北山 仁久 院長の独自取材記事
なりた内科・脳神経内科
(成田市/成田駅)
最終更新日:2025/10/15
成田市の一大商業エリア、ウイング土屋に開業した「なりた内科・脳神経内科」。隣に駐車場もあり車での通院もスムーズだ。真新しい白い戸建てのクリニックのドアを開けると、吹き抜けの広々とした空間が広がっている。木目を生かした温かな院内で迎えてくれるのは、院長の北山仁久(きたやま・よしひさ)先生とにこやかなスタッフたちだ。北山院長はこれまで千葉大学医学部附属病院や地域の基幹病院で脳神経内科の診療に従事してきた。中でも専門としているのは認知症で、患者にも家族にもきめ細かに寄り添う。脳神経内科の診断に欠かせないCTも備え、即日検査にも対応している。そのほか、一般内科診療も幅広く行い「地域の方々のかかりつけ医としてお役に立てたら」と語る北山院長に、診療にかける思いを詳しく聞いた。
(取材日2025年9月26日)
一人ひとりとしっかりと向き合うために脳神経内科へ
まず、医師を志したきっかけから教えていただけますか?

私はかつて小児喘息を患っていて、10回以上入退院を繰り返すような子ども時代を過ごしました。先生たちはとても優しく幼い頃から憧れの存在で、自然と同じ道に進みたいと考えるようになっていましたね。当時の主治医とは大人になってからもずっとつながりがあります。現在は開業なさっているので、自分の子どもたちを連れていくこともあるんですよ。先生のように私も一人ひとりの患者さんと長くお付き合いできるようになれたらと医師人生をスタート。何科を専門にするか小児科も含めいろいろと迷いました。最終的に脳神経内科を選んだのは、しっかりと対話することが欠かせない診療科だからです。ご本人もご家族も話したいことがたくさんあり、私たち医師の説明も手短には済みません。患者さんの近くで寄り添い、密に対応したい自分に向いていると思いました。
これまでのご経歴をお聞かせください。
佐賀大学卒業後は地元の千葉に戻り、千葉大学医学部附属病院の脳神経内科に入局。関連病院である三次救急医療施設の君津中央病院、二次救急医療施設の千葉労災病院などに勤務しました。脳神経系の当直も担当し、脳梗塞や脳出血などの緊急疾患にどう対応すべきかしっかりと学べたのは貴重な経験でした。大学病院に戻った後は院内併設の千葉市認知症疾患医療センターにも所属し、認知症を専門とした診療と研究に従事。一方で頭痛などのコモンディジーズ(一般的な病気)も数多く診てきました。一般内科および脳神経内科の幅広い疾患、認知症の専門診療に対応してきたこれまでの経験を生かし、成田エリアの皆さまのお役に立てればと思っています。
なぜ、開業しようと決意したのでしょうか。

大学病院ではCTやMRIの画像を見ただけで「あの病気のあの患者さんだ」とすぐに思い出すような毎日を過ごしていました。ただ、お顔がおぼろげ……というケースもなくはなかったんです。画像と個人が直結しているのは医学的に何も間違いではありません。でも、患者さんのより近くで医療を提供したいという私がめざしているところとは、少し違うかなと疑問を持つようになったんです。ちょうど地域のクリニックをお手伝いする機会もあり、そこでは一人ひとりの患者さんとしっかりと向き合うことができました。また、千葉県内の認知症カフェに何回か参加する中で、成田の方たちの優しさにふれ、このエリアでの開業を決意しました。「近くに脳神経内科が少ない」という皆さんのお悩みや不安にも背中を押されましたね。
専門とする認知症のほか、頭痛などにもきめ細かに対応
強みとしている認知症の診療についてお話しください。

認知症に関しては、ご本人よりもご家族が最初に気づいて受診するケースが多いです。もし、ご家族の物忘れが心配ならば、一度ご本人と一緒にいらしていただければと思います。認知症があるかどうかの長谷川式テストやMMSEなどの神経心理検査を行うことも可能です。また、脳梗塞・脳出血・脳腫瘍が隠れていないかのCT検査も院内で実施しています。ごくわずかですがTreatable dementia(治療できる認知症)という例もあるので、見逃さないよう留意しています。そのほか、MRIや脳血流SPECT検査などの必要があれば、高次医療機関を迅速に紹介しているのでご安心ください。
認知症の患者さんと接するとき心がけていることは何ですか?
認知症の多くは治るものではなく、長い目で経過観察していかなければいけない病気です。ご本人やご家族としっかりと相談をして、病気と上手に付き合うための投薬治療などを心がけています。たとえ認知症だったとしても、一人の尊い人間であることに変わりません。特別扱いをするのではなく、人と人としてできるだけ普通に接するようにしたいと思っています。患者さんのこれまでの人生も、ご家族の事情も一人として同じものはありません。それぞれの状況の中で最良と考えられる医療を提供し、笑顔を分かち合うことが私たちのミッションです。すべての患者さんから日々学ばせていただいていますし、より良い診療に結びつけていきたいと考えています。
頭痛なども脳神経内科に相談できるのでしょうか。

頭痛でお困りのときも、ぜひ脳神経内科を受診してください。実際、当院でも認知症よりも頭痛の相談のほうが多いくらいです。「頭痛持ちだから」と諦めていて市販薬でやり過ごしている方もいますが、薬物乱用頭痛になってしまう例もあります。当院ならばそういったリスクに配慮した処方も可能です。もちろん、処方箋を出して終わりということはありません。頭痛はストレスとも深く関係しているからです。ライフスタイルをよく聞き取って、ストレス回避のための提案をすることもあります。また、突然の頭痛は重篤な病気が隠れている可能性もあるので、すぐに来ていただければと思います。そのほか、頭を強打したときなども、問題が起きてないかどうかを確かめるのにCT検査は有用なので、遠慮なくご相談ください。
地域に根差した医療を通じ、笑顔の輪を広げていきたい
診療にあたって何を大切にしていますか?

みんなで大切にしているのは「笑顔をつくる」ということです。診療を通じて患者さんとご家族はもちろん、スタッフも私も笑顔になれるような時間をつくれたらと思っています。めざしているのは、片頭痛などのつらい症状で来られた患者さんでも、お帰りになる時には笑顔を見せてくれる診療ですね。地域の困っている方を一人でもたくさん救いたいと考えています。土日に診療をしているのも、近くに休日診療をしているクリニックが少なくお困りの方が多いと聞いたからです。実際、日曜も急な風邪の方、平日は仕事で忙しくて通院できない方などがいらっしゃいます。もし、少しでもお役に立てているならばうれしいですね。
今後の展望についてお聞かせください。
診察室は3つあるので将来的には二診体制にできればと思っています。患者さんの待ち時間を軽減するためにも、CT検査やエックス線検査を担当する診療放射線技師をスタッフの一員として迎えられないかも検討中です。また、認知症の患者さんとご家族のために、ケアマネジャーなどの多職種の方々や地域包括支援センターとの連携も深めていきたいと尽力しているところです。検診に関しては、雇い入れ時健康診断や定期健康診断などの企業健診と自費の健診を行っていますが、近々、成田市の各種検診も導入予定です。いつまた感染爆発するかわからない新型コロナウイルス感染症に関しても、当院の入り口付近を隔離スペースにできるようにしています。いずれはオンライン診療で安定している生活習慣病の管理などを実施するなど、患者さんのさまざまなニーズに応えていきたいです。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

脳神経内科という医院名に敷居の高さを感じる方もいるかもしれませんが、実はよくある症状を扱っている診療科です。頭痛、しびれ、物忘れ、めまい、震え、けいれん、動きにくさなどが気になっているときは、ぜひ受診してください。脳出血やくも膜下出血、脳梗塞、パーキンソン病などが隠れていることもあるので、CT検査も当日可能にして早期発見・早期治療のための体制を整えています。高度医療が必要と判断されたら、国際医療福祉大学成田病院、日本医科大学千葉北総病院、成田赤十字病院、成田富里徳洲会病院などを迅速に紹介しているのでご安心ください。専門としている認知症、困っている方が多い頭痛、その他にも風邪や生活習慣病などの内科疾患にも対応しています。地域の方々のかかりつけクリニックとして末永くお役に立てれば幸いです。

