山脇 優 院長の独自取材記事
ヒルサイドクリニック
(横浜市栄区/本郷台駅)
最終更新日:2021/10/12
横浜市栄区、JR根岸線本郷台駅から環状3号方面に向かって10分弱も歩くと、「ヒルサイドクリニック」が見えてくる。山の連なりをモチーフとしたロゴが施されたエントランスを入ると、広く、明るい院内。観葉植物が飾られるなど心和む空間だ。「ロゴは家紋をデザインしたもので、院名の『ヒルサイド』は苗字である『山脇』から取りました」と笑顔を見せるのは、山脇優院長。やわらかなまなざしと優しい語り口の、頼れるドクターだ。消化器内科を中心とした内科一般診療と、経口による胃部内視鏡、そして大腸内視鏡検査を数多く手がける同院。2017年に開業10周年を迎える同院の魅力と、今後めざしていく医療について話を聞いた。
(取材日2021年7月27日)
専門の医師による痛みの少ない胃・大腸内視鏡検査
消化器外科がご専門で、内視鏡検査を多く実施していらっしゃるとか?
はい。経口による胃部内視鏡と、大腸内視鏡の検査を多く手がけています。横浜市では昨年度から胃部の内視鏡検査が健康診断の対象となりましたが、そうした健診での検査もお受けしています。割合としては胃が大腸の3倍程度と圧倒的に多くなっていますが、大腸内視鏡検査を受けられる施設は近隣にもあまり多くありませんので、興味のある方は気軽に訪れていただきたいですね。内視鏡検査というと「苦しいのではないか」と心配されている方がいますが、当院では、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医である経験豊富な内視鏡専門の医師が対応しますので患者さんへのご負担を軽減できるのではないかと思います。その点において、当院が地域の皆さんのお役に立てるのではないかと思います。
内視鏡検査はどんな人に必要ですか?
胃がん、大腸がんを早期発見するのに適した方法ですので、40代50代の男女に広く受けていただきたいです。特に大腸がんでは、早期にはほとんど症状がないことが多く、いかに早く見つけるかがその後の経過にも大きく関わってきます。胃がんに関していうと、最近は比較的若い方はヘリコバクターピロリを除菌することが多いことと関連して、胃がんの数が減少傾向にあります。しかしそれでも、50代を中心にピロリ菌によって胃の粘膜に萎縮が見られる方は潜在的に多くいらっしゃいます。放置すると胃潰瘍、胃がんへと進行してしまうリスクのあるものなので、早めに見つけ、対処することが何よりです。便秘や下痢など、便通に気になる変化が見られたり、貧血の症状があったりする場合は、病気を未然に防ぐためにも速やかに検査を受けることをお勧めします。
一度検査を受ければ、しばらくは安心できるものでしょうか?
疾患が見つかった場合は別として、良好な状態であればまずは安心してお過ごしいただけます。横浜市では2年に一度の胃部内視鏡検査を推奨していますが、最低3年に一度程度検査を受けておけば安心でしょう。ただし、ヘリコバクターピロリ菌が見つかった人は、リスクが高いので年に一度の経過観察をお勧めします。大腸では、症状がなく潜血もマイナスの状態であれば、その後の検査は特にお勧めしていません。定期的に行う便検査などで異常が見つかれば、その際に改めて検査を受ける形でも十分に対応可能と考えています。まずは一度検査を受けて、ご自身の疾患リスクを把握しておけば、いたずらに不安になって「検査をもう一度受けるべきでは」と心配することもありません。40代以降の方で、まだ内視鏡検査を受けていないという方は、ぜひ一度検査してみてはいかがでしょうか。
短時間でスムーズに検査できるのが、クリニックの強み
胃・大腸内視鏡検査は痛みを心配する方も多いようですが?
痛みの少ない内視鏡検査を受けるこつは、経験豊富な専門の医師がいる施設を選ぶことです。当院では僕が検査を手がけていますが、「意外に楽だった」と喜んでいただけると思います。子宮や卵巣などの手術経験があり、癒着などが見られるケースでは多少の痛みが発生する場合もありますが、多くの方がほとんど痛みを感じることなく検査を受けられるでしょう。初めての検査はご不安も大きいものでしょうが、頼れる医師を見つけて、まずは一度受けてみていただきたいですね。
検査の流れはどのようになるのでしょう?
当院では大腸内視鏡は14時から15時の間、胃の内視鏡は診療時間内に随時、予約制にて行っています。時期によっても異なりますが、だいたい胃で1週間前から、大腸では2〜3週間前からご予約いただく形です。総合病院の検査では、大腸内視鏡でも当日のみの前処置で検査を実施するケースも多いようですが、当院では前日の検査食による食事制限からお願いしています。こうした丁寧な対応は、個人クリニックならではのもの。確実に決まった時間で検査を行うための策ですが、患者さんにとっても待ち時間を発生させることなく、予定どおりに検査を受けることができるというメリットがあります。大腸内視鏡検査でも早いケースでは10分程度で終了してしまうことも。胃部内視鏡は、ほとんど10分以内に終了します。もちろん日帰り検査ですから、検査後は少しお休みいただいてすぐに帰路についていただけます。
異常が見つかったときは、どのような対応になるのでしょう?
胃潰瘍などではお薬を処方して通院加療を行うことになりますが、悪性腫瘍などの場合は、すぐに連携している総合病院にご紹介させていただいています。もともと開業前に消化器外科部長を務めていた「横浜栄共済病院」や「済生会横浜市南部病院」、「平成横浜病院」などです。これらの病院でも胃・大腸内視鏡検査を受けることはできますが、予約が取りづらかったり、待ち時間が長かったりと患者さんのご負担が大きいもの。当院では気軽に負担少なく検査を受けていただける上、その後の連携もスムーズであるというのがメリットです。また、当院では平日の検査が難しい方のために、月に一度日曜日に胃部内視鏡検査を受けていただける日を設定しています。こちらも合わせてご検討ください。
地域かかりつけ医の役割は「相談を受ける」ことにある
痔や便秘の肛門診療も行っていらっしゃいますね?
栄区は横浜市でも高齢化率の高い区で、当院の患者さんもご高齢の方が多くなっています。高齢者は肛門機能の衰えにより便秘になるケースが多く、女性に限らず男性でも多くの患者さんがいらっしゃいます。お薬を処方しながら、食生活や運動の指導により、スムーズに排便できる体作りをめざします。肛門疾患ではお薬による治療がほとんどです。大きく肛門科と掲げているわけではないためか、女性の方でも受診しやすいのか、女性の患者さんも多く来院いただいています。
水曜午後には往診も行っていらっしゃるそうですが?
実は今日もこれから5件ほど伺う予定です。開業から10年もたつと、高齢となって通院が難しくなる方も出てきます。そうした方も、できる限り続けて診て差し上げたいという思いで往診を始めました。現在は枠が限られているため多くをお受けすることは難しいのですが、それでも今後は徐々に受け皿を広げて、地域の在宅医療へのニーズにもお応えしていければと考えています。自宅で患者さんを介護されているご家族の、大切な人を一生懸命お世話している姿には、いつも胸を打たれます。僕もできるだけ力になりたいので、往診へ行くとご家族の話もよく聞くように心がけています。
今後の展望をお願いします。
当院のようなクリニックは、「相談していただいてこそ価値がある」と考えています。かかりつけ医の役割は、病気を見つけることももちろんですが、それ以上に患者さんのお悩みに寄り添い、お話を伺うことが大切だと思うのです。特に消化器の症状は、その方の抱えている不安が原因のことも多く、話をするだけで楽になる患者さんもいます。当院にいらっしゃる患者さんは、病気や医療のことに限らず、家族のこと、仕事のこと、介護のご苦労などさまざまな内容をご相談いただくケースが多く、喜ばしく思っています。「こんなこと相談していいのかな?」と悩まれる方もいらっしゃると聞きますが、当院ではどんな相談でも大歓迎です。
何でも相談できれば、患者にとってもありがたいですね。
そう思っていただけたらと思います。もちろん、病気の見逃しをしないことも大事です。「僕は消化器の専門家だ。僕がどうしても治すんだ」と自分の力を過信したりおごったりせずに、迷ったり難しかったりした時は、専門の病院としっかり連携を取ります。何よりも患者さんのことを考えてこれからも治療にあたっていきたいです。