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永瀬 裕朗 院長の独自取材記事

永瀬医院

(西宮市/甲子園口駅)

最終更新日:2026/01/20

永瀬裕朗院長 永瀬医院 main

JR神戸線・甲子園口駅から徒歩7分にある「永瀬医院」。2025年、2代にわたり受け継がれてきた歴史ある診療所を継承した永瀬裕朗院長は、神戸大学大学院で子どもの心の問題を学び、兵庫県立こども病院では急性期医療に従事した。日本小児科学会小児科専門医であり日本小児神経学会小児神経専門医として、小児のさまざまな問題に取り組んでいる。「父と近所の人々のやりとりがまさにコミュニティーそのものだった」と、2年前に倒れた父の姿に地域医療の本質を見ていたと振り返る。ブドウのロゴマークには「つながって生きる」という思いを込め、小児だけでなく、高齢者まで幅広く診療する。「子どもも大人も、みんなが健やかに暮らせるまちづくりに参画したい」と訴える永瀬院長に、コミュニティーとともに歩む同院と、医療にかける思いを尋ねた。

(取材日2025年11月25日)

コミュニティーとともに歩む

医院を継承されたきっかけを教えてください。

永瀬裕朗院長 永瀬医院1

医師になった頃から「いつかは継ぐんだろうな」という思いはありましたが、決定的だったのは2年前、父が倒れたことでした。患者さんへ紹介状を書いていた時、多くの方から「先生、どうか続けてくださいね」と声をかけていただいたんです。当時、私は神戸大学で「医療だけでは解決できない子どもの心の問題には、行政や教育、そして地域のコミュニティーの力が必要だ」と強く感じていました。そんな中で、父と地域の方々の関係を間近で見て、「これこそがコミュニティーそのものだ」と思ったんです。父が転んでけがをした時に助けてもらった、買い物の荷物を持って帰ってきてもらったなど患者さんに助けられたエピソードも数多く聞き、近所の人たちと一体となって支え合っていた姿をあらためて知りました。そこに、私がめざしていた医療のかたちがありました。だからこそ、この町で、父の医院を継ぐことを決意しました。

医師の道へ、そして小児神経内科へと進まれた経緯を教えてください。

医師だった父の背中を見て育ったので、自然と医師をめざすようになりました。大学院時代は新生児医療に従事したのち、心身症や発達障害などの子どもの心の問題を扱う分野である発達行動小児科学について学びました。環境を調整することで助かる子どもを助けたいという思いがあったんです。その後、米国留学を経て、メンターだった教授から兵庫県立こども病院の小児脳神経内科へ誘っていただき、小児専門病院で10年間、小児神経診療や急性期の重症患者の診療に従事しました。こども病院、神戸大学では急性脳症やてんかん重積に特に注力し、心の診療と急性期医療の両方の視点を持つようになりました。子どもの心の問題も体の問題も、どちらも総合的に診療できることが今の私の強みです。

歴史ある医院だそうですね。

永瀬裕朗院長 永瀬医院2

当院は祖父が1937年に神戸市に開設し、1946年に西宮市甲子園口に、1958年から現在の場所に移転して診療を続けています。継承にあたって内装を全面的に刷新し、臨床心理士に相談できる専用の部屋を新設したほか、脳波計を導入しました。クリニックのロゴマークである2房のブドウは、先代の建物にあったレリーフから着想を得たもので、キリスト教の教えに基づくモチーフでもあります。現在は、生後2ヵ月の赤ちゃんから90代の方まで幅広い年代の患者さんが来院され、親子3代で通ってくださるご家庭も多いです。これからも地域に根差し、子どもたちとご家族の安心に寄り添う医院でありたいです。

専門性を持ちながら誰でも気軽に受診できる診療所へ

小児脳神経内科を専門とする医師として、どのような診療に力を入れていますか?

永瀬裕朗院長 永瀬医院3

発達障害・てんかん・熱性けいれんなど、小児の神経疾患を専門的に診療しています。脳波検査や臨床心理士による評価の上で、発達の問題やてんかん発作などの症状だけでなく、その原因となっている生物学的な要因まで考えて診察しています。例えば発達障害のように見える症状でも、実は脳波の乱れなど別の病気が隠れていることがあります。頻度は少ないですが、見逃してはいけない疾患を、神経内科の医師だからこそ「病気が潜んでいないか」を見逃さずに診断と治療につなげます。これまでの経験が積み重なっているからこそ、見逃されがちな疾患にも気づける。それが専門家としての役割だと思っています。

一般小児科も幅広く診ているそうですね。

風邪・予防接種・乳児健診など、一般小児科に幅広く対応しています。来院された方の困り事をまず受け止める姿勢で診療していますので、どんなことでも気軽に受診してください。障害のある方は小児期は総合的に診られますが、成人になると診療科が分かれ、支援の場が減ってしまいます。特に大人へ移行する時期は支える場所が少なくなるため、「移行期医療」の課題にも取り組んでいます。また、必ずしも医療がすべてを解決するわけではありません。専門治療が必要ない場合は、無理に医療につなぎとめない判断も大切です。学校や家庭で解決できることはそちらにお任せし「脱医療化」することも医療の重要な役割だと考えています。

診療で大切にされていることは何ですか?

永瀬裕朗院長 永瀬医院4

すべての患者さんを大切にすること、そして患者さんとご家族のお話を聞くことを最も大切にしています。障害の重いお子さんは「接し方が難しいのでは」と思われることがありますが、関わるほどに心が通い、本当に仲良くなれるんです。純粋な表情や仕草に、こちらが温かい気持ちをもらうこともたくさんあります。親御さんには、希望を処方することを意識しています。治らない疾患があっても、その中でどんな希望を見つけられるのかを一緒に探したい。障害のあるお子さんを育てていても、幸せで元気に暮らしているご家族はたくさんいる。多くの患者さんと向き合ってきた経験から実感を持って伝えています。病気があるから終わり、ではありません。これからの人生の中でどんな希望を育んでいけるのか。それを親御さんと一緒に考えていくことが、私の使命だと思っています。

地域とともに誰一人取り残さない医療をめざして

スタッフの皆さんについてお聞かせください。

永瀬裕朗院長 永瀬医院5

15年以上勤めるベテランスタッフ3人に加え、リニューアルにあたって新たに募集したところ子どもの時に父のもとに通っていた方や、そのご家族などがスタッフとして加わってくれました。患者さんとの距離が近く「親戚のような関係」と表現されることもあります。父を頼っていた患者さんが来院されると、スタッフが「久しぶり」と声をかける。クリニックがコミュニティーのハブとなり、昔の患者さんと再会する場にもなっています。お互いに支え合い、生かし合っている。この温かい関係性こそが当院の最大の特徴だと思います。看護師は私の兵庫県立こども病院時代の同僚で、小児看護のエキスパートである2人が参画してくれました。救急や集中治療など幅広い重症小児疾患の経歴が長い看護師であり、安心して患者さんのケアを任せることができています。なお大学病院の小児科や救急での経験がある私の妻も一緒に診療にあたっています。

今後の展望を教えてください。

コミュニティーと協働した診療と支援をめざしています。医療だけでできることは限られるため、学校・行政・発達支援事業所・NPO・地域の方々とつながり、「誰一人取り残さない」子育て支援を地域ぐるみで実現したいと考えています。虐待の問題も行政だけでは防げません。近所の人が気にかけて声をかけ、手を差し伸べる地域の力が大きな支えになります。発達に関する悩みで相談先がわからない方も多いため、事業所や児童相談所、行政と日頃から顔の見える関係を築き、安心して相談できる環境づくりを進めています。こうした連携を通じて、医療・教育・福祉・地域が一体となり、子どもたちを支える仕組みを整えていきたいと考えています。

最後に、地域の方々へメッセージをお願いします。

永瀬裕朗院長 永瀬医院6

子どもも大人もみんなが暮らしやすい地域を作っていくことに参画できたらと思っています。発達を専門とするクリニックというと、ちょっと敷居が高く感じる方もいるかもしれませんが、基本は一般的な小児科診療ですので、風邪でも気軽に受診していただければと思います。開業したばかりで比較的ゆとりもありますので、何の相談であっても気兼ねなくお越しください。クリニックのロゴであるブドウの枝につながる一つ一つの実のように、赤ちゃんから大人まで、地域の方々と豊かな交わりの中、安らかに暮らせる環境づくりに関わっていければと考えています。

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