尾関 恵里奈 院長の独自取材記事
番町麹町こどもクリニック
(千代田区/四ツ谷駅)
最終更新日:2026/05/07
四ツ谷駅から徒歩3分、ビルの6階にある「番町麹町こどもクリニック」は大きな窓から日の光が差し込み、ピンクと白を基調としたやわらかな空間。絵本やおもちゃが並ぶ待合室には、子どもを温かく迎え入れる雰囲気がある。院長の尾関恵里奈先生は、藤田保健衛生大学(現・藤田医科大学)を卒業後、小児科医として研鑽を積んできた。自身も千代田区で子育てをする中で小児科の不足を実感し、「この街のためになることをしたい」と2025年に開業。風邪だけでなくアレルギーや体質の悩み、育児の不安まで幅広く受け止め、子どもだけでなく保護者の支えにもなりたいと語る。穏やかで温かな笑顔が印象的な尾関院長に、開業の経緯や診療への想い、地域貢献の取り組みについて聞いた。
(取材日2026年4月17日)
暮らして実感した千代田区への想いが、開業の原動力に
まずは、クリニック開業の経緯をお聞かせください。

千代田区に住んで10年以上になりますが、この辺りには小児科が少なく、自分自身が子育てをする中でとても不便を感じていました。はじめは、子育てをしながら、自分のペースで働けたらいいなと考えていたのですが、千代田区で子どもを育てるうちに、子育て支援の手厚さや街の治安の良さに何度も助けられて、この街への愛着がどんどん深まっていきました。それまで千代田区で働いたことはなかったのですが、せっかくなら千代田区のためになることをしたいという想いが自然と芽生えて、この地に小児科を開くことを決めました。子どもとその保護者のためのクリニックでありたいというのが、一番の原点です。
先生が小児科医の道に進まれたきっかけを教えてください。
藤田保健衛生大学(現・藤田医科大学)で医学を学びました。小児科を選んだのは、学生時代に師事していた医師に憧れたことがきっかけです。患者さんやご家族と対面でじっくりお話をしながら、一人ひとりに向き合う診療がしたかったことと、その先生が「子どもを救うことは、未来を救うことにつながる」と話されていた言葉に強く共感し、子どもの医療に携わりたいという思いが次第に明確になっていきました。卒業後は愛知で経験を積み、東京へ出てきました。その後、子どもが生まれたのを機に家族全員で東京に移り住み、千代田区の近辺にある病院で勤務医として働いていました。目の前の患者さんに丁寧に向き合いたい、その思いで日々の診療にあたっていました。そうした中で、地域のために自分ができることはないかと考えるようになったのが、開業へとつながっていきました。
6階から光が差し込む、開放的な空間ですね。

ビルの6階にあり少し目立ちにくい場所ではありますが、明るく開放的な空間を大切にしたいと考え、大きな窓から入る自然光を生かしています。内装はピンクと白を基調にしたやわらかい雰囲気にしています。待合室のソファーは横並びの配置で、感染症対策を意識したものです。現在は看護師と私の2人体制なので、限られたスペースの中で動線がスムーズになるよう、設計にはかなりこだわりました。隔離室や処置室も分けてあり、インフルエンザの方の対応や吸入なども行えるようにしています。小さなクリニックですが、安心して過ごせる空間をめざしました。
風邪だけではない、子育ての不安に幅広く寄り添う診療
来院される方は、どのようなお悩みを持った方が多いですか?

風邪などの体調不良に加え、アレルギーのご相談がとても多いです。花粉症も低年齢化が進んでいて、2歳くらいから目をかゆがるお子さんもいるので、少しでも力になれたらと思っています。ニキビや汗っかきといった体質的な悩みも保険診療で対応できますし、「仕方ないから我慢しなさい」で終わらせず、方法を一緒に考えるようにしています。また、月経痛、鼻づまりなど保護者の方がお子さんのことで心配になった時点が受診のタイミングですので、気になったら早めに相談してほしいです。処置室には身長と体重を同時に計測できる大型の計測器を置いていて、乳児でも正確に測れます。母乳やミルクが足りているか不安なときは、遠慮なく体重の計測に来てください。離乳食や夜泣きなど、育児の小さな困り事にも幅広く対応しています。
保護者の方と接する際に心がけていることはありますか?
私は、子育てをしているお母さんや保護者のみなさんは、それだけで社会貢献をしていると思っています。だからこそ、安心して子育てできるようサポートしたい。ワクチンやアレルギーの相談が多いのですが、インターネットにはさまざまな情報があふれていて、何を信じたらいいか迷う方も少なくありません。私が心がけているのは、ガイドラインや論文に基づいた正確な情報をお伝えすること。その上で、私と同じ考えである必要はまったくないとお話ししています。正しい情報を判断材料としてお渡しますが、最終的に決めるのはお母さんたち自身です。ブログでもそうした情報を発信していて、自分の手で書き、手描きのイラストも添えています。インスタグラムからブログへつなげるかたちで、病気以外の話題も届くよう工夫しています。
待合室に絵本やおもちゃが充実していて、温かな雰囲気ですね。

小児科が嫌な思い出になってほしくないんです。「あそこに行くと注射が待っている」ではなくて、ちょっとした楽しみがある場所にしたくて、ポイントカード制を取り入れました。3ポイントたまるとカプセルトイが1回できる仕組みです。絵本やおもちゃも用意していますし、来院すること自体にお楽しみの要素があればいいなと思っています。そもそも私は、小児科は体調不良のときだけ来る場所ではないと思っているんです。お母さんが不安だったり、お子さん自身がなんとなく気になることがあったり、そういうときに気軽に足を運んでもらえたらうれしい。病気のときだけ訪れる場所ではないからこそ、来院のたびにポイントがたまっていく仕組みも、楽しみの一つになればいいと考えています。
「何かあったらここに行こう」と思える場所をめざして
診療以外で、地域のために取り組んでいることはありますか?

町内会には2ヵ所加入していて、近隣のお祭りのお手伝いなどにも参加しています。もともと千代田区に貢献したいという想いで開業しましたので、クリニックの外でもできることがあればと思って動いています。千代田区のママさんたちがボランティアで運営している団体があるのですが、子連れで行けるお店の紹介など大がかりな活動をされていて、少しでもお手伝いしたいと思い支援しています。千代田区立番町小学校や地域のお祭りへの支援も同じ気持ちからです。近隣の保育園にごあいさつに伺った時、「小児科ができてうれしい」と言っていただけたのは本当にありがたかったですね。この辺りは以前から小児科が少なかったので、地域のお子さんたちの役に立てるならと思っています。
今後、めざしていきたいクリニック像を教えてください。
規模を大きくしていきたいというよりは、目の前のお一人お一人に丁寧に向き合うクリニックでありたいと思っています。まだ開業して半年ですが、定期的に通っていただくと、お顔を見ただけで「今日は元気だな」とか「いつもとちょっと違うな」ということがわかるようになってきます。自分の言葉で体調を伝えられない年齢のお子さんも多いですから、そうした小さな変化に気づけるのは、継続して診させていただいているからこそだと感じています。成長しても必要なフォローはありますし、大きくなったからこその悩みも出てきます。当院は内科も標榜していますので、お子さんが成長された後も引き続き診ていける体制です。お母さんたちと子どもたちが「ここ行こう」と自然に思えるような、そんなクリニックをめざしています。
最後に、読者へのメッセージをお願いいたします。

不安があったときに「あそこに行こう」と思い出してもらえたら、それが一番うれしいです。体調を崩したときはもちろん、お子さんの成長で気になることがあったり、初めての育児でどうしたらいいかわからなくなったり、そんなときにも気軽に頼ってもらえる場所でありたいと思っています。子どもたちが「あそこ行きたい」と自分から言ってくれたり、お母さんが「ちょっと聞いてみよう」と思えたり、そういう存在になれたらうれしいですね。何かあったらここに行けるという場所が身近にあるだけで、毎日の安心感は違ってくると思うんです。当院がそういう場所になれるよう、これからも子どもたちとそのご家族にしっかり寄り添い続けていきたいと思っています。

