生長 弥須蔵 院長の独自取材記事
都島整形外科クリニック
(大阪市都島区/都島駅)
最終更新日:2025/09/22

大阪メトロ谷町線の都島駅を下車し、地上に出ると何車線もある大きな幹線道路が交差する七つ辻になっている。見渡せばファストフード店が軒を連ね、大都会の一角といった風景だ。「都島整形外科クリニック」は、都島駅3番出口からだと1分足らず、大阪府立都島工業高等学校正門前に位置するクリニックビルの3階にある。開業してまだ間もなく、新しい医療機器がそろう院内は、真新しいユニフォームのスタッフが機敏に働いていて、クリニックの隅々まで生き生きと輝いて見える。駅から近く、新しい機器や治療法を取り入れ、複数の理学療法士が在籍、リハビリテーション室も備えているとあって、多くの患者が足を運んでいるという。この気鋭のクリニックを率いる生長弥須蔵(いきなが・やすぞう)院長に、クリニックの特徴について話を聞いた。
(取材日2025年6月3日)
地元の「かかりつけ医」に助けられ、医師を志す
医師をめざしたきっかけを教えてください。

自分は南大阪で生まれ育ち、いつも走り回っているような子どもで、ケガをすることもしょっちゅうだったんです。小学生ぐらいの時に、足に大きなケガをして、近くのクリニックに運び込まれ、治療を受けたんです。そのクリニックには、かかりつけ医としてその後も助けていただくことになるのですけれど、その時の経験から自分の中で医師というのは、すごくすてきな職業だなと思うようになったんです。そこから医師になりたいという気持ちが生まれました。今は姉も医師なんですが、親は医療の世界とはまったく関係ない普通の家庭でした。だから医師になるためには、どうしたらいいのかを自分なりに考えて受験に備え、大阪公立大学医学部に進みました。
医療の中でも整形外科という分野を選ばれた理由は?
僕は中学、高校と真剣に部活でスポーツをやるということはしてこなかったんです。大学に入学して、バスケットボールやゴルフ、特にバスケットボールに取り組んだのですが、ケガや腰痛で試合にも出られない期間や練習にも参加できない期間が結構あったんです。ケガの治療やリハビリで、整形外科の先生や理学療法士の皆さんにとてもお世話になったんですね。それがきっかけで、整形外科に興味を持つようになったんです。
医師としてのこれまでのキャリアを教えてください。

大学を出てからは、堺市にある馬場記念病院で2年間勤務しました。ここは地域に密着しながら手術も行う病院で、救急の患者さんや外傷の患者さんを診させていただきました。そのほか内科や脳外科も回り、いろんな診療科を診られるように勉強させていただきました。その後、大阪労災病院に勤務し、より専門的な医療に従事しました。脊髄や人工関節、膝の靱帯の再建や半月板損傷も経験しました。これまでの勤務先の病院では、いろんな症例を見させていただきました。中でも、骨折の手術にはもともと興味があったこともあって、人工関節の手術も含め積極的に取り組みました。
開業の経緯はどのようなものですか?
先ほどお話ししたように、医師を志したのは、かかりつけ医の先生にお世話になったことがきっかけでした。ですから、医師になってからも、地域に密着しながら、経験を生かして専門的な治療ができるクリニックを開業したいという思いがありました。整形外科の中でできることに加え、整形外科に関連した分野も診たかったんです。僕は加齢についても専門的に学んでいるので、患者さんの健康寿命を延ばし、できるだけ健康でいい状態に過ごしてもらうというのが、非常に重要なことだと考えています。クリニック開業の場所を探す時、このクリニックの下にある眼科の院長が、大阪公立大学出身の僕の先輩にあたる先生で、ご縁があって、そこのオーナーさんから、この場所を紹介していただきました。
根本的な「痛み」の原因にアプローチする治療
クリニックでは受けられる治療はどのようなものでしょうか?

一般的な整形外科疾患全般に加え、交通事故、労働災害の治療がありますが、比較的治療に時間がかかるような場合でも、しっかり患者さんに寄り添いながら治療しています。特殊な治療としては、麻酔薬による疼痛緩和治療を当院では「ハイドロリリース」と呼び、治療の目玉としています。これは、エコー(超音波)下で患部を確認しながら行う注射治療で、例えば、肩凝りなどの痛みの根本原因の解消に有用です。こうした新しい治療法や技術など、良いと思うものは取り入れて先進的な治療を患者さんに提供しているのも当院の特色ですね。
受診から治療への流れはどのようなものでしょうか?
診察を受けていただいた上で、エックス線検査や超音波検査を行います。例えば、骨粗しょう症であればまず骨密度を調べるのですが、国が推奨している骨密度想定装置を導入しています。治療によって骨密度がどう変化したか、経過を追えるので、状態の評価を行う上でも非常に役立っています。また、患者さんにとっても、治療を続けていく上でのモチベーションにつながればと思っています。
理学療法士が在籍し、リハビリにも力を入れていらっしゃいますね。

1回40分間のリハビリの中では、理学療法士が日常の本当に些細な動作などが疾患や痛みの原因になっていることに気づいて指導することもあります。医師が診るのとは別のアプローチの仕方なので、医師と理学療法士、両方の目線で患者さんを診ることができるのは、当院の強みといえるでしょう。健康づくりや体づくりのための運動、アスリートのためのトレーニングメニューなどもご相談に乗っていますので、興味のある方はぜひお声がけください。
どのような患者さんが来られていますか?
アクセスが良いこともあって、20代から30代の仕事帰りの会社員の方や、学生の方も多く来られています。スポーツ障害を抱えた子どももいます。高齢者の方の中には、これまでなかなか良くならなかったという方が、相談に来られるケースも少なくありません。野球少年からデスクワーク世代、高齢者の方まで幅広い層の患者さんに来ていただいています。
一方通行ではない医療で「目的地」を患者と共有する
大切にされているクリニックの理念は何でしょうか?

今までのクリニックのイメージというのは、どうしても医師が決めるというものだったと思います。やり方や治療方針に患者さんが納得できなくても、従っていくしかないケースは少なくなかったはずです。当院では、検査の重要性や、なぜその治療が必要なのかを患者さんに理解していただいたほうが、継続した治療につながると考えています。整形外科疾患の治療は継続していくことが予後にとって非常に重要となります。ですので当院では、患者さんにどうしたいのかを聞いて、患者さんがどういうふうになっていきたいのか、その目標地点を一緒に決めます。患者さんの思いに寄り添い、目的地を共有しながら治療していくクリニックにしていきたいのです。スタッフにも、患者さんは一人ひとりクリニックに求めるものが違うから、それに応えられるよう意識してもらっています。
今後のクリニックの展望についてお聞きします。
まず当院のリハビリの良さというのを体験していただきたいです。すでにリハビリの予約枠も埋まってきているので、今後は人員を増やしたり、場所的にももっと広い場所を確保したりする必要も出てくるでしょう。どうすれば、より多くの患者さんに、より良い医療を受け入れてもらえるのかというところが、これからの課題だと感じています。
ところで、プライベートではどう過ごされていますか?

最近は子育てです。自分の子どもができて、医療人としても変わってきました。親の立場になってみると、親御さんの子どものことが心配だという気持ちがすごくよくわかるようになりました。ちょっとの痛みや、普通だったら気にしなかったようなことも、親としての気になり方が独身の時とは違ってきましたね。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
当院には、いろんな思いやお悩みを抱えた患者さんが来られますが、それぞれの患者さんに最適な治療ができるように、今後も努力していきたいと思っています。相談しづらいこともあると思うんですけれど、患者さんと会話しながら、どういう治療をしていくかを決める、そんなフランクな雰囲気づくりもしていきたいですね。