小泉 元彦 院長の独自取材記事
新大塚こいずみ内科 脳血管クリニック
(豊島区/新大塚駅)
最終更新日:2025/08/20

大塚駅から南へ徒歩5分の場所に、2025年6月に開院した「新大塚こいずみ内科 脳血管クリニック」。ビルの2階にあり、柔和な笑顔が相談しやすい雰囲気を醸し出す小泉元彦先生が院長を努める。内科、脳神経内科、漢方内科を診療し、気軽に立ち寄ることができるように、平日は朝7時から診療を開始し、土日も診療を行う。脳神経内科で研鑽を重ねてきたため、注力するのは脳梗塞などの重篤な病気を引き起こす前に動脈硬化を発見すること。「そのために超音波画像診断装置を導入し、頸動脈のエコー検査をすぐに受けられる体制を整えています」と話す。また訪問診療も行っており、地域の人々に一貫性のある医療を提供したいという思いを秘めている。今回の取材では診療の特徴や脳神経内科に関する内容を中心に話を聞いた。
(取材日2025年7月23日)
脳梗塞などの原因になり得る動脈硬化の早期発見に尽力
開院するまでの経歴を教えてください。

岩手医科大学を卒業後、東京女子医科大学東医療センター(現・東京女子医科大学附属足立医療センター)と東京女子医科大学病院での研修を経て、同大学の脳神経内科に入局しました。医師になって4年目に国立循環器病研究センターに派遣され、特に脳梗塞の患者さんを中心に診ていました。大学を辞めてからは、今後のニーズを踏まえて訪問診療のクリニックに勤務し、その後は父が営む「くにやクリニック」に戻って来たという経歴です。くにやクリニックでは漢方を希望される患者さんが多く、日本東洋医学会の漢方専門医の資格を取得するなど、研鑽を重ねました。しかしながら、もともとの専門である脳神経内科を極めていきたいという思いが募り、ほど近い場所で開院することになりました。クリニック名に「脳血管」という言葉を入れたのも、そんな思いを込めたかったからです。
クリニックの診療方針や特徴を教えてください。
平日は朝7時から、土日は朝8時から診療を開始し、ともに夕方5時まで行っています。この地域は脳神経内科があまり多くはなく、働き盛りの世代の人たちは病院に行きにくいのではないかと思い、そのような人たちも対象にできればと考えています。検査に関しては、大学病院レベルをめざし、超音波画像診断装置を導入していますので、頸動脈のエコー検査をクリニックで気軽に受けられることが強みです。動脈硬化は血管の壁にプラークという脂質の塊が沈着し、血液が通る道が狭くなることで始まります。そのまま放っておくと、脳卒中や心筋梗塞といった重篤な病気を発症させるリスクが高まりますので、動脈硬化を早期発見し、早期治療につなげられればという思いで診療にあたっています。
どのような悩みの患者さんが多いのでしょうか?

脳神経内科に注力しているため、手足のしびれや頭痛、めまい、物忘れなどが主訴の患者さん、ご家族に脳梗塞を患った方がいて心配で来られる患者さんがいます。一方で一般的な内科も診療していますので、「風邪も診てもらえるのですか?」と来られる方も非常に多いです。朝早い時間に受診して、処方箋を会社の近くにある薬局にスマートフォンで送信して出勤し、昼休みに薬を取りに行くといったふうにご活用いただくこともできます。風邪の症状以外にも血圧やコレステロール値が高いといった生活習慣病、花粉症、胃腸炎など、幅広い疾患を診ています。何か困ったことがあれば受け入れるというスタンスで、当院で対応できないことについては専門の病院を紹介しますので、まずは相談いただければと思います。
綿密なコミュニケーションによって患者を深く知る
診療で特に力を入れていることはありますか?

動脈硬化の早期発見に尽きます。頸動脈は心臓から出ている血管の中でも見やすいため、動脈硬化を発見することができます。加えて頸動脈のエコー検査は時間さえ担保できればすぐに行うことができ、被ばくもありません。検査の結果、初期の動脈硬化であれば、引き続き当院で投薬治療を受けてもらいます。精密な検査が必要な場合は、東京女子医科大学病院をはじめとした提携医療機関がありますので、空き状況によりますが最短で当日にMRI検査やCT検査を受けることができます。当院に来た時点で、手がしびれてろれつが回らないといった脳梗塞を疑う所見が確認できる緊急時は、提携医療機関にすぐに受け入れを要請します。状況によっては手術が必要なケースがあり、早めに病院へ行ってもらえる体制を整えています。
診療で大切にしていることを教えてください。
丁寧に説明することはもちろんのこと、患者さんが理解できるように紙に図を描いて説明するようにしています。患者さんは調子が悪い状態で来院しているので、私が話したことを帰宅後も覚えているかどうかはわかりません。例えば、喉の痛みで来た患者さんがいたら、その絵を描いて、ここの調子が悪いので、こういう薬を処方しますといった具合に、根拠に基づいて説明することを心がけています。また診療が終わった後に、最後に何か聞いておきたいことはないかどうかを必ず確認しています。後から気になったり、疑問を感じたりする患者さんは意外に多く、納得して帰宅してもらうことを意識しています。また、手のしびれなどから動脈硬化が見つかるケースもありますので、風邪などで来院した際に気になることをお聞かせいただければと思います。
患者さんとのコミュニケーションを重視しているのですね?

患者さんに対して、生活スタイルなどの詳細を聞いていきます。職業によっては、通院のために仕事を休むのが難しかったり、昼休みの時間が不定期で昼の薬が飲めなかったりといった事情があることもあるでしょう。そのような場合は、服用する回数が1日1回で済む薬を提案することもあります。当たり前の話ですが、薬は飲まないと効果が見込めませんので、まずは服用してもらうために最も良い方策を立てるのがめざすべきところです。特に風邪であれば最短期間での治療をめざしています。ただし、患者さんに真摯に向き合わないことには、そのような情報を得ることはできませんので、改めて丁寧に診察することの重要性を感じています。
外来診療も訪問診療も院長が担当する一貫した診療体制
漢方内科も診療していると聞きました。

希望される患者さんに対しては応じており、西洋医学と東洋医学の両方に精通していることが当院の特徴です。漢方にはさまざまな薬があり、よく相談を受ける頭痛に関しては、患者さんによっては一般的な薬が良い場合もありますし、漢方のほうが効果が見込める場合もあります。もちろん両方の併用を提案することもあり、いろいろな側面から治療の選択肢を用意できることが患者さんにとってのメリットになります。他にも冷え症や女性の更年期障害、原因がはっきりしない体の不調などは、漢方が得意とする領域です。診療も漢方薬の処方も健康保険の適用内で行っています。
訪問診療について教えてください。
何らかの理由で通院できない患者さんの自宅や入所している施設を、月に1~2回の頻度で訪問し、緊急時の往診にも対応しています。対象エリアは豊島区を中心に、新宿区や文京区も含めた近隣区域で、患者さんがお願いしている訪問看護師と連携して診療にあたっています。ご家族から相談されることが多く、特に多いのは認知症の患者さんです。場合によっては毎週訪問することもあり、病状に合わせて訪問頻度の変更もできます。特徴として挙げられるのは、訪問診療も外来診療も私一人で対応していることです。そのため、一貫性のある医療を提供することができ、かつ東洋医学の知見を取り入れた診療も可能です。また看取りまで行っており、患者さんの希望に沿った人生の最期を迎えてもらうことを重視しています。
動脈硬化について伝えたいことがあれば教えてください。

動脈硬化は初期段階では自覚症状がなく、知らない間に進行してしまう病気です。そのため、早期発見と早期治療が重要で、職場や自治体の健康診断で血圧やコレステロール値に異常があった場合は、すぐにでも検査を受けることをお勧めします。そのために当院では、朝早くても土日でもエコー検査を受けられる体制を整えています。初期の動脈硬化であれば、投薬で進行を抑えることもめざせますし、生活習慣を変えることで改善を図れる場合もあります。また予防には塩分を取りすぎず、過度な飲酒を控えるとともに、適度な運動もお勧めです。私はボクシングを20年以上続けており、現在はトレーナーとしても活動しています。必要な運動量も個人差があるため、運動についても相談いただければと思います。