三浦 裕美子 院長の独自取材記事
ゆうレディースクリニック東小金井
(小金井市/東小金井駅)
最終更新日:2025/09/19

東小金井駅前に開院した「ゆうレディースクリニック東小金井」。温かな雰囲気の院内で迎えてくれるのは、優しい笑顔が印象的な三浦裕美子院長。大学病院や総合病院で周産期医療に長年携わり、過酷な現場で母体、胎児、新生児の命をつなぐため、全力で診療にあたってきた。転機となったのは地域のクリニックでの診療経験。多くの女性が、月経にまつわるトラブルや更年期障害等、日常的にさまざまな悩みや困り事を抱えていると実感、「女性のライフステージごとの悩みに寄り添いたい」という思いを強くして開業を決めた。開業して驚いたのは10代の患者の多さ。「産婦人科受診のハードルを下げて、気軽に相談できる場所にしたい、女性の健康維持のために力になりたい」と語る三浦院長に、幅広い診療内容と予防的視点の取り組みなどについて話を聞いた。
(取材日2025年8月5日)
女性のライフステージに寄り添う産婦人科診療
まずは産婦人科の医師を志したきっかけについてお聞かせください。

学生時代から理系分野が好きで、将来は人と向き合う仕事をしたくて、医師になろうと考えるようになりました。医学部では、さまざまな診療科を経験するのですが、そのとき産婦人科が強く印象に残りました。産婦人科と言っても、その中にはさまざまな分野があって、ホルモン、がん、生殖機能、不妊治療など、非常に多岐にわたっているので、学んでいてすごく面白いと感じたからです。そして、何より出産を扱うのが他にない大きな特徴だと思って、周産期医療に興味を持ち、結果的にキャリアの中で最も長い期間携わってきました。妊娠、出産に対して、皆さんは何事もなく幸せに生まれることが当たり前と考えていますが、実際には、お母さんと赤ちゃんに大きなリスクを伴うケースはあるんです。お母さんも赤ちゃんも無事でいられるように、リスクを見極めてあらゆる手立てで対応しなければならないので、仕事としては心も体も大変ですが、やりがいも大きいです。
婦人科全般の診療にもしっかり取り組みたいと思い至ったそうですね。
4年前、家族をサポートするための時間が必要になったタイミングで、病院での周産期医療から離れて、地域の産婦人科クリニックで診療するようになりました。すると、クリニックでは、生理痛のつらさや、更年期障害のつらさなどを訴える患者さんが非常にたくさんいて、生活に支障が出ている方もいると気づかされました。私自身も出産をして、更年期に入ってきて、体調の変化を経験してきましたから、ライフステージごとに困ってること、悩んでることってさまざまだな、というのをあらためて実感して、女性医学全般について、もう一度しっかり取り組んでいきたいと思うようになりました。
クリニック開業への思いと、東小金井駅前という場所を選んだ理由を教えてください。

大きな病院、地域のクリニックと経験してきましたが、患者さんから教わったことがたくさんあるんです。だから、今、目の前にいる患者さんを手助けすることが、その恩返しになるんじゃないかという気持ちがありました。これまでの自分の経験をきちんと生かせる診療をやるには、自ら開業するのが良いのかなと思うようになりました。ここ武蔵野地域は私が生まれ育った地元で、のどかで公園がたくさんあって、すごくいい街。やっぱり地元で診療したいという思いはありました。あと、この辺りは住民は多いのですが、産婦人科がやや少ないみたいで、その意味でも、お力になれるんじゃないかなと思いました。
プレコンセプションケアなどを通して健康維持へ
プレコンセプションケアの重要性と具体的な取り組みについて教えてください。

周産期医療の現場では、妊娠、出産でつらい思いをする方を見てきました。母体に健康上の問題がある場合には胎児の成長や健康に大きな影響を及ぼしてしまうリスクが高まります。例えば糖尿病にもかかわらず、必要なコントロールをしないまま妊娠してしまうケースなどです。妊娠前にわかっていれば良かった、気をつけていれば良かった……、そういった方を見てきた経験から予防的なアプローチの重要性を強く感じました。プレコンセプションケアは妊娠する前の段階から、妊娠、出産に向けてのリスクを早期発見し、健康管理について相談したり調整したりすることです。血糖値は大丈夫か、妊娠前に必要な栄養素をちゃんと取れているか、検査をして、生活習慣と健康管理について専門家の立場からアドバイスします。妊娠を計画していなくても、健康的な生活習慣を身につけることは、より良い人生を送ることにつながると思いますよ。
エイジングケアとはどういうものでしょうか?取り組むきっかけについても教えてください。
エイジングケアは、基本的に健康長寿を伸ばそうという考えになります。日本人の場合、平均寿命と健康寿命の間に10年ほど差があります。つまり健康になにかしらの問題を抱えた状態で10年は生きていく可能性があるということ。体が動かない状態で余生を過ごすより、体を動かせるように維持しようというのが基本的な考えです。エイジングケアもまた予防的なアプローチと言えます。私自身、大学生のとき、スキーで膝をけがしたんです。当時は難しい手術だったこともあり、手術をせずに過ごしてきました。ところが10年前から状態がかなり悪化してしまい、結果的に手術が必要になりました。人の体には調子の悪いところを治す力が備わっていますが、きちんと体をメンテナンスしていかないと、いつかガタが来てしまうということを身をもって感じて、エイジングケアの考え方を多くの方に理解してもらいたい、取り組んでもらいたいと思い至りました。
同院のエイジングケアの具体的な取り組みを教えてください。

エイジングケアと聞くと美容的なケアをイメージされるかもしれませんが、当院のエイジングケアはあくまでも健康長寿につなげていくというのがポイントです。生活習慣をお伺いし、改善が必要だと思うところは生活改善の指導や、不足しがちな栄養などがあればそれらの栄養指導等を行っていきます。ただ、一般的に健康であったほうが結果として美容的にも良いと言えるのかなと思います。
あらゆる世代の女性が気軽に相談できるクリニック
助産師との連携による相談体制について教えてください。

同院には助産師が2人いて、母乳の外来、育児相談、思春期相談という形でサポート体制を整えています。予約制なので、医師の診察とは違った形でゆっくりと時間をかけてご相談に応じます。ちょっとした困り事があれば、まずはお問い合わせください。産婦人科の医師だけではなく、助産師という専門職がいることで、より幅広く相談に応じることができています。特に思春期の女の子に対しては、まず助産師さんに相談してから必要に応じて医師の診察を受けるという流れもできますので、受診のハードルが下がるのではないかと考えています。医師と助産師が連携することで、患者さんのさまざまなニーズに柔軟に対応していきます。
10代の患者さんも多いそうですね?
そうなんです。今までさまざまなクリニックで働いてきましたが、若い方が多い地域柄なのか、こんなに10代の方がたくさん来院されるとは想定していなくて驚いています。お母さんと娘さん2人で来てくださることが多いですね。女性医師、女性スタッフのみの診療体制なので受診しやすいと感じてくれているのかもしれません。若いうちから自分の健康についていろいろと相談できるような信頼関係を築くことができれば、長い目で見た時に健康維持にすごく役立つと思います。気軽に立ち寄ってもらえる産婦人科クリニックでありたいと考えています。
最後に地域の方へメッセージをお願いします。

ちょっと困ったことがあったら気軽に足を運んでいただきたいです。クリニックに行こうかな、って思ったときに、暗い気持ちになってほしくないので、少しでも気軽に前向きな気持ちで受診できるようにと院内づくりにもこだわりました。なるべく落ち着いた雰囲気の空間にして、ちょっと楽しい気分になれるようにアートも飾っています。しっかり経験を積んでからの開業になるので、今までに得てきたものをこの地で皆さんに還元していきます。