松岡 大輔 院長の独自取材記事
まつおか整形外科クリニック
(松原市/高見ノ里駅)
最終更新日:2025/12/25
高見ノ里駅から徒歩約20分、大型商業施設のあるにぎやかなエリアに2025年11月に開業した「まつおか整形外科クリニック」。松岡大輔院長は、音楽大学卒業後、医師へ転身した異色の経歴を持つ。府中病院で救急外傷を、香芝旭ヶ丘病院では人工関節を専門に研鑽し、大学院で博士号も取得した。「不安や痛みを緩和して少しでも元気になってもらいたい」という思いを込め、アイボリーとターコイズグリーンで彩った院内には、体外衝撃波治療装置やエコーなど先進設備を導入。一般整形外科からスポーツ整形外科、人工関節手術、保存的治療まで幅広く対応し、子どもから高齢者まで幅広い年代の多種多様なニーズに応えている。患者の不安や生活に親身に寄り添い地域医療に貢献する松岡院長に、これまでの道のりや診療への思いを聞いた。
(取材日2025年11月28日)
音楽の道から転身した人工関節のスペシャリスト
先生は音楽の道から医師へ転身されたと伺いました。

音楽の人を癒やす力に惹きつけられ、かつては音楽大学で作曲を学びました。卒業後に音楽を仕事にする難しさを感じていた中、医師である父から「医師になってみないか」と勧められたんです。その時に聞かされたのですが、父は若くして亡くなった私の祖父が病気を患い入院した経験から、「自分が治すことができれば」と強く思い医師になったそうです。人を癒やすという意味で音楽と通じる医師という仕事への憧れと父の語った話に背中を押され、医学部受験に挑戦。回り道のようで、音楽で培った集中力やストイックさは今に確実に生きています。右手と左手でまったく違うことをする、作業をしながら全然違うことを考える、これは音楽も手術も一緒なんです。
勤務医時代はどのような経験を積まれましたか?
府中病院では救急外傷をメインに内科的な初期対応も徹底的に学びました。糖尿病や肺炎などの合併症にも対応できる力が身につき、今も生きています。整形外科を選んだきっかけは、初期研修2年目の地域研修で西伊豆病院(現・西伊豆健育会病院)の仲田和正先生に出会ったことです。人間的に素晴らしい方で、仲田先生が外科医であったことやいただいたアドバイスから、整形外科の道に進むことにしました。その後、香芝旭ヶ丘病院では人工関節を専門に研鑽を積み、社会人大学院に通いながら研究にも従事しました。膝の人工関節をテーマに博士号を取得し、診療でも多くの症例を蓄積できたことで、手術中の判断が格段に早くなりました。
開業を決意した理由を教えてください。

腰痛や肩痛などで苦しむ方を幅広く救いたいという思いがありました。手術が必要な方だけでなく、手術に至らない多くの患者さんがいる中で、皆さんの不安を解消することができるはずという自負もありました。開業にあたり、人工関節については適応の判断から手術、術後の経過観察まで一貫して診られる体制をつくりたいと考えていました。松原という地を選んだのは、実家の堺から近いことと、周辺にクリニックが少なかったからです。大型ホームセンターやスーパーが並ぶにぎやかなエリアで、幅広い年齢層の方が住んでいます。開業してみると、小さいお子さんから高齢者まで多世代の皆さんが来院くださり、ありがたい限りです。主訴としては、お子さんだとケガや歩き方への不安、学生はスポーツ外傷、働き盛りの世代では腰・肩・首の痛み、ご高齢の方は骨折、膝・股関節の痛みなどをご相談いただくことが多いです。
人工関節手術から保存的治療まで先進設備で幅広く対応
人工関節手術における先生の強みとこだわりをお聞かせください。

先ほどお話しした大学院での研究を通じて得た知識や、臨床経験で得たさまざまなデータが強みの一つ。経験を数字として把握し、頭にたたき込んでいるのでより良い結果を得るにはどうすればいいか、術中に素早く判断できるように鍛錬してきました。人工関節を適応すべき症例か、どんな方法で行うのが適切かを判断する目も養ってきました。また、人工関節手術を一貫してフォローできる体制は大きな強みだと思います。手術は高村病院、松原徳洲会病院、富田林病院、吉本整形外科などの提携病院で行い、術後の経過観察は当院で行います。総合病院で手術を受け、その後も通い続けるのは患者さんにとって負担が大きいですからね。
体外衝撃波治療装置やエコーなど、機器面でのこだわりがあるそうですね。
体外衝撃波治療装置は、難治性の足底腱膜炎やその他さまざまな疾患による痛みの改善を図るにあたって非常に有用です。エコーも先進のものを導入しました。高画質なだけでなく、細かい神経まで描出できるので、エコーガイド下ブロック注射の精度が格段に上がります。関節軟骨や神経、血管といった危険な組織を傷つけないよう注射ができる、安全性の点から見ても当院に欠かせないツールです。また骨密度を精密に測定できるDXA法検査装置を導入し、骨粗しょう症の診断・治療に活用しています。年齢や生活習慣、骨密度から総合的に判断し、一人ひとりに合う治療プランをご提案させていただきます。
患者さんと向き合う際に大切にしていることは何ですか?

まずあいさつをして、目を見て話すこと。そして患者さんと対等に話し合うことを大切にしています。クリニックに来られるということは、何かしら困っていることがあって不安を感じているはず。その気持ちを大事にしないといけません。私自身、患者さんから学ぶことも多いんです。文献には基本的なことから最新の知見まで書かれていますが、どういう作業の時に困っているのか、どのような痛みか、どの時間に痛みが出るのかなどは、一人ひとりの生活を聞かないとわかりません。想像力を働かせながら、その方の背景まで理解しようと心がけています。例えば「腰が悪い」と訴えられていても、実は股関節が悪い人がたくさんいます。痛いところだけでなく全身を診ることで、本当の原因を見つけ、改善につなげていくことができれば、という思いで皆さんと向き合っています。
クリニック一体で、改善に向けた道が開けるきっかけに
リハビリテーションや他の診療科との連携について教えてください。

広々としたリハビリテーション室を設け、理学療法士が中心となりリハビリテーションを提供しています。患者さんの状態や目標に合わせ、運動療法や物理療法などを組み合わせて行います。私が手術を行った患者さんはもちろん、近隣の病院で手術を受けた方の術後リハビリテーションも積極的に受け入れていきたいと考えています。他科との連携については、同じクリニックビルの1階に小児科と内科があるので連携が取りやすいのも強みです。合併症のある方は内科へ、逆に向こうからも整形疾患の相談を受けることがあります。
スタッフさんについても伺えますか?
現在は私と事務4人、看護師が1人、理学療法士が1人という体制ですが、近く看護師を1人、理学療法士を2人増員予定。まだ開業して間もないですから、今後はスタッフ全員がプロ意識を持ち、気持ちを一体にして人間的に成長できる集まりにしていきたいと思っています。教育にも注力し、ここで学びたいという人が出てきたらうれしいです。例えば理学療法士には一般的なことに加え、専門性も磨いてもらいたいです。体外衝撃波治療装置やエコーなどのツールも用意していますから、どんどんスキルを上げていってほしいです。そしてスタッフには、当たり前のことですが、しっかりあいさつし、「ありがとうございます」と「ごめんなさい」を言える人であってほしい。当院の患者さんは穏やかで優しい方ばかりなので、私たちも誠実さで応えていくことで、患者さんの不安を少しでも解消できればという想いです。
最後に、地域の方々へメッセージをお願いします。

当院が注力している人工関節手術は、生活の質を高めるためにも有用な治療の一つです。人によっては、人生が変わる選択肢かもしれません。適応を見極め、手術から術後のフォローまで一貫して対応させていただきますので、ぜひご相談ください。もちろん人工関節のことに限らず、どんな小さなことでも構いませんから、いつでもお気軽にご来院いただけますと幸いです。痛みの背後にある原因を精査し、改善のお手伝いをいたします。医師という仕事は、人の人生に直接関わることができる数少ない職業です。受診することがお悩みの改善に向けた道が開けるきっかけになれるよう、患者さんと誠実に向き合ってまいります。その結果、「納得のいく治療が受けられた」「いい雰囲気だった」と評価いただく中で自然と患者さんが増えていく、そういうクリニックでありたいです。

