牧岡 幸樹 院長の独自取材記事
こまがた脳神経内科・内科クリニック
(前橋市/駒形駅)
最終更新日:2025/12/15
伊勢崎市からも程近い北関東自動車道駒形ICから車で5分。区画整理によって新しい住宅が立ち並ぶエリアに「こまがた脳神経内科・内科クリニック」はある。2025年5月にこの地で開業した牧岡幸樹院長は、群馬大学医学部附属病院や公立藤岡総合病院、さらにはアメリカでの研究など、数々の医療機関で脳神経内科医として研鑽を積んできた。前橋市在住で、地域医療への貢献を志す牧岡院長は、患者一人ひとりの症状に真摯に向き合い、専門である脳神経内科の知見を生かしながら、一般的な内科診療にも力を入れている。今回は、そんな牧岡院長に開業の経緯から脳神経内科医としてのやりがい、患者への想いなどについて話を聞いた。
(取材日2025年11月4日)
一般内科も診療する脳神経分野のスペシャリスト
開業に至るまでの経緯について教えてください。

大学卒業後は群馬大学医学部附属病院で初期研修を受け、その後は桐生厚生総合病院や公立藤岡総合病院など、さまざまな病院で勤務医として経験を積みました。さらに、アメリカのハーバード大学で約3年間、アルツハイマー型認知症の研究にも携わり、病気の進行を抑制するための薬の開発に尽力しました。研究生活は非常に充実していましたが、「臨床の現場で、より多くの患者さんと直接コミュニケーションを取り、自分の知識や経験を還元したい」という想いが募り、開業を決意しました。長く住んでいた前橋市内での開業を考えていたところ、開業にあたってアドバイスをくださった先生のクリニックと競合にならないよう、あまり近くない場所で、という条件で今の場所を見つけました。2025年5月に開業して以来、前橋市だけでなく近隣の伊勢崎市からも多くの患者さんが訪れています。
脳神経を専門分野に選んだのはなぜですか?
脳神経内科を選んだのは、脳の病気が非常に興味深く、そのメカニズムに魅力を感じたからです。脳は体の司令塔であり、たった一つの場所に病変が起こるだけで、目の動きが悪くなったり、まひが出たりと、多様な症状が現れます。これらの症状を診ることで、脳のどの部分に異常があるのか、どのような病気が隠れているのかを推測できることが、脳神経内科の面白さだと感じています。もちろん、患者さんを治したいという思いも強くありますが、まるで探偵のように症状から病気を突き止めていく過程に、私は大きなやりがいを感じています。学生実習で神経内科を回った際に、急に意識が悪くなりまひが出た患者さんに対し、脳神経内科の先生が落ち着いて病気を診断し、ご家族に説明されている姿を見て、「こんな医師になりたい」と強く思いました。
こちらのクリニックでは一般的な内科診療も行っていると伺いました。

はい。クリニック名にも「内科」と入っているように、専門である脳神経内科の診療だけでなく、一般的な内科疾患にも幅広く対応しています。大学病院にいた頃は、専門に特化した難しい病気を診ることが多かったのですが、開業医となってからは高血圧症や糖尿病といった生活習慣病の方から、風邪やインフルエンザ、新型コロナウイルス感染症の方まで、多種多様な患者さんが来院します。脳神経内科は内科の一分野であり、消化器内科や呼吸器内科と同様に、専門分野が脳神経である内科医という位置づけです。そのため、患者さんには「内科」として気軽に受診していただきたいと思っています。「脳神経」という名前からハードルが高いと感じる方もいらっしゃるようですが、咳が出る、熱があるといった場合でも、遠慮なく受診していただければ幸いです。
頭痛や認知症の治療は日進月歩
頭痛に悩んで受診する患者さんも多いと思います。

頭痛には大きく分けて「一次性頭痛」と「二次性頭痛」があります。一次性頭痛は、病気が原因ではない頭痛で、代表的なものに片頭痛や緊張型頭痛があります。一方の二次性頭痛は、脳出血やくも膜下出血、脳腫瘍など、何らかの病気が原因で起こる頭痛で、こちらは絶対に見逃してはいけません。当院ではまず画像検査を行い、二次性頭痛の可能性がないかを慎重に確認します。その上で、一次性頭痛と診断された場合には、患者さんの症状やライフスタイルに合わせた治療法を提案します。最近では片頭痛の新しい予防薬も登場しており、月に1度の自己注射で痛みの頻度の軽減を図れるような方法もありますので、慢性的な頭痛でお悩みの方も諦めずにご相談いただきたいです。
近年の認知症の傾向や予防方法について教えてください。
近年、認知症治療において特に注目されているのが、病気の進行を抑制するための薬「抗アミロイドβ抗体薬」の登場です。これは、私がアメリカでの研究時代に携わった分野でもあります。この薬は、認知症の進行を緩やかにすることが期待されています。完治させることはできませんが、進行を遅らせることで、患者さんの生活の質を長く保つことにつながります。予防方法としては、やはり運動と食事が非常に重要です。また、高血圧症や糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病は、動脈硬化を進行させ、認知症のリスクを高めることがわかっています。これらの病気を適切に管理することも、認知症予防には欠かせません。バランスの取れた食事、適度な運動、そして生活習慣病の管理が、認知症を遠ざけるための鍵となります。
物忘れについてはどのタイミングで受診したら良いでしょう?

物忘れが気になり始めたら、できるだけ早めに受診していただくことをお勧めします。特に、「年のせいだから仕方ない」と本人に自覚がない場合や、周囲の家族が「以前と比べて明らかに物忘れがひどくなった」と感じる場合は、受診を検討すべきタイミングです。認知症の初期段階であれば、抗アミロイドβ抗体薬のような新しい治療薬の適応となる可能性もありますが、病気が進行してしまうと治療の選択肢が限られてしまうこともあります。当院では、物忘れのテストを行い、現在の状況を客観的に評価します。もし異常が見つかれば、その後の詳しい検査や治療について一緒に考えていきますし、問題がなければ定期的な経過観察をご提案することも可能です。決して一人で抱え込まず、専門家にご相談いただければと思います。
患者の声を丁寧に聞き、適切な治療を
治療をしていて難しいなと感じる場面はどんな時ですか?

患者さんが途中で治療をやめてしまう時です。例えば、頭痛の予防薬など、症状の改善が期待できるまでに時間がかかる薬や、いくつか試して患者さんに合う物を見つける必要がある薬の場合、すぐに変化が実感できないと「この薬は効かない」と感じてしまい、通院をやめてしまう方がいらっしゃいます。もちろん、患者さん一人ひとりに合った薬を見つけるために、私もさまざまな選択肢を提示し、丁寧に説明するよう努めていますが、合わない薬が続くと「もういいや」となってしまう気持ちも理解できます。しかし、せっかく受診してくださったのに、途中で治療を諦めてしまうのは非常にもったいないことです。患者さんに合う治療法は必ずあると信じ、粘り強く一緒に探していきたいと考えています。
患者さんと接する時に心がけていることを教えてください。
患者さんが「何に困って、どうして病院に来たのか」という理由を深く理解することです。例えば、頭痛で来院された患者さんの中には、脳出血や脳腫瘍といった重篤な病気が隠れていないか心配で、まず画像検査を希望される方もいれば、慢性的な頭痛に長年悩まされており、根本的な治療法を求めている方もいらっしゃいます。CT検査で異常がないことを確認し、安心してもらうだけで良い場合もありますが、それだけでは解決しない患者さんの苦痛に寄り添い、その先の治療へとつなげていくことが重要だと考えています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

当院は、頭痛やしびれ、めまい、物忘れといった脳神経系の症状から、風邪や生活習慣病といった一般的な内科疾患まで、幅広く対応しています。特に、頭痛や物忘れといった症状は、日常生活に大きな影響を与えるにもかかわらず、「年のせい」と諦めてしまったり、どこの病院に行けば良いかわからず一人で悩みを抱えてしまったりする方が少なくありません。近年では頭痛や認知症の治療法も大きく進歩しており、症状を緩和したり、病気の進行を遅らせたりすることが期待できるようになってきています。もし、何か気になる症状があれば、どんな些細なことでも構いませんので、気軽に当院にご相談ください。早期に受診することで、適切な診断と治療につながり、より良い結果が期待できます。

