認知症かもと少しでも不安なら
早めに専門の医師の受診を
代々木駅前脳神経内科・内科クリニック
(渋谷区/代々木駅)
最終更新日:2025/06/12


- 保険診療
スーパーに来て買おうとしていたものを思い出せない……などというのは、年齢を重ねれば誰でもありがちなエピソードだ。しかし、待ち合わせが頭から抜けているだけではなく「約束したこと自体がまったく記憶にない」というときは注意してほしいと「代々木駅前脳神経内科・内科クリニック」の松村美由起院長は呼びかける。東京女子医科大学で長年にわたり認知症の治療に取り組んできた松村院長。できるだけ早期に治療を開始することは、進行を緩やかにするための新薬を使えるのみならず、「より良く生きるために欠かせません」と力を込める。超高齢社会の中、もはや国民病といっても過言ではない認知症とどう向き合っていくべきか、松村院長に詳しく話を聞いた。
(取材日2025年5月7日)
目次
「認知症だから」と人生を諦めないためにも、できるだけ早めの相談を
- Q認知症にはどのような種類がありますか?
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A
▲代々木駅から徒歩ですぐのビル3階にある
アルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症がよく知られていますが、実は100種類以上もの認知症が確認されています。違いは異常なタンパク質の塊が脳のどの部分に蓄積するか。4種類ほど併発している方が大半ですが、どの組み合わせなのかは亡くなった後に脳を解剖してみなければわかりません。したがって、進行の仕方、症状の出方も一つの認知症特有のパターンをたどることはまれです。「何年後にどうなってしまうのか」と患者さんやご家族によく聞かれますが、予測は難しいと言わざるを得ません。しかし、変化していくことは確かなので「局面ごとにどうしていくか」を一緒に考えるのが重要となります。
- Q認知症かもと思ったとき、どうするべきですか?
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A
▲認知症の治療に力を入れてきた松村院長
認知症が明らかになるのは嫌だと受診をためらう方も多いのですが、できるだけ早く医師に相談してください。なぜならば、これから先の人生について考え、どうしていきたいかを決断する時間をつくることができるからです。早期であれば、レカネマブやドナネマブなど進行を緩やかにするための新薬による治療も行えます。認知症の疑いがあるとき、記憶の検査、MRIやCTなどの脳の画像検査なども行いますが、何よりも大事なのは問診です。日々の生活の中で具体的にどんな点に困っているのかなどを掘り下げていく医師の力量が問われます。できれば、認知症を専門としている医師を選ぶと良いでしょう。
- Q認知症を発症した場合、生活も大きく変わるのでしょうか。
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A
▲駅からすぐの立地でCT検査が可能
認知症と診断されたからといって急に生活が変わるわけではありませんが、時間経過とともにできなくなることは確実に増えていきます。そんな中、いかに患者さんが望む生活を続けられるかを考えるのも認知症治療の一環です。例えば、慢性疾患の薬を飲み忘れてしまうなら、服薬カレンダーを活用する、家族や介護スタッフが声をかけるなどのプランを提案します。同時に「こんなこともできなくなってしまった」と落ち込む患者さんをケアすることも欠かせません。医療従事者からのアプローチだけではなく、同じ病気を抱える患者さん同士の交流が力になることもあります。ケアサポートなど社会的な受け皿も今後ますます重要になってくるでしょう。
- Q変わっていく自分を受け入れるのは容易ではないでしょうね。
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A
▲患者からの贈り物が飾られる待合スペース。落ち着いた空間を演出
確かに認知症はまだまだ偏見が強い疾患です。自分自身に対してさえ「認知症だから、これは無理」などと思い込みがちですが、それは違います。認知症になったからといって別人になるわけではなく、その人はその人のままです。さらに、65歳以上の3人に1人がかかるともいわれている認知症は、決して特別な病気ではありません。ということを頭で理解していても、少しずつできないことが増えていく毎日を受け入れるのはやはり難しいものです。患者さんもご家族もやっと受容できるようになったと見えて、また振り出しに戻るというケースも多々あります。しかし、進んだり戻ったりしながら、小さな希望をかなえる体験を積み重ねるのが大事です。
- Qどうしたら希望を持って生活できるのでしょうか。
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A
▲自分自身と向き合うことが大切とメッセージを送る
まずは、患者さんがご自身としっかりと向き合うことです。つらいかもしれませんが、現状を認めなければ治療を開始できません。これから先「私はこう生きていきたい」と希望を持つためには、自問自答を重ねることが重要です。「自分はどうしたいの?」「これかな?」「これは違う?」などと試行錯誤する時間を持つためにも、早めにクリニックを受診するようにしてください。もし、身近に認知症の疑いがある方がいるならば、これまでを振り返り、残りの人生で何をしたいのか、そのために今の自分はどうしたらいいのか考える余力があるうちに受診を勧めていただければと思います。