中尾 謙太 院長の独自取材記事
なかお三国ペインクリニック痛みの治療とリハビリテーション
(大阪市西淀川区/三国駅)
最終更新日:2025/09/08

新大阪駅から徒歩12分、交通の要所に位置する「なかお三国ペインクリニック痛みの治療とリハビリテーション」。2025年に開業した同院は、白と木目が印象的な明るい空間に、広々としたリハビリテーション室を併設する痛み治療の専門クリニックだ。中尾謙太院長は、家族のケガを目の当たりにした経験から医師を志し、学生時代にペインクリニック内科での治療にふれたことから、痛み治療の道へ。大阪医科薬科大学病院で研鑽を積み、がん性疼痛の基礎研究にも取り組んできた。「痛いなと思った時に気軽に相談できる、敷居の低い身近なクリニックになりたい」と語る中尾院長に、痛みに寄り添う診療哲学や、ペインクリニック内科とリハビリを組み合わせた治療について聞いた。
(取材日2025年8月19日)
痛みに寄り添い、多様な選択肢で治療を提供
ペインクリニック内科とはどのような診療科ですか?

ペインクリニック内科は痛みを専門とする診療科で、骨や筋肉だけでなく「痛み」そのものに着眼しているのが特徴です。腰痛、肩凝り、肩の痛み、足の痛みなど運動器疾患が多いですが、帯状疱疹も診療対象です。その他、整形外科や内科を受診しても原因がよくわからない、いわゆる原因不明の痛みも含め、とにかく痛みに関してはさまざま診るというスタンスです。年齢のせいだからと我慢している方も多いですが、適切な診断と治療、リハビリを組み合わせることで生活の質の改善も望めます。日本人は我慢強く、特にお年寄りの方は痛みに耐えるという文化的な考え方もあるかもしれません。でも我慢していると外出するのがおっくうになったり、今まで楽しくできていたことが楽しめなくなったりして、人生を楽しめなくなってしまうことにもつながります。そうならないように、痛みの改善の手助けをしたいと考えています。
医師を志したきっかけと、ペインクリニックを選んだのはなぜですか?
高校生の時、岡山県の離島に帰省した際に家族がケガをしたんです。島なので病院もなく、痛みで苦しむ姿を見て、自分が力になれる仕事に就きたいと思ったのが医師を志したきっかけです。もともと整形外科に興味があったのですが、学生時代にペインクリニック内科の診療にふれる機会がありました。その時たまたま身内が顔の痛みに苦しんでいたので、ペインクリニック内科の先生に相談したところ、ブロック注射について教えてくれ、その存在を知りました。ペインクリニック内科は痛みに着眼した診療科があることを知って興味を持ち、その後、大学院ではがん性疼痛に関する基礎研究をして、痛みのメカニズムを勉強し、より痛みの世界に興味を持っていきました。
痛みのオーダーメイド治療について教えてください。

痛みを抑えるための薬といっても、それぞれ期待される作用機序が違う薬がたくさんあります。適切に痛みを評価して、その痛みに応じた薬を処方することが重要になります。ペインクリニック内科の主力は神経ブロック注射ですが、注射が苦手という方もいらっしゃいます。そういう方にはリハビリなどの物理療法も対応しています。慢性的な痛みは単純に一つの治療だけで改善が図れるものではないので、いろんな治療を組み合わせて多方面から治療していくことが重要です。僕自身、漢方の基礎研究もしていたので、副作用を心配される高齢者や鎮痛剤に抵抗がある方には漢方薬も処方しています。
神経ブロックとリハビリの相乗効果を追求
リハビリにこだわった理由を教えてください。

開業するにあたり、ペインクリニック内科の診療だけではなく、リハビリも併せて行いたいと思っていました。理由は、たとえブロック注射で一時的に改善を図れたとしても、普段の生活や姿勢を変えなければ再発してしまいます。そのため、リハビリで再発予防に力を入れていきたいという思いがありました。ペインクリニック内科とリハビリを組み合わせることで、根本的な痛みの改善へとつなげていきたいと考えています。痛みを抱えたままリハビリするのは難しいのですが、まずは神経ブロックで痛みの改善を図りつつ、それから無理なくリハビリを行うという流れですね。現在は理学療法士、作業療法士も在籍していますが、今よりも人材を増やして、体制の充実を図りたいと考えています。
どのような患者さんが受診されていますか?
新大阪はビジネス街なので、会社帰りに来られる方が多いですね。あとは、三国駅の方になるとマンション群があるので、周辺地域の方も多いです。若い方は肩凝りや首凝り、頭痛が多いですね。肩凝りから来る頭痛でお悩みの方も結構多いです。年配の方は腰痛、膝痛、肩の痛み、帯状疱疹などが多いですね。会社帰りの方は、「痛みはあっても我慢して働いている」という方が多いです。以前、大阪医科薬科大学病院で診ていた患者さんも、来てくださっています。ペインクリニック内科は経過が長くなることが多く、慢性痛の患者さんをずっと診させていただくことが多いので、継続的な関係性も大切にしています。
痛みを我慢することの弊害について教えてください。

大学病院で緩和ケアをメインでやっていた時に、がん性疼痛の治療の重要性を感じました。痛みを我慢することは体にとっても良いことではないんです。痛みの改善を図ることで、今まで痛みで制限をかけていたことが無理なくできるようになれば、活動性も上がり、それに伴い筋肉量も増えるなどの良循環が、関わってくると思います。慢性痛もがん性疼痛とは違いますが、腰痛で歩くのも痛いから出かけないというお年寄りの方もたくさんいらっしゃいます。痛みの改善を図ることで、日常生活のクオリティーを上げられるような医療を提供したいという思いです。
地域に根差した身近なクリニック
なぜこの地域に開業されたのですか?

この場所とは、たまたまご縁があったというのが理由ですが、その中でも決め手になったのは、以前の勤務先である大阪医科薬科大学病院からもアクセスがしやすいというところです。先ほどもお話したように、慢性痛の患者さんとは長いお付き合いになるので、大学病院で診ていた患者さんにも通いやすい場所が良いなと思っていたんです。新大阪は複数路線からアクセス可能なので、地域の方にも会社帰りの方にも通いやすい環境を整えることができたと思っています。
診療で大切にしていることはありますか?
意識していることは、患者さんの痛みに寄り添うことが一番大切だと思っています。ペインクリニック内科をやっていて一番感じるのは、「痛みを理解してもらえなかった」や「身の回りの人、家族にも痛みを理解してもらえない」といったお悩みを抱えていらっしゃる方が多いことです。周りの人に「そんな大げさだ」と言われて悲しんでいる方をこれまでたくさん見てきているので、自分だけはその痛みに関して寄り添えるように理解してあげたいなと常々思っています。治すことができるのがベストではありますが、治療が難しい疾患もあるので、そんな時は、まず痛いんだねというのをきちんと、そのまま受け止めることが大事。その上で、その方の痛みに応じた治療の優先度を決めて、一人ひとりに合わせた治療を行っていくことを心がけています。
読者へのメッセージをお願いします。

当院は痛みに特化した専門的な痛みのクリニックですが、「ペインクリニック」と聞くと敷居が高いイメージを持たれている患者さんもたくさんいらっしゃると思います。でも決してそうではなく、痛いと思ったら何でも相談していただきたいというのが僕からの願いです。痛いなと思った時に何科に行ったらいいんだろうと悩まれる方も多いと思うので、痛いからとりあえずここに行って相談しようかなというふうに、敷居が高くない身近なクリニック、地域に根づいた気軽に通えるクリニックになっていけばと思っています。理学療法士も今後増やして体制を整えていきたいと思っています。痛みの治療だけでなく、再発予防にもしっかり寄り添っていきますので、まずは痛みを我慢せずに一度相談してください。