山脇 優 院長の独自取材記事
ヒルサイドクリニック
(横浜市栄区/本郷台駅)
最終更新日:2025/04/28

JR根岸線・本郷台駅から環状3号線方面へ徒歩8分の場所にある「ヒルサイドクリニック」。山の連なりをモチーフとしたロゴマークが施されたエントランスを入ると、広く、明るい院内は観葉植物が飾られるなど心和む空間となっている。「病気を見逃さないように、焦らず検査をしています」と、優しい口調で語るのは院長の山脇優先生。同院は、消化器内科を中心とした内科一般診療と経口による胃部内視鏡検査、そして大腸内視鏡検査を数多く手がけ、特に、苦痛に配慮した内視鏡検査で地域に貢献している。温かなまなざしと笑顔が印象的な山脇院長に、診療や内視鏡検査について詳しく話を聞いた。
(取材日2024年12月11日)
専門の医師による痛みの少ない胃・大腸内視鏡検査
消化器外科がご専門で、内視鏡検査を多く実施していらっしゃると伺いました。

はい。経口による胃内視鏡と、大腸内視鏡の検査を多く手がけています。横浜市では胃部の内視鏡検査が健康診断の対象となりましたが、そうした健診での検査もお受けしています。割合としては胃が大腸の3倍程度と圧倒的に多くなっていますが、大腸内視鏡検査を受けられる施設は近隣にもあまり多くありませんので、興味のある方は気軽に訪れていただきたいですね。内視鏡検査というと「苦しいのではないか」と、心配されている方がいますが、当院では、日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医である経験豊富な内視鏡検査を専門とする医師が対応し、患者さんのご負担を軽減できるよう努めています。その点において、当院が地域の皆さんのお役に立てるのではないかと思います。
痔や便秘の肛門診療も行っているそうですね。
栄区は横浜市内でも特に高齢化が進む地域といわれ、当院にいらっしゃる患者さんもご高齢の方が多い傾向にあります。高齢になると肛門の機能が低下し、便秘に悩まれるケースが増えるため、多くの方が受診されています。当院は肛門科を大きく掲げているわけではないためか、女性の患者さんも多くご来院いただいています。肛門疾患の多くはお薬による治療が中心です。市販の便秘薬には刺激性下剤が含まれるものもあり、長期使用によって便秘が悪化する可能性があるため、自己判断は避け、気になることがあればぜひご相談ください。
内視鏡検査はどんな人に必要ですか?

胃がんや大腸がんの早期発見には内視鏡検査が適しています。特に大腸がんは早期に症状がほとんど現れないため、40~50代の方には積極的に検査をお勧めしています。横浜市では2年に1度の胃内視鏡検査が推奨されていますが、最低でも3年に1度程度検査を受けておけば安心でしょう。ただし、ピロリ菌が見つかった場合は年1回の経過観察をお勧めします。大腸では、内視鏡検査を受けて異常がなければ特に定期検査は不要ですが、便潜血検査を受けるだけでも、早期発見につながる可能性があります。
患者に寄り添い、検査時の負担と羞恥心に配慮
胃や大腸の内視鏡検査では、痛みを心配する方も多いようですね。

痛みの少ない内視鏡検査を受けるこつは、経験豊富な専門の医師がいる施設を選ぶことです。当院では私が検査を手がけていますが、意外に楽だと喜んでいただけるのではと思っています。過去に子宮や卵巣などの手術経験があり、癒着などが見られるケースでは多少の痛みが発生する場合もありますが、多くの方がほとんど痛みを感じることなく検査を受けられるでしょう。初めての検査はご不安も大きいでしょうが、頼れる医師を見つけて、まずは一度受けてみていただきたいですね。
患者さんの体への負担を考慮し、無理な挿入を避けていると伺いました。
はい、当院では、無理な挿入を避けることを重視しています。鎮静剤を使用して患者さんに少し眠っていただくようお願いすることはありますが、鎮痛剤を使用することはしません。鎮痛剤で痛みを感じない状態のまま無理に挿入を進めると、思わぬリスクが生じる可能性があるからです。また、鎮静剤を使用した場合でも、強い痛みがあれば目を覚ましてしまうことがありますので、無理をせず進めています。万が一、どうしても挿入が難しい場合は、速やかに専門の病院をご紹介する体制を整えています。内視鏡検査を行う際には、患者さんの苦痛に配慮するよう注意を払っています。検査後、「もう二度と受けたくない」と思われないよう、できる限りの配慮を心がけています。
大腸内視鏡検査では、羞恥心を軽減する工夫もされているそうですね。

はい。大腸内視鏡検査は、苦痛だけでなく羞恥心を感じやすい検査です。そのため当院では、患者さんができるだけ安心して検査を受けられるよう、さまざまな配慮をしています。例えば、待合室から直接検査室にご案内するのではなく、まず診察室にお通しし、そこで患者さんのお話を伺ってから検査に進むようにしています。緊張や不安を少しでも和らげられるよう、体調について伺いながら、検査の流れや注意点をご説明することで、納得していただいてから検査に進めるよう努めています。また、検査室への移動時も、他の患者さんと顔を合わせることがないよう動線を工夫しているんです。検査を終えた後に「恥ずかしい思いをした」と感じることがないよう、少しでも負担を和らげられるよう心がけています。
地域の健康を支える柔軟な検査対応
内視鏡検査の流れについて教えてください。

当院では、大腸内視鏡は14時から15時の間、胃内視鏡は午前の診療時間内に随時、予約制で実施しています。予約は胃で1週間前、大腸で2〜3週間前にご予約いただきます。胃内視鏡は5〜10分程度、大腸内視鏡も早ければ10〜20分で終了します。検査後は、少し休めばそのまま帰宅できます。総合病院での検査では、大腸内視鏡も当日のみの前処置で実施するケースも多いようですが、当院では前日に検査食による食事制限をお願いしています。確実に決まった時間で検査を行うための策ですが、患者さんにとっても待ち時間を発生させることなく、予定どおりに検査を受けることができるというメリットがあります。
異常が見つかった時の対応について、具体的な流れを教えていただけますか?
当クリニックでは基本的にお薬の処方や通院による治療を行っていますが、悪性腫瘍や緊急を要する場合には、迅速に総合病院と連携しご紹介しています。具体的には、私が以前消化器外科部長を務めていた、横浜栄共済病院や済生会横浜市南部病院、湘南鎌倉総合病院、大船中央病院などと連携しています。患者さんの通院しやすさなども考慮した上で、適した医療機関を選んでいます。また、患者さんを紹介する際には、緊急性の有無を慎重に判断しています。例えば、治療後に肛門の狭窄や締まりが悪くなるといった後遺症を防ぐため、適切な診断と紹介のタイミングに注意を払っています。入院が必要な治療が求められると判断した場合には、早急に専門の病院をご紹介するようにしています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

高齢化が進む中で、便通異常や大腸がんの罹患者が増えている現状を強く感じています。症状がない方でも、年に1度の便潜血検査を受けることで、早期発見につながる可能性があります。まずは健康診断の一環として、定期的なチェックを心がけてください。また、肛門の症状や便秘でお困りの際は、恥ずかしがらずに気軽にお声がけください。症状が進行してからでは治療に時間がかかることもありますので、少しでも気になることがあれば早めの受診をお勧めします。どんな小さな悩みでも構いませんので、遠慮せずにご相談ください。