芳田 倫子 院長の独自取材記事
よしだ歯科
(伊丹市/稲野駅)
最終更新日:2026/05/08
稲野駅から徒歩13分の住宅街に、2025年に開業した「よしだ歯科」。木目と白、スカイブルーを基調とした院内には、院長の子どもたちをモチーフにしたかわいらしいロゴマークや星形の照明が飾られ、温かみのある雰囲気が漂う。院長の芳田倫子先生は、家族や親戚に医療関係者が一人もいない環境で育ち、自身もずっと患者の立場で歯科医院に通ってきた。その経験が「不安なことがあったら最初に相談できる歯医者でありたい」という思いの原点になっているという。穏やかで親しみやすい笑顔の奥には、小学校から大学までバスケットボールに打ち込んできた芯の強さを感じる。患者目線を貫く診療姿勢や補綴治療へのこだわり、世代を問わず通える環境づくりについて話を聞いた。
(取材日2026年4月13日)
患者目線を原点に、最初に相談できる場所でありたい
まずはこの場所で開業に至るまでの経緯をお聞かせください。

伊丹市の出身で、先祖代々この土地に縁があります。幼稚園の頃から父の転勤で関東に移り、神奈川歯科大学を卒業後、地元に戻りました。大阪歯科大学での臨床研修を経てその後は兵庫県内の歯科医院で約15年間、一般歯科を中心に経験を積みました。家族や親戚に医療関係者は一人もいませんので、自分自身がずっと患者側の立場で育ってきました。だからこそ患者さんの気持ちは人一倍わかるのではないかと思っています。歯科医師として研鑽を重ねるうちに、自分の理想とする歯科医院をつくりたいという思いが膨らみ、幅広い症例に対応できる手応えを感じられるようになったこと、子どもたちが成長したこと、両親が元気なうちにという気持ちが重なり、このタイミングしかないと開業を決断しました。
患者さんと接する際に大切にしていることを教えてください。
「不安なことがあったら最初に相談できる歯医者でありたい」、それが一番の思いです。私自身患者として病院に行くと、遠慮や緊張から聞きたいことが聞けないという経験をしてきました。だからこそ、まず話をよく聞くことを大切にしつつ、必要なこと以上は踏み込まないようにしています。来られた経緯や患者さんがどうしたいかを丁寧に確認し、治療の選択肢をお伝えした上で、希望を尊重しながら一緒に方針を決めていきます。「治療上気になることは我慢せずにちゃんと言ってください」と必ずお声がけしているのは、我慢せず話していただくことが治療の補助になると考えているからなんです。過去に歯科で嫌な思いをされた方や、受診に勇気が出ない方にこそ足を運んでいただきたいですね。セカンドオピニオンも歓迎していて、患者さんご自身の選択をサポートしています。間口を広げ、何でも気軽に相談できる場所でありたいと思っています。
院内の環境づくりでこだわった点を教えてください。

院内は清潔感とシンプルさを大切にし、掃除のしやすさも意識して設計しました。診察室は半個室にして、患者さんのプライバシーを守りつつ、スタッフ同士の声が届く風通しの良さを両立しています。特にこだわったのはキッズスペースの配置です。待合室ではなく診察室のそばに設けていますが、それは「治療中、子どもはどうすれば……」と自分自身が感じたことがきっかけでした。お母さんが治療を受けている間もお子さんの様子が見えるので安心していただけるのではないでしょうか。建物はバリアフリーで、入り口にスロープと自動ドアを備えていますので、ベビーカーや車いすのままお入りいただけます。また、治療時の飛沫を吸引する口腔外バキュームやCTといった設備も整えています。土曜も17時まで診療していますので、平日お忙しい方にも通いやすい環境ですよ。
正直に、誠実に。「手をつけない治療」という選択肢も
診療の中で、特に力を入れている分野を教えてください。

補綴はもともと好きな分野で、かぶせ物や詰め物の治療には特にこだわりを持っています。同じ材料を使っても、患者さんの口の状態や場所によって適切な方法はまったく異なります。一人ひとりに合ったベストを追究し、きれいな仕上がりをめざすことで、患者さんに喜んでいただけたらうれしいですね。私は部屋の掃除が大好きなのですが、きれいなお口をめざすのも同じ感覚で、とても楽しいことなんです。心がけているのは、当たり前のことを当たり前に、正直に誠実にごまかさないこと。めざした結果と違ってしまった場合も、現状を包み隠さずお伝えするようにしています。また、治療にはレーザー機器も活用し、歯茎の状態を整えるための処置を行ってから、かぶせ物の処置に入ることで、精密な仕上がりにつなげています。型採りが苦手な方には口腔内スキャナーで対応でき、入れ歯はなじむまで何度でも調整しますので、遠慮なくお声がけください。
虫歯が見つかった場合、治療方針はどのように判断されますか?
虫歯を治療する際、実は虫歯だけでなく周囲の健康な歯も削ることになります。一度削ると、歯と材料との境目が一生ついて回り、次の治療ではさらに大きく削らなければなりません。ですから小さな虫歯については、今削るべきかどうかを慎重に見極めています。判断を支えるのが、虫歯の深度をレーザーで数値化できる診断機器です。フロスやフッ素と定期的な経過観察で進行の抑制が見込めるなら、あえて「手をつけない治療」を選ぶのも一つの方針です。診察室には、ご自身の口腔内写真を確認いただくためにモニターを設置しているので、それが予防への意識向上につながればと考えています。
お子さんの診療で心がけていることはありますか?

嫌がることを無理にしないということです。歯科で怖い思いをすると、その記憶は簡単には消えません。まずは「座れたね」「ゴロンできたね」と一つ一つ褒めながら、その子のペースで段階的に慣れてもらうようにしています。緊張が強い場合はキッズスペースで遊んで帰るだけのことも。「ここは怖い場所ではない」と感じてもらうことが最優先です。歯が生え始めた頃からの相談にも対応し、年齢ごとに気をつけたいポイントや歯磨きの仕方をアドバイスしています。歯科医院での処置よりも毎日のご家庭でのお手入れのほうが大切ですから、保護者の方への指導にも力を入れています。私自身2児の子育て中ですし、心配事があれば気軽にお話を聞かせてください。
チームプレーの精神で、患者とともに歩み続ける
スタッフさんとのチームワークも大切にされているそうですね。

小学校から大学6年生までバスケットボールを続けていたので、チームで一つの目標に向かう経験が、今のクリニックづくりにそのまま生きていますね。ただ、私は三姉妹の末っ子なので「ついて来い」というタイプではなく、自分が率先して掃除をしたり動いたりと「背中を見てもらうこと」を大事にしています。当院は助手と歯科衛生士の少人数体制ですが、だからこそ風通し良くお互いの声が届く関係があります。スタッフ皆が、患者さんが定期検診を続けたくなるような声かけや雰囲気づくりを心がけてくれているんですよ。
開業からまもなく1年を迎えますが、今後の展望をお聞かせください。
一度診させていただいた方には、ずっと責任を持ち続けたい。それが私の一番の目標です。30年は頑張ろうと決めて開業しましたので、患者さんとともに年を重ねていける歯科医院でありたいと思っています。小さかったお子さんが成長し、社会人になるまで見届けられたらうれしいですね。休日は子どもたちと公園や野球観戦に出かけて気分転換していますが、セミナーにも参加して知識や技術のアップデートは欠かさないようにしています。この住宅街にはファミリー層が多く、お子さんの受診をきっかけにご家族全員が受診されるケースもあります。そうした信頼の輪を一つ一つ大切にしながら、長く地域に根差した診療を続けていきたいですね。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

気になることは、どんな小さなことでも気軽に相談していただきたいと思っています。「こんなことを聞いてもいいのかな」と遠慮される方も多いですが、私自身がずっと患者の立場で過ごしてきたからこそ、その気持ちはよくわかります。だからこそ聞きやすい雰囲気をつくることを日々心がけていますし、来てくださった方のお話を丁寧に受け止めたいと思っています。歯科で嫌な経験したことのある方や、不安を抱えたまま一歩を踏み出せずにいる方こそ、まず話を聞かせてください。どんなときでも最初に相談できる歯科医院でありたい。その思いをこれからも大切にしながら、患者さんと向き合っていきます。

