣病といった身近な不調から、専門的な知識が求められるがん患者さんまで、安心して相談できるクリニックです。がん治療中の方は、治療内容や薬が複雑なため、大規模病院での受診が中心となりがちですが、実際には開業医でも対応できる症状も少なくありません。一方で、がん治療の副作用が見過ごされてしまう場面も、がんセンターで経験してきました。約10年にわたるがんセンターでの診療経験を生かし、専門病院と連携しながら、身近でありながら頼りになるクリニックをめざして、開業しました。
そのようなクリニックは珍しく、がん患者からするとありがたいですね。
かつては「がん=不治の病」という印象が強くありましたが、今では日本人の2人に1人ががんを経験するといわれ、決して特別な病気ではありません。治療の進歩により、進行がんでも治療を続けながら日常生活を送る方や、寛解につながる方も増えています。一方で、治療後の副作用や再発への対応に不安を感じ、地域医療への引き継ぎが難しい場面も少なくありません。だからこそ、がんを含め全身を総合的に診る、すなわち「人を診る」ことができるクリニックをめざしています。そのようなクリニックは、がん患者さんのみならず、多くの皆さまにとっても心強い存在になると考えています。
一方、クリニックの造りでこだわられた点は?

内装は、看護師である妻が中心となりデザインしてくれました。動線やプライバシーへの配慮にもこだわり、壁紙や床材、受付の設計に至るまで、ほぼすべてを妻が手がけています。妻はこれまで、子どもを連れて病院に通う中で、「こうだったら安心できる」「もっと快適に待てたらいいのに」といった患者目線の気づきを数多く重ねてきました。その経験から、特に待合室は、安らげる場所にしたいという思いを大切にしています。開放感のある空間づくりや、木目調を程良く取り入れることで、いわゆる“病院らしさ”をできるだけ感じさせずに、「来院された方が、少しでも癒やしを感じられる場所であってほしい」そんな思いを形にしてくれました。
患者と対等な関係を築き「生涯の主治医」に
開院から約2ヵ月。手応えはいかがでしょうか?

特に印象的だったのは、「生涯の主治医を見つけたい」と来院された方がいらっしゃったことです。そうした声にふれるたび、私たちがめざす医療の形が、少しずつ患者さんに届いていると感じます。一方で、「家から近い」「喘息がなかなか治らなくて」といった身近な理由で受診される方も多く、そうしたきっかけも大切だと思っています。また、「普段の主治医には相談しづらい」という悩みを抱えて来院される方に対し、開業医として一緒に向き合うことで、笑顔で帰っていただけることもありました。こうした多様な声に向き合う中で、開院時に掲げたコンセプトは間違っていなかったと実感しています。
患者と向き合う際に意識している点とは?
大切にしているのは、医師と患者さんが「適度に対等な関係」を築くことです。どうしても医師と患者さんの間には「上下」の関係が生まれがちですが、それが強すぎると医師の独断になってしまうし、かといって曖昧すぎても良い医療は成り立ちません。雑談も交えながら、患者さんが遠慮せずに気軽に相談できる雰囲気づくりを心がけています。特にがん治療では、病気そのものだけでなく、住環境や通院手段、家族構成、生活背景まで含めて治療を考える必要があります。医師が一方的に決めるのではなく、情報を共有しながら一緒に最善の方法を探す「共有意思決定」が重要です。この姿勢は、がん治療に限らず、一般内科においても同じですよね。
AI診断を併用した胸部CT検査も導入されていますね。

当院では、AI診断を併用した胸部エックス線・胸部CT検査を導入しています。画像を解析し、見落としを防ぐことを目的としたAIです。限られた診療時間の中では、経験豊富な医師であってもリスクを完全にゼロにすることはできません。そのため、まず医師が診断を行い、その後AIでも画像を確認することで二重チェックを行っています。一方、異常が「がんかどうか」の判断には、長年がん診療で培った医師の経験と知識が欠かせません。AIと人の強みを組み合わせることで、より質の高い医療を提供できると考えています。
がん治療を通じて患者の人生を支えたい
医師をめざしたきっかけとご経歴について教えてください。

両親が医師という環境で育ちましたが、進路を真剣に考えたのは高校卒業を控えた頃でした。人の役に立ち、誰かの心に残る仕事がしたい」と思い、医師の道を選びました。新潟大学医学部へ進学し、県内の大学病院や総合病院で勤務し、地域医療や高齢者医療、訪問診療を経験しました。その中で、専門性にとらわれず、まずは目の前の患者さんを受け止める姿勢の大切さを学びました。がんや慢性疾患の患者さんと長く向き合う中で、医師の関わり方そのものが治療に影響する分野にこそ自分の役割があると感じ、現在の診療スタイルにつながっています。
印象深い患者さんとのエピソードは何かございますか。
今も強く心に残っている出会いは、勤務医時代に担当した若い男性のがん患者さんです。治療の末、病気を治すことはできませんでしたが、最期に彼はこう言ってくれました。「がんは治らなかったけれど、先生に治療してもらったから悔いはありません。もし生まれ変わって、もう一度同じ病気になっても、また先生に主治医をお願いします」。その言葉は、私に医療の本質を教えてくれました。命を救うことができなくても、心に寄り添い、その人の人生を支えることはできる。患者さんが自分の人生に納得して旅立てたなら、それは決して「負け」ではありません。その同伴者としてまた自分を選んでいただいた、という、医師としてこれ以上ない言葉だと今も感じています。
今度の展望をお聞かせください。

病気の治療はもちろん、病気の「前と後」のケアにも力を入れていきたいです。まず「病前」の予防医療として、ワクチン接種を積極的に行い、病気にかからないことを大切にしていきます。次に「病後」のがんサバイバーケアです。がんが寛解しても、再発や二次がんへの備え、継続的なケアが必要な方は増えています。当院では肺がんに限らず、乳がんなど他のがんを経験された方も、安心して通い続けられる体制を整えていきます。がん診療に限らず内科疾患を幅広く受け入れ、地域の皆さまが「何かあればまず相談できる」身近な存在として、誰もが安心して通える「受け皿」のクリニックを、頼れるスタッフとともに育てていきたいと考えています。

