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甕 里紗 院長の独自取材記事

もたい耳鼻いんこう科クリニック

(東海市/加木屋中ノ池駅)

最終更新日:2026/10/30

甕里紗院長 もたい耳鼻いんこう科クリニック main

穏やかな住宅地が広がる東海市加木屋町に、2025年に甕里紗院長が開院した「もたい耳鼻いんこう科クリニック」。甕院長の父が開設した、東海市富木島町にある「もたい耳鼻咽喉科」の分院だ。甕院長は、愛知県がんセンターで頭頸部外科の研鑽を積み、一宮市立市民病院では医長として腫瘍の手術に数多く携わってきた日本耳鼻咽喉科学会耳鼻咽喉科専門医。豊富な経験に裏打ちされた素早い見極めを強みとしつつ、何より大切にしているのは患者との対話である。「患者さんからの情報が得られなければ、正しい判断はできない」と、相手の顔を見て雰囲気に合わせた話し方を心がけるなど、話しやすさへの工夫を惜しまない。同じ地域で開業医を続ける父への敬意を胸に、患者のためにという志で日々の診療に臨む甕院長に、その思いや今後の展望を聞いた。

(取材日2026年9月29日)

豊富な経験と先進の設備が支える、見極めの診療

まずは開業に至るまでの経緯を教えてください。

甕里紗院長 もたい耳鼻いんこう科クリニック1

もともと耳鼻咽喉科の中でも頭頸部外科という、腫瘍の手術を行う領域を専門にしたいと考え、愛知県がんセンターで研鑽を積みました。その後、以前勤務していた病院に戻り診療を続ける中で、自身の今後のキャリアや地域医療への関わり方について改めて考えるようになりました。ちょうどその頃、同じ地域で耳鼻咽喉科を開業している父の姿を身近で見てきたこともあり、地域の皆さんのお役に立てる診療に携わりたいという思いがより強くなったんです。そして、父が開業している地域で新たに診療を行う機会に恵まれたことが、大きな転機となりました。長年にわたり父が地域で築き上げてきた信頼や想いを受け継ぎながら、自分自身も地域医療に貢献していきたいと考え、開業を決意しました。父が見つけてきてくれた土地とのご縁もあり、この場所でスタートを切ることになりました。将来的には父もこちらに合流し、一緒に診療に携わっていく予定です。

クリニックの診療や設備面でのこだわりを教えてください。

がんセンターや市民病院で腫瘍を数多く診てきましたので、エコーの画像や触診から、これは経過を見て大丈夫なのか、すぐに大きな病院を受診すべきなのかといった見極めができます。腫瘍の診療で培った経験を生かし、異変を早い段階でとらえ、必要に応じて速やかに大きな病院への紹介につなげることを心がけています。設備面では、正確な診断をしたいという思いから、耳鼻咽喉科用のCTを導入しており、副鼻腔炎などの精度の高い診断に活用しています。CTがあると聞いて来院される患者さんもいらっしゃるんですよ。また、滲出性中耳炎に対するチューブ留置といった外科的な処置にもクリニック内で対応しています。

どのような患者さんが来院されていますか?

甕里紗院長 もたい耳鼻いんこう科クリニック2

お子さんの来院が一番多く、お子さんをきっかけにご家族で通ってくださる方も多いですね。主訴としては風邪やアレルギー性鼻炎など日常的なものが中心です。印象的なのは、めまいでお困りの方が、複数の医療機関を回っても改善せず当院にたどり着くケースがあることです。耳鼻咽喉科とめまいはなかなか結びつきにくいと思いますし、耳鼻咽喉科医の中でも得意不得意が分かれやすい領域でもあります。私自身、専門と胸を張れるほどではありませんが、困っている患者さんの最後の受け皿にはなりたいと思っています。もちろん、当院だけでは対応が難しい場合は、近隣の大規模病院や小児の専門医療機関などへご紹介しますので、どこに相談すればいいか迷っている方も、まずは気軽にいらしてください。

患者にとって「何でも話せる相手」でありたい

診療で大切にされていることは何でしょう?

甕里紗院長 もたい耳鼻いんこう科クリニック3

患者さんに話しやすいと感じてもらうことを、一番大切にしています。以前の勤務先で「あの先生には言えなかったんだけど」と打ち明けてくださる患者さんが何人もいました。患者さんからの情報が得られなければ、こちらも正しい判断ができません。伝え損ねたことで治らなかったとなれば、お互いにとっていいことがないんです。友達のように仲良くしたいわけではないけれど、何でも言える存在でありたい。お医者さんだからと構えてしまう緊張感を取り除いてあげたいという気持ちです。具体的な工夫としては、カルテを書きながらでも返事をする時は必ず患者さんの顔を見ること。そして最初に少しお話しした印象から、その方に合った話し方や言葉遣いを選ぶようにしています。

お子さんの診療で、意識されていることはありますか?

耳鼻咽喉科には診察用の椅子や器具がたくさん並んでいますから、お子さんにとっては怖い場所になりがちだと思います。だからこそ、嫌がるお子さんを無理に押さえつけるのではなく、少し遊びを交えながらうまく誘導するようにしています。それでも嫌がるようであれば、途中でやめる判断をすることもあります。無理にやってしまうと、その子は当院だけでなく、この先どこの耳鼻咽喉科にも行けなくなってしまうかもしれない。それはその子にとって不利益でしかないからです。例えば耳掃除のときに、途中でお子さんが嫌がってしまったものの、親御さんは今日のうちに済ませてほしいとおっしゃる場合も。そんなときは、長い目で見た対応をご理解いただくよう保護者の方に声かけしています。なお、当院のスタッフは全員女性ですので、お子さんにも安心していただきやすい環境かなと思います。

予約の仕組みについてもお聞かせいただけますか?

甕里紗院長 もたい耳鼻いんこう科クリニック4

耳鼻咽喉科では順番予約が一般的ですが、朝の受付開始に間に合わなければ予約が取れなかったり、何番目に呼ばれるかわからないまま体調が悪い中で長時間待たなければならなかったりと、患者さん側の負担が気になっていました。当院では時間帯予約を採用し、30分ごとに6人の枠を設けています。現状、多少のずれはあっても30分以内にはお呼びできています。1人あたり約5分の時間を確保でき、じっくりお話を伺いたい方には10分ほどかけることも可能です。わざわざ来てくださった方には、しっかり治療にあたるのはもちろん、“ちゃんと診てもらえた”という実感も持って帰っていただきたい。一人ひとりの患者さんに丁寧に向き合える診療を大事にしています。

父と同じ志で歩む、患者のための医療

先生が医師をめざされたきっかけを教えてください。

甕里紗院長 もたい耳鼻いんこう科クリニック5

父方が医師の家系で、私で4代目になるのですが、最初は機械を作ることに興味があり、名古屋大学の理学部に進みました。生命工学科では医療機器の開発にも関わるような分野を学び、とても興味深く取り組んでいました。大学生活を通じて将来について考える中で、人と直接関わりながら力になれる仕事にも強く魅力を感じるようになり、身近にある医療という仕事を改めて意識するようになったんです。そこから名古屋市立大学の医学部を再受験し、医師の道に進むことを決めました。

開業医になられた今、お父さまへの思いをお聞かせください。

以前は同じ医師でも、父は開業医、私は病院で手術をする立場と、働く場面がまったく違っていました。正直なところ、自分より経験のある先輩くらいの感覚だったと思います。それが、自分も開業してみて初めて、父が一人で築き上げてきたものの大きさに気づきました。経営のことも含めて、自分が同じ年齢になった時にここまでできるだろうかと考えると、素直にすごいなと感じます。父はもともと何事にも全力で取り組む人で、遊びも仕事も本気でやれとずっと言われてきました。その姿勢は自分にもしみついていると思います。そして開業してから気づいたのは、「患者さんのために、患者さんに信頼されるように」という私のスタンスが、父と同じだったということです。話し合ったわけではないのに同じ方向を向いていたとわかったことが、これから一緒にやっていける確信になっています。

今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

甕里紗院長 もたい耳鼻いんこう科クリニック6

将来的には父のクリニックを閉じ、父がこちらに合流する予定です。そうなると、父の診療を信頼して通ってこられた患者さんを私がお引き受けすることになります。その方たちをがっかりさせないよう、父から吸収すべきことはしっかり学んでいかなければと思っています。今後はめまいの検査機器を充実させるなど、お困りの方の受け皿をもっと広げていきたいとも考えています。そして患者さんの中には、「薬をもらうときしか行ってはいけないのでは」「こんなことで受診していいのかな」と迷っている方も少なくありません。相談だけでもまったく構いませんし、気になることがあればいつでも何でも来てください。そう気軽に思ってもらえるクリニックをめざしていきます。