新留 翔一朗 院長の独自取材記事
くろかわアイクリニック
(川崎市麻生区/黒川駅)
最終更新日:2025/08/13

「緑内障手術した患者さんをずっと診ていきたかった」、そんな思いから開業を決意したという新留翔一朗院長。鹿児島大学を卒業後、東京医科大学眼科をはじめとする大学病院で助教まで務めた緑内障手術のスペシャリストだ。大学病院では手術後に患者を紹介元に戻すことが多く、継続的な管理ができないことにもどかしさを感じていたという。初期研修医時代の先輩からの誘いを受け、2025年5月に「くろかわアイクリニック」を開業。「緑内障は早めに発見して適切なタイミングで治療ができれば、進行の抑止が図れるんです」と語る新留院長に、開業への思いや緑内障治療にかける情熱を聞いた。
(取材日2025年7月1日)
自分が手術した患者を最後まで診続けたい思いから開業
大学病院から開業に至った経緯を教えてください。

大学病院では助教として難易度の高い緑内障手術を任されることが多く、やりがいを感じていました。ただ、緑内障という病気の特性上、術後も長期的な管理が必要なのに、大学病院では手術後は紹介元の先生に患者さんをお返しすることが多く、自分が手術した患者さんをずっと診ることができないのが、気にかかっていました。そんな時、知り合いで内科のクリニックを開業していた先生から、「眼科を探しているから隣でやらないか」と声をかけていただきました。その先生とは初期研修先だった新百合ヶ丘総合病院時代からの先輩で、信頼関係もあり、さらに内科との連携も取りやすいということで、開業を決意しました。
なぜ緑内障を専門に選ばれたのですか?
医学部時代は外科系を考えており、その中でも眼科という専門性の高さに魅力を感じました。その中でも緑内障を選んだのは、一生の病気で一度かかったら元には戻らないという特性があるから。緑内障は手術後も眼圧管理が必要で、患者さんと長く付き合っていく病気です。大学時代、早期に発見していれば進行を防ぐこともできたはずの末期緑内障の方を多く診てきました。その経験から、適切なタイミングで適切な治療を行うことの重要性を痛感し、緑内障を専門としてずっと患者さんを診続けたいと思うようになりました。
院内のデザインにこだわりがあると聞きました。

院内は白と黒を基調にしていますが、これは緑内障が進行するとコントラスト感度が低下し、色を見分ける力が弱くなるためです。白と黒のコントラストが最も見やすいとされているので、受付の案内表示も黒地に白文字にしています。医療機器も大学病院と同等のものを導入し、手術機器は先進のものをそろえました。スタッフが使いやすく、患者さんにとっても検査の精度が高まるよう配慮しています。この地域を選んだのは、新百合ヶ丘総合病院に勤める際、初めて関東に出てきたのですが、その時から住み良い街だと感じていたことと、妻の実家もあることが理由です。
街のクリニックで専門的な緑内障手術を
貴院の緑内障手術の強みを教えてください。

当院では、緑内障手術を一通り日帰りで対応でき、白内障の手術にも対応しています。大学病院だと紹介状が必要で、手術まで数ヵ月待つこともありますが、当院では適切なタイミングで手術や治療ができます。大学病院では紹介されてくる患者さんは重症の方も多かったのですが、身近な場所で早期に発見できれば、重症になる前に手術ができるので、そこがメリットです。また、術後も継続的に診察できるので、眼圧の変化を見逃さず、必要な時に追加治療も迅速に対応できます。
「適切なタイミングで適切な治療」とは何ですか?
緑内障の治療は個人によってタイミングがまったく違い、年齢、進行度、生活スタイル、点眼ができるかどうかなど、さまざまな観点から総合的に判断する必要があります。若い方なら早めの治療開始が必要ですが、ご高齢の方なら生きている間見えていれば日常生活には問題がないという場合もあります。目薬も一度始めたら一生続けなければならず、副作用もあります。だから患者さんが納得することが何より大切。毎回「これで大丈夫か、納得したか」と確認しています。手術を強く勧めることはあっても、やりたくない方には無理に勧めません。一人ひとりの人生設計に合わせた医療を提案しています。
緑内障以外にはどのような診療を行っていますか?

オルソケラトロジーを含めた近視へのアプローチにも力を入れています。実は近視と緑内障には深い関係があって、強度近視の方は緑内障のリスクが高くなるとされています。今は中高生の半分以上が近視という時代。子どもの頃に近視へのアプローチができれば、将来の緑内障リスクを下げられる可能性があります。重度の緑内障になった患者さんを診るたび、幼少期に近視治療をしていたらと思うことがあります。また、網膜疾患など専門外の病気は、連携している大学病院や専門の医師に適切なタイミングで紹介しています。
早期発見で患者の人生を守っていく
予防や早期発見にはどのような取り組みをされていますか?

どんな症状で来た方でも、必ず目の奥を診て緑内障の疑いがないか確認します。コンタクトレンズ処方で来られた方も例外ではありません。大学時代から「必ず目の奥を診ろ」という教育を受けてきたおかげで、これまでも自覚症状のない緑内障を多数発見してきました。緑内障は自覚症状が出てくるときにはかなり進行しています。中期でも両目で見ると気づかないことが多い。だから40歳以上の方には、症状がなくても年1回の眼科検診をお勧めしています。現在は20人に1人は緑内障の時代と言われています。市民講座での啓発活動も行い、緑内障予備軍の方にもパンフレットを渡して定期通院の必要性を伝えています。
スタッフ体制について教えてください。
視能訓練士が2人いるのが当院の強みです。子どもの斜視や弱視の検査は専門の視能訓練士でないとできませんし、緑内障の視野検査も高度な技術が必要。受付スタッフは5人体制で、医療未経験の方も含め人柄重視で採用しました。患者さんへの温かい対応と機敏な作業で、安心して受診できる環境を作ってくれています。スタッフが働きやすいよう人員を多めに配置し、使いやすい機器を導入するなど、ソフト面にも配慮。良い医療を提供するには、スタッフが働きやすい環境が不可欠だと考えているからです。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

目のことで何かあったら、些細なことでも気軽に来ていただきたいです。緑内障だから怖いということはありません。早期発見・早期治療すれば、生きている間に失明することは防ぐことが望める病気です。健康診断で引っかかった方はすぐに来てください。問題なければ安心できますし、治療が必要なら早めに介入できます。特に緑内障で困っている方、他の緑内障の専門医師の意見を聞きたい方の相談もお待ちしています。クリニックレベルで緑内障手術をできるところは少ないので、身近な場所で適したタイミングで適切な治療を提供できるのが当院の強み。麻生区や多摩線沿線の方々のかかりつけ眼科として、頼っていただければうれしいです。
自由診療費用の目安
自由診療とはオルソケラトロジー/月1万円程度、眼科総合検診/8800円~ ※詳細はクリニックへお問い合わせください