川上 剛史 院長の独自取材記事
中央町レディースクリニック
(北九州市八幡東区/スペースワールド駅)
最終更新日:2026/06/16
八幡東区の中心地に、2025年6月に開院した「中央町レディースクリニック」。この場所でかつて40年以上産婦人科を営んだ父の志を受け継ぎ、院長の川上剛史先生が再びこの地に産婦人科の灯をともした。産科を担う院長と婦人科専門の川上厚子副院長が、夫婦二人三脚で10代から高齢期まで幅広い世代の女性に寄り添う。ブラウンのモダンな外観に、白を基調とした清潔感ある院内が心地良い。川上院長は胎児心エコー検査等の超音波検査の専門的なスキルを持ち、勤務医時代に目の当たりにした母児分離の経験から、先天性疾患の早期発見に力を入れる。HPVワクチンの普及や生理痛に対するOCやLEPなど低用量ピルの処方にも対応。「産婦人科はすべての女性のための科」と穏やかに語る川上院長に、診療にかける思いを聞いた。
(取材日2026年5月14日)
父が築いた地域の信頼を、夫婦の力で受け継ぐ
この地で産婦人科を開業された経緯をお聞かせください。

もともとここは、父が40年以上にわたり産婦人科を営んでいた場所なんです。地域に根差した診療を長く続け、多くの方に信頼していただいていました。私自身は近くの総合病院で勤務しており、父が亡くなって3年ほど閉院していた時期がありました。引き継ぐべきか悩みましたが、父がこの地で築き上げた皆さんからの信頼を絶やしたくないという思いが強くなり、産婦人科を継続する決断をしたのです。父の時代は分娩も取り扱っていましたが、少人数での対応は難しいため、入院施設を持たないクリニックとして再出発しています。また院内は清潔感を大切にした空間に仕上げ、待合室はゆったりお過ごしいただけるようにしました。産科専門の私が院長を務め、婦人科に長く携わってきた妻を副院長として、2人で力を合わせ診療にあたっています。
産科と婦人科、それぞれの特徴を教えてください。
婦人科を担当する副院長は、さまざまな世代の女性を長く診てきた経験がありますので、10代の方から70代・80代の方まで幅広く対応することができます。私が担当する産科では、長年取り組んできた超音波検査の専門性を生かして、おなかの赤ちゃんの状態を詳しく調べるための胎児の心エコー検査を提供しています。妊婦健診はおおむね32週頃まで対応可能で、分娩施設が遠い妊婦さんの通院のご負担を少しでも軽くできればと考えています。4Dエコーも導入しており、妊娠というご家族の大きなイベントを楽しんでいただけるよう努めています。
先生が産婦人科を志されたきっかけを教えてください。

父が産婦人科医でしたので、物心ついた頃から医師という職業が一番身近にあり、自然と自分もその道を歩むんだろうなと感じていました。産婦人科を選んだのもやはり父の影響が大きいですが、実際に携わってみると超音波検査での診断にとても惹かれたんですね。体の中にもう一人、心臓が動いている別の体がある。それをエコーで見ながらいろいろ考えるというのが非常に面白く、今もライフワークとして奥深さを感じながら続けています。以前勤務していた病院は小児科に力を入れており、さまざまな先天性疾患の治療を行っていました。そこで出生前に問題が見つかった赤ちゃんを持つ妊婦さんの主治医を務める機会にも恵まれ、その経験が現在の胎児の心エコー検査への取り組みの土台になっています。
母子の安心を守るための検査と女性のための予防医療
妊婦さんの診療で、特にこだわっていることはありますか?

病院勤務時代、出産時に赤ちゃんの異常が判明し救急搬送される「母児分離」を何度も経験しました。お母さんは出産直後で動けず、一番そばにいたいはずの赤ちゃんと離れ離れになってしまう。その姿を見て、予期しない母児分離は防ぎたいと思い、胎児の心エコー検査等の技術を身につけました。ただ、胎児の検査にはメリットとデメリットがあると感じていて、事前にわかれば、出産後スムーズに治療に移行するための備えができる一方、望んでいない情報まで入ることで不安が大きくなることもあり得ます。必ず「本当に知りたいか」を確認し、知りたくないお気持ちも大切にしています。以前、検査の過程で患者さんから「赤ちゃんのことを真剣に考えてくれてありがとう」と言葉を頂いたことがありました。その方が後で無事ご出産されたと聞いた時は、本当に安堵しうれしく思いました。
子宮頸がんの予防についてもお聞かせください。
子宮頸がんは、HPVというウイルスによって段階的に進行していく病気です。がんに至ると大がかりな手術が必要になったり、その後の合併症と向き合わなければならなかったり、放射線治療や抗がん剤治療が必要になる方もおられます。比較的若い年齢でも発症するのが特徴ですが、日本は子宮がん検診の受診率がまだ十分とは言えず、発見が遅れてしまうことも少なくありません。子宮頸がんは数あるがんの中でも予防のための手段を持つ病気です。HPVワクチンを接種することで予防につなげることも期待できるということを、ぜひ多くの方に知っていただきたいと思っています。当院でも子宮頸がん検診や女性のための総合的な精密検査に対応しておりますので、ご自身の体を守るための一歩として気軽にご相談いただければうれしいです。
生理痛に悩む女性に向けて、伝えたいことはありますか?

以前勤めていた病院は手術がとても多く、子宮内膜症の手術の大変さを間近で見てきました。生理痛を放置すると子宮内膜症につながることもあり、悪くなってからではなく、悪くならないようにすることが一番大切です。月に1度の痛みで学業や部活、仕事や日常生活に支障が出ている場合は、我慢せず治療という選択肢を選んでいただければと考えています。低用量ピルは、以前は避妊用の薬でしたが、現在はLEP製剤と呼ばれ、生理痛に対して保険適用のお薬があります。生理に伴うつらい症状の緩和が期待できるものです。10代の方でも使えますので、親御さんと一緒の受診も歓迎しています。また、更年期の体調不良も「しょうがない」で済ませず、日常生活を快適に過ごすためにも、ぜひ治療をご検討いただければと思います。どの世代の方も気兼ねなくご相談ください。
すべての女性のライフステージに、丁寧に寄り添いたい
日々の診療で心がけていることを教えてください。

なるべく丁寧に、説明を省略しないことを一番に心がけています。お待たせしてしまうこともあるのですが、一つ一つきちんとお伝えすることが大切だと考えています。また、スタッフには「安全」「配慮」「丁寧」、この3つの重要性を日頃から伝えています。確認を怠らないこと、患者さんはそれぞれ違う事情を抱えて来院されるので互いに気を配ること、そして丁寧に仕事をすること。小さなクリニックですから、大きな病院のような高度な治療ができるわけではありません。だからこそ、患者さんの訴えを一つ一つ丁寧にすくい上げることを目標にしています。現在は事務4人、看護師4人、助産師1人に加え、私と副院長、さらに応援の女性医師という体制で診療にあたっています。
これから取り組んでいきたいことを教えてください。
院内にセミナールームを設けていますので、ゆくゆくはそこを活用した取り組みを進めていきたいと考えています。例えば、妊婦さん向けの啓発活動や、生理痛の対処法、更年期の過ごし方をテーマにした健康セミナーなどです。胎児の心エコー検査にしても生理痛の治療にしても、「知らなかった」「誰にも聞けなかった」という声はまだまだ多いと感じています。正しい情報を届けることで、我慢や不安を少しでも減らせたらうれしいですね。まだ準備の段階ではありますが、幅広い世代の女性にとって役立つ場にしていきたいです。
最後に、読者へメッセージをお願いいたします。

産婦人科はどうしても来院ハードルが高いと感じる方が多いかもしれませんが、本来はすべての女性のための科です。生理のこと、妊娠のこと、更年期のこと、何であれお困り事があれば気軽に受診していただけたらと思います。妊婦さんに対しても、今お困りのことやご不安なことに一つ一つ丁寧に向き合います。当院は10代の方から高齢の方まで、年齢やライフステージを問わず寄り添えるクリニックでありたいと考えています。お一人で抱え込まず、ちょっとしたことでもまずはご相談ください。きっとお力になれることがありますので、初めの一歩を安心して踏み出していただける場所であり続けられるよう、スタッフ一同努めてまいります。
自由診療費用の目安
自由診療とはOC/2000円~

