岡崎 健 院長の独自取材記事
HALSA DENTAL CLINIC
(京都市下京区/四条駅)
最終更新日:2026/01/14
四条駅から徒歩9分、四条通から南に入った閑静な住宅地に2025年12月に開業した「HALSA DENTAL CLINIC」がある。北欧を思わせるデザインに和のテイストが調和する院内は、淡いグリーンと白、木目を基調とした清潔感あふれる空間だ。岡崎健院長は18年間歯科技工士として入れ歯などの製作に携わった後、40歳で歯学部に入学し歯科医師へ転身したユニークな経歴の持ち主。「自分の作った入れ歯や差し歯で患者さんは満足しているのか、最後まで向き合いたかった」と穏やかに語る。歯科技工士時代の技術を生かし、入れ歯の修理をその場で行えることが強みだという。入れ歯治療への情熱や予防歯科の取り組み、地域医療にかける思いなどについて詳しく聞いた。
(取材日2025年12月26日)
最後まで患者と向き合うため歯科技工士から歯科医師へ
まずは先生のこれまでの歩みについて教えていただけますか。

私は18年間、歯科技工士として入れ歯や差し歯を作る仕事に携わっていました。もともと細かい作業が好きで性に合っていたのですが、長く続けるうちに「自分の作ったもので患者さんは本当に満足しているのだろうか」という思いが膨らんでいったんです。歯科技工士は直接患者さんと会うことがないので、その答えを確かめる術がありませんでした。そんな折、内科医である父から「歯科医師にならないか」と言われまして。当時は自分には縁のない話だと感じていましたが、数年後、自分の将来を考えたときにその言葉を思い出し、40歳で歯学部への挑戦を決意しました。若い同級生たちに食らいつきながら6年間学び、なんとかストレートで卒業と国家試験合格を果たすことができたのは、家族の支えがあったからこそです。
開業に至るまでの道のりをお聞かせください。
朝日大学卒業後は大学病院で研鑽を積み、枚方市の三上歯科クリニックで歯科全般を学ばせていただきました。その後、京都に戻り今出川前田歯科医院、伏見のまぶち歯科医院で勤務を重ねました。特にまぶち歯科医院は高齢の患者さんが多く、入れ歯治療の経験を数多く積ませていただいたことで、歯科技工士時代に培った技術と臨床経験が結びつき、大きな自信につながりました。開業を後押ししてくれたのは、「一緒にやろう」と言ってくれた歯科衛生士の存在です。現在は副院長として支えてもらっていますが、その方の横のつながりで優秀なスタッフも集まってきてくれました。人との縁に恵まれて、ようやく開業にたどり着くことができたと感じています。
この場所で開業された理由とクリニックについて教えてください。

父が下京区で内科医院を開業しているので、同じ地域で歯科を開きたいという思いがありました。糖尿病と歯周病の関連が注目される今、医科歯科連携を視野に入れた診療ができればと考えています。父は80代になった今も勉強会に足を運び勉強を続けている人で、特に糖尿病の知見が深いので、将来的に連携できたらいいですね。クリニック名の「HALSA(ヘルサ)」はスウェーデン語で「健康」を意味し、お口だけでなく全身の健康への思いを込めました。院内は北欧デザインをベースに、京都らしく掛け軸を飾るなど和のテイストもプラス。診察室は半個室にして、プライバシーに配慮しつつ圧迫感のない空間をめざしました。
入れ歯治療と予防歯科を軸に、地域の健康を支える
力を入れている治療について教えてください。

やはり18年間の歯科技工士経験を生かした入れ歯治療ですね。通常、入れ歯が壊れると歯科技工所に出して修理するため、4〜5日、長ければ1週間ほどかかりますが、その間、患者さんは入れ歯なしで過ごさなければなりません。私は歯科技工士時代に修理を数多くこなしてきましたので、その場で直してお帰りいただくことができます。また、入れ歯は作って終わりではなく、入れてからがスタートだと考えています。靴に例えるとわかりやすいのですが、お店ではぴったりでも実際に歩くと靴擦れができることがありますよね。入れ歯も同じで、食事をすると「ここが痛い」という箇所が出てくるんです。その原因をしっかり見極めて、満足できるものになるよう調整を繰り返すことが大切です。入れ歯が合わず困っている方々の力になりたいと思っています。
他に注力されている分野はありますか。
予防歯科にも力を入れています。副院長を務める歯科衛生士は歯周病に関する知識が豊富な、予防のスペシャリストです。歯周病は国民病の一つといわれていますし、どんなに歯を治療しても土台がぐらぐらでは意味がありません。機器にもこだわり、微細なパウダーを吹きつけて着色汚れを落とすエアフローや、効率良く歯石を除去できる超音波スケーラーを導入しました。また、女性の歯科医師も在籍しています。男性・女性両方の歯科医師がいることで、幅広いニーズにお応えできる体制を整えています。
患者さんと接する際に心がけていることを教えてください。

説明を大切にし、理解して納得していただいてから治療に移るようにしています。今後どのような治療をして、その結果どうなるのかをきちんとお伝えし、患者さんに確認を取る。当たり前のことですが、とても大事だと思っています。これまで丁寧に治療の説明を受けたことがなかったという患者さんも多く、改めて治療前に行う説明の重要性を感じました。歯科技工士時代、私は患者さんの声を直接聞くことができませんでした。歯科技工所の営業担当者を通じて喜んでくださった方がいると聞いたときは、本当にうれしかったですね。今は患者さんの喜びの声を直接頂ける。その一つ一つが私にとっての喜びであり、歯科医師になってよかったと心から思える瞬間です。
チームで支え合い、地域に寄り添うクリニックへ
スタッフさんについてお聞かせください。

歯科衛生士は副院長の他2人、歯科助手が2人、そして女性の歯科医師が1人という体制です。皆さん経験豊かで優秀な方ばかりで、患者さんへの説明やインフォームドコンセントをしっかり守ってくれています。歯科医師一人では何もできませんし、いつも周りに支えてもらっていると感じていますね。だからこそ、スタッフが働きやすい環境を整えることを意識しています。滅菌にもこだわり、クラスBのオートクレーブや高性能ジェットウォッシャーを導入しました。これは感染症対策としてはもちろん、スタッフの手間を軽減する意味もあります。受付の助手は来年から働きながら歯科衛生士学校に通う予定で、私もセカンドキャリアの人間ですから、その挑戦を応援したい気持ちです。
今後の展望についてお聞かせください。
将来的には口腔内スキャナーやCAD/CAMシステムを導入し、院内でかぶせ物を作れる環境を整えたいと考えています。歯科技工士としての技術を持っているので、それをより生かせる体制にしていきたいですね。また、矯正を専門とする先生に来ていただく予定があり、そのためのセファロ(頭部エックス線規格写真撮影装置)はすでに導入済みです。
お忙しい日々かと思いますが、どうやってリフレッシュされていますか?

休日は、細かい作業が好きなのでプラモデル作りを楽しんだり、釣りやキャンプで自然に触れてリフレッシュしたりしています。舞鶴や宮津の海に船で出て、ブリやハマチを釣ることもあるんですよ。そうやって心身を整えながら、日々の診療に向き合っていきたいと思っています。
最後に、読者へメッセージをお願いします。
入れ歯が合わなくて困っている方がいらしたら、ぜひ一度ご相談ください。歯科技工士時代から真摯に入れ歯と向き合ってきましたから、お力になれることがあると思います。当院は地域密着のクリニックとして、近隣の方に気軽に足を運んでいただける場所でありたいと考えています。外観のためか、「保険診療はやっていますか?」と聞かれることもあるのですが、もちろん行っていますので、どうぞ安心してください。何か気になることや困ったことがあれば、遠慮なくお電話いただければと思います。私は歯科医師へと転身し、今ようやく患者さんと直接向き合える立場になりました。その喜びを胸に、皆さんのお口の健康、ひいては全身の健康を支えていけるよう、スタッフとともに努めてまいります。

