久米 一誠 院長の独自取材記事
桜上水駅前内科
(世田谷区/桜上水駅)
最終更新日:2026/06/04
桜上水駅から徒歩1分、ビルの3階にある「桜上水駅前内科」。院内に入ると、久米一誠院長が大切に育ててきた観葉植物の緑が迎えてくれる。やわらかな色合いの壁も相まって、居心地の良い空間が広がる。同院では、発熱や生活習慣病など内科全般の診療に加え、高齢者医療にも注力。東京医科大学で高齢総合医学を専攻し、認知症を含む高齢者の全身管理に携わってきた久米院長の経験が生かされている。「困っていることは何でも言ってください」と穏やかに語る久米院長に、診療への思いやクリニックの特徴について話を聞いた。
(取材日2026年4月17日)
地域に根差し、気軽に相談できる場所をめざして
緑あふれる温かな院内ですね。開院の経緯をお聞かせください。

桜上水駅前内科は、東京都府中市にある久米医院の分院として、2025年9月に開院しました。久米医院では父が院長を務め、私も現在非常勤として勤務しています。父が開業医だったこともあり、地域医療に携わりたいという思いが以前からありました。桜上水には約10年暮らしており、なじみのあるこの町で開院できたことをうれしく思っています。院内の観葉植物はすべて小さな苗から私が育てたもので、自宅から抱えて持ってきて、自分で世話をしています。少しずつ成長していく様子を見ているのは楽しいですね。院内の壁の色合いも病院らしさを抑え、温かみのある空間を意識しました。
生活習慣病の予防と治療に力を入れるんですね。
当院では、高血圧・糖尿病・脂質異常症などの生活習慣病の予防と治療に力を入れています。小学生から90代の方まで幅広い年代の方が受診されていますが、特に中年期の患者さんが多くいらっしゃいます。生活習慣病の診療では、深刻な状況を除き、初回からすぐに薬を処方するのではなく、生活習慣を見直すことで改善が得られるか一緒に考えていきます。薬による治療が必要な場合にも、毎回状態を確認し、減量や中止が可能か検討していきます。また、発熱などの急性疾患にも対応しており、隔離室を設けています。感染症が疑われる場合には、受付や待合室を通らずに診察できる体制を整え、安心して受診していただけるよう動線にも配慮しています。そのほか、不眠症や花粉症など日常的によくみられる症状にも対応していますので、困ったときにまず相談できるクリニックでありたいと考えています。
先生のご専門と、その分野を選ばれた理由を教えてください。

もともと特定の臓器に限らず、全身を総合的に診たいという思いがあり、東京医科大学の高齢総合医学の分野である高齢診療科に進みました。高齢診療科では、認知症をはじめとした75歳以上の方の内科疾患を中心に、糖尿病などの生活習慣病から、心不全、脳卒中、がんまで幅広く診療しています。そうした中で、特に認知症診療については専門的に携わってきました。認知症の診療に継続して取り組む中で、評価から治療、生活面の支援まで含めて対応してきた経験があります。本院である久米医院でも、15年以上にわたり認知症の外来に携わってきております。高齢者を総合的に診ていく中で、合併症にも幅広く対応する力や薬物療法の知識が培われ、その積み重ねが現在の診療の基盤になっていると感じています。
生活習慣病の予防が認知症の予防にもつながる
一貫して診ていただけるのも貴院の特徴なんですね。

当院では、内科全般の診療に加え、認知症についても専門として対応しています。そのため、複数の医療機関に通う負担を軽減しやすい点が特徴です。年齢を重ねると、通院先や服用する薬が増えがちですが、薬の内容を見直したり、服用回数を1日1回にまとめたりと、できるだけ無理なく続けられる形を一緒に考えます。また、介護保険の申請が必要な方には、私から積極的にご案内し、書類作成やケアマネジャーとの連携も行っています。体力低下予防の栄養指導も行っていますが、食事の準備が負担になる方も少なくないため、その方の状況に応じた支援方法をご提案しています。「年齢のせいだから仕方がない」で終わらせず、できることを一緒に探していきたいと思っています。
認知症に特化した外来での診察についても教えてください。
初診では、まず30分と時間をかけて診療を行います。日常生活で困っていることや問題なくできていることを丁寧に伺います。ご本人の前では伝えにくい点は、手紙などで事前にお知らせいただくことも可能です。また、体の動きや筋力を含め全身の診察を行います。この際に、これまで気づかれずにいた弁膜症や神経疾患などが見つかることも少なくありません。認知機能検査は症状に応じて使い分けをし、軽度認知障害が疑われる場合には「MoCA-J」を用いて評価します。血液検査やMRIで原因を調べ、結果をもとに30分ほどかけてご説明し、治療方針を決めていきます。治療では薬物療法に加え、認知機能を保つために大切な生活上の工夫やBPSDと呼ばれる怒りっぽさ、不穏、妄想、不眠などの問題となる症状にも対応していきます。
認知症は、どのようなタイミングで相談するのが良いのでしょうか。

最も望ましいのは、ご本人が「少し気になる」と自覚されている段階での受診です。認知症は進行すると、ご自身では変化に気づきにくくなることがあります。物忘れを気にしなくなったこと自体が、進行の一つのサインとなっている場合もあります。ご家族が変化に気づくきっかけとしては、日付があいまいになる、薬を飲み忘れる、約束を忘れるなど、日常の小さな変化が挙げられます。実際には、ご家族が変化に気づいて受診につながるケースも見られます。認知症の外来と聞くと受診に抵抗を感じる方も少なくありませんが、当院は一般内科でもありますので、まずは内科受診としてお越しいただき、その中で必要に応じて認知機能の評価を行うことも可能です。どの病気も早めの対応が大切です。少しでも気になったときが、ご相談のタイミングだと考えていただければと思います。
「まず相談したい」と言われるクリニックでいるために
患者さんと接する上で大切にしていることを教えてください。

「困っていることは何でもご相談ください」というのが当院の基本姿勢です。受診先がわからない場合や体調に不安があるときも、お気軽にご相談ください。丁寧にお話を伺い、必要に応じて適切な医療機関へ責任を持っておつなぎします。もう一つ大切にしているのが、患者さんにできるだけ笑顔で帰っていただくことです。せっかく来院された方に厳しい話だけで終わるのではなく、前向きな気持ちになれる診療を心がけています。特に認知症の患者さんにはご本人への注意よりも、ご家族に対応のコツをお伝えすることが重要です。その結果、BPSDが改善し、介護負担の軽減につながることも少なくありません。「待合室まで笑い声が聞こえる」といわれるほど、話しやすい雰囲気づくりを大切にし、患者さんの人生を尊重しながら必要なことを一緒に考えていきます。
生活習慣病から認知症の予防までサポートいただけるのですね。
生活習慣病の予防・治療に専門的に取り組むとともに、中年期から将来の認知機能に影響する要因を管理することで、認知症の発症リスク低減にも力を入れています。近年の研究からも認知症は、予防の余地が大きい疾患であると考えられています。生活習慣病の管理に加え、難聴を放置せず、必要に応じて補聴器の使用を検討することや、高齢になっても孤立しないよう地域の支援につなげることも重要な対策の一つです。栄養面においても、体重減少は健康寿命に影響する可能性があるため、食事の準備も含め、無理なく食べられる工夫を一緒に考えていきます。また、たとえ認知症を発症した場合でも、早い段階で気づき、適切な治療や支援を受けることで、できるだけ良い状態を維持し、住み慣れた環境で生活を続けられるよう支援していきます。さらに、地域で講演を行うなど啓発活動にも力を入れています。
最後に、読者へメッセージをお願いします。

高齢者を15年以上にわたり総合的に診てきた経験が、現在の診療を支えています。多様な疾患や合併症と向き合う中で培ってきた知識と経験があるからこそ、幅広い症状に対応し、本当に必要な検査や治療と、そうでないものを見極めることができると考えています。一般内科として、生活習慣病や発熱などの日常的な体調不良から、認知症に関するご相談まで幅広く対応しています。ご本人にとっても、ご家族にとっても、「何かあったら、まずここに相談してみよう」と思っていただけるクリニックでありたいと思っています。

