古田 興之介 院長の独自取材記事
ふるた赤坂・脳神経と内科クリニック
(福岡市中央区/赤坂駅)
最終更新日:2026/04/15
福岡市地下鉄空港線の赤坂駅から徒歩1分。ビジネスパーソンが行き交うオフィス街に「ふるた赤坂・脳神経と内科クリニック」はある。片頭痛に優しいミントグリーンを基調とした院内は清潔感にあふれ、気負わず足を運べる雰囲気だ。院長の古田興之介先生は、急性期の脳卒中治療から神経難病や終末期の在宅医療まで幅広い現場で研鑽を積んできた脳神経内科医師。ウェブ問診・ウェブ予約・キャッシュレス決済による待ち時間の短縮と、専門家ならではの丁寧な神経診察を両立させる“都市型スマートクリニック”を掲げて開業した。「働き盛りの若い人を助けたい」と温かな笑顔で語る古田院長に、その診療哲学と取り組みを聞いた。
(取材日2026年4月2日)
脳神経内科医師による効率と質を重視したクリニック
先生が脳神経内科の道に進まれたきっかけを教えてください。

子どもの頃に小児喘息を患い、医師の仕事を間近に見る中で「人の助けになりたい」という思いが芽生えました。中学・高校時代には「脳とは何だろう」という探求心も加わり、自然と医学の道へ進みました。決め手は大学5年の臨床実習です。脳神経内科の教授が回診でCTもMRIも使わず、ハンマー1本の神経診察だけで脳の病変の場所と大きさをぴたりと言い当てたんですね。まるで人間CTのようでした。むやみに画像を撮るのではなく、神経診察で病変を推測してから、焦点を絞って検査を行うので、患者さんの身体的・金銭的な負担も少なくて済む。その診察の力に強く惹かれたことが、脳神経内科へ進んだ原点ですね。
開業されるまで、どのようなご経験を積んでこられましたか。
九州大学の脳神経内科に入局し、専門として脳卒中を選びました。一家の大黒柱が突然倒れ、ご本人もご家族も人生が一変してしまう姿を研修医時代から何度も見てきて、働き盛りの世代を助けたいという思いが強かったんです。済生会福岡総合病院や飯塚病院など複数の急性期病院を経験した後、大阪の国立循環器病研究センターで3年間研鑽しました。先進の医療を学んで福岡に還元するのが使命だと考え、福岡へ戻った後は小倉記念病院で脳神経内科部長として脳卒中診療に携わり、その後は在宅医療へ。神経難病や終末期の方など重症の方々と向き合う中で、病気だけでなくその方の暮らしや人生に寄り添うことの大切さを学びました。そうした経験を生かし開業に至りました。
どのようなクリニックをめざして開業されたのですか。

忙しい働き盛りの方ほど受診を先延ばしにしがちで、それが病気の進行につながることが少なくありません。この課題を解決するために、まずは通院しやすい環境を追求することにしました。初めにウェブ予約制、ウェブ問診を導入することで待ち時間をほぼなくしました。診察後の会計もキャッシュレス対応なので、処方箋を受け取ったらすぐにお帰りいただけます。また、土曜日も不定期ですが夕方まで診療を開始しました。ただすべてを効率化するわけではなく、学生時代に感銘を受けた教授のように、神経診察の質は絶対に落とさないよう心がけています。私は「都市型スマートクリニック」を提唱していますが、これにより限られた時間内に、脳神経内科診療の質の担保をしながら多くの患者さんを診るという理想がかなうと信じています。
頭痛からパーキンソン病まで適切な診断で改善へ導く
専門家として、特に力を入れている診療を教えてください。

パーキンソン病の診療には特に力を入れています。脳神経内科の認知度がまだ低いために、頭のことだからと脳外科を受診される方も多いのですが、パーキンソン病はMRI画像だけでは判断しにくく、丁寧な神経診察こそが診断の鍵になります。進行性の病気ではありますが、早い段階で適切に診断し治療を始めれば、今の生活をできるだけ長く維持することが期待できます。症状の進行に合わせて難病申請をきちんと行い、きめ細かな薬の調整など質の高い医療を行うことが脳神経内科医が果たすべき大切な役割だと考えています。
頭痛で悩む方からの相談も多いのでしょうか。
福岡市中央区赤坂はオフィス街で若い女性も多いエリアですから、片頭痛のご相談はやはり多いですね。片頭痛は社会的損失がとても大きい病気で、週末から5日間ほど寝込んでしまい欠勤せざるを得ないケースもあるほどです。頭痛は本人しかわからないので、周囲の理解が得られないこともあります。天候の変化や月経周期、パソコンの光刺激など、原因は人それぞれですので、問診で一つ一つ丁寧に探っていきます。気をつけていただきたいのは鎮痛薬の使いすぎです。毎日のように服用を続けると、かえって頭痛が悪化する「薬剤乱用頭痛」を招くことがあります。そうならないためにも原因を探る作業はとても大切なのです。また最近は月1回の皮下注射で頭痛を抑えることが期待できる予防薬も登場しており、毎日の服薬に頼らない選択肢も広がってきました。つらい頭痛を我慢し続けている方に、こうした選択肢があることを知っていただきたいですね。
一般的な内科疾患で受診される方もいらっしゃいますか?

オフィス街という立地ですので、発熱や喉の痛みなど急な体調不良で受診される方も多いですね。インフルエンザや新型コロナウイルスの迅速検査にも対応しており、職場での感染拡大を防ぐお手伝いをしています。健康診断で高血圧や糖尿病、脂質異常症を指摘された方の生活習慣病管理もサポートしています。ただ私は脳神経内科が専門ですので、重症の内科疾患が疑われる場合には、速やかに各分野の専門家へご紹介しています。一方で脳神経内科の専門クリニックはこのエリアにほとんどありませんから、頭痛、てんかん、パーキンソン病といった神経領域の症状はしっかり受け止めたい。ビジネスパーソンにとって使い勝手の良い窓口・かかりつけ医でありながら、脳神経の専門性で地域を支えるのが当院の役割です。
人を診て人生を聴く、信頼から広がる医療を
患者さんと向き合う上で心がけていることを教えてください。

信頼関係がないと、根気良く治療を続けていくのは患者さんにとって難しいことです。病気の原因を探るためでもありますが、既往歴、家族歴、生活パターン、食事内容、サプリメントの摂取状況など、背景を一つ一つ丁寧にお聞きする中で信頼関係を築くことを大切にしています。聞かれる側は少し大変かもしれませんが、なぜその病気になったのかを遺伝的な背景や生活環境まで含めてひもといていくと、いつもその方の人生を聴いているような感覚になるんです。こうした姿勢の土台になっているのは、超急性期の脳卒中治療から神経難病、在宅でのホスピスケアまで、さまざまな現場で患者さんやご家族と向き合ってきた経験だと思います。目の前の症状だけでなく、その方の暮らし全体、生き方を大切にしていきたいです。
今後、新たに取り組んでいきたいことはありますか。
今後は自費診療の注射点滴やドクターズコスメといった美容面のサービスにも取り組んでいく予定です。脳神経内科と美容は一見無関係に思えるかもしれませんが、そうでもないんです。例えば、認知症の女性にネイルを施すと笑顔や会話が増えて反応性が改善したり、パーキンソン病の方も化粧をして外出すればやる気が出て動きやすくなることもあります。つまり気持ちが前向きになること自体が、神経の働きを後押ししてくれるんですね。なにも薬を使うことだけが医療ではないと私は考えています。小回りの利く個人クリニックだからこそ、患者さんにとって本当に安全で役立つものを厳選して提供していきたいですね。
最後に、読者の方へメッセージをお願いいたします。

皆さんにとって脳神経内科はなじみが薄い診療科かもしれませんが、実はよくある症状の約3分の1が守備範囲に入ります。頭痛、めまい、脱力、しびれ、物忘れ、不眠、手のふるえ、ぴくつき、歩きにくさ、しゃべりにくさ、飲み込みにくさなど、対象となる症状はとても幅広いのです。神経は全身に張り巡らされていますから、総合診療的な側面も大きく、受診先に迷うような症状の最初の相談先としても機能できると考えています。もちろん当院で対応しきれない場合は、信頼できる各分野の専門家へ速やかにおつなぎします。「気になる症状があるけれど、どこに行けば良いかわからない」、「脳神経内科にかかりたいけれど、大学病院や大規模病院は敷居が高そうだな」。そんな方にとって気軽に相談できる場所でありたいですね。脳神経内科をもっと身近に感じていただけたらうれしいです。

