訪問診療の専門チームによる支援で
「良かった」と思える人生を
芦屋甲南クリニック
(神戸市東灘区/甲南山手駅)
最終更新日:2025/07/15


- 保険診療
認知症で外出に不自由が出たり、がんや心不全などの病気から寝たきり状態になったりと、クリニックに通うことが難しくなった際に必要となる訪問診療。医療スタッフが自宅まで足を運んでくれるため、通院に対する負担の大幅な軽減につながる。ただ、自分は対象ではないと思い込んでしまっていたり、できることは限られていると最初から諦めている人もいたりして、利用していないケースも多いようだ。「芦屋甲南クリニック」の白坂知識院長は、「まずはしっかりとお話をして、信頼関係づくりを大切にしている」と語る。不安や困り事だけでなく、好きなことや挑戦したいことも丁寧に聞き取り、人生を楽しむことをテーマに訪問診療を続けているそうだ。そんな白坂院長に、訪問診療の対象となる人や診療の内容、利用の手順などを教えてもらった。
(取材日2025年6月23日)
目次
多職種連携で包括的にサポートし、1人でも多くの人に人生の喜びを提供したい
- Q訪問診療に注力する理由をお聞かせください。
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A
▲院長は開業前に訪問診療リーダーとして複雑症例も経験多数あり
そもそも私が医療の道に入ったのは、中学生の時にケガで通学もままならない、つらい時期があったからです。あの時の自分のように、困っている人に医療を届けたいという思いで訪問診療に注力しています。訪問診療では、あらゆる病気やケガを診る必要があります。そこで、プライマリケアを専門とする札幌渓仁会病院の家庭医療部門に志願して勤務しました。家庭医学・メンタルヘルス・在宅医療を幅広く学び、訪問診療部のリーダーも務めました。またケアマネジャーである母の影響で、生活支援や福祉機器についても理解を深めてきました。こうした経験を生かし、患者さん一人ひとりに合わせた、きめ細かな訪問診療を心がけています。
- Q訪問診療とは、どんな人のための診療なのでしょうか?
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A
▲クリニックでは患者自身が通院か訪問診療か選べるようにしている
訪問診療の対象は、通院が困難な人全般です。例えば、寝たきりや認知症などで外出が難しい方、がんや慢性疾患などで在宅療養をされている方、障害や重い病気で移動が困難な方などが挙げられます。このように聞くとハードルが高く思われるかもしれませんが、必ずしも特定の病気が必要なわけではありません。「通院に付き添える家族がいない」「夏の酷暑がつらくて通えない」「風邪がはやっていて外出したくない」といった場合も利用できるケースがあります。また訪問診療では、病気の治療に加えて、健康管理や薬の処方、緩和ケア、リハビリテーション、生活環境の整備など、生活全体を支える総合的なケアが提供されるのが特徴です。
- Q訪問診療を希望する際に、必要な流れを教えてください。
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A
▲先進かつ携帯性の高い商品を中心とした訪問診療で用いる機器
まずお近くの市役所・区役所にある高齢者福祉サービスの窓口、もしくは地域包括支援センターと呼ばれる施設に相談してみてください。最近はさまざまな窓口が設置されていて、相談窓口がわからないというケースも多いですが、どこに相談しても最終的にはきちんとしかるべきクリニックや看護・介護サービスセンターへ案内してもらえるはずです。一方で訪問診療・在宅医療は仕組みが複雑で相談そのもののハードルがまだ高い風潮がありますので、当院では高齢者の医療相談・介護相談を無料でいつでも受けつけています。
- Qこちらで行う訪問診療の特徴を教えてください。
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A
▲スローガンは「良かったと思える人生を一人でも多く」
当院の訪問診療部のスローガンは、「Good ending road~良かったと思える人生を一人でも多く~」です。がんがあるからとか、人生の終盤だからということではなく、誰にとっても人生は限られたものだから、限られた時間を楽しもうというメッセージを患者さんに伝えています。年を取っているからとか、病気があるからといったことを理由に好きなことを我慢したりせず、人生を楽しんでほしい。そしてそのお手伝いをするのが私たちの役割だと思っています。幸いにも神戸市の東灘区・灘区・芦屋市といった地域は多職種によるサポート体制が整っています。「こんなことをしてみたい」といった希望も遠慮なく聞かせてほしいです。
- Q訪問診療のメリットとは何ですか?
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A
▲患者にとっての訪問診療の魅力・メリットを語る院長
訪問診療を利用されると、真夏や真冬の時期は特に過酷となる病院への通院負担が一気になくなることや、曜日や時間帯に関係なく体調不良時の相談がいつでもダイレクトにできることなどの、メリットに対する驚きと喜びを感じていただけるのではないでしょうか。当院は特に看護を担う訪問看護師や介護ケアの立案をするケアマネジャーと緊密に連携して「見守りの目」を担保し、小さな体調変化も早期発見すること、それによってご家族負担を軽減することを得意としています。24時間365日対応の体制を用意していますし、循環器・救急領域での長年の経験がベースにあるので急変時のスピーディーな対応にも慣れていると自負しています。