安藤 亜希 院長、安藤 俊太郎 副院長の独自取材記事
よつばこころのクリニック要町駅前
(豊島区/要町駅)
最終更新日:2025/06/06

「よつばこころのクリニック要町駅前」は、要町駅・A4出口の目の前に位置し、心療内科や精神科の領域において、子どもから大人まで幅広く診療にあたっている。安藤亜希院長は、これまでの小児科医として従事していた経験と、専門機関で子どもの発達障害について対応してきた経験をもとに、同院での診療にあたる。一方、中学生以降と成人の診療を担当する安藤俊太郎副院長は、精神科の救急医療に従事した経験および総合商社の社内診療所で10年以上勤務してきた経験を生かしながら対応にあたっている。「優しく温かいがモットーです」と朗らかな笑顔で話す亜希院長と俊太郎副院長に、クリニックの特徴やこれからの展望について聞いた。
(取材日2025年5月9日)
小児から大人まで「途切れない医療」を提供したい
開業のきっかけについてお聞かせください。

【亜希院長】私はもともと小児科医として診療する中で、発達障害の診療を専門に行うようになりました。病気と診断されるほどではなくても、発達の特性によって子育てに悩むご家庭と向き合い、次第に「医療だけでなく、その子の生活全体を支えたい」と強く思うようになりました。その考えが深まり、もっと身近な場所で寄り添える場としてクリニックを開業したいと思ったのがきっかけです。
【俊太郎副院長】開業の背景には「本当の意味で役に立つ精神医療を実践したい」という想いがありました。その中でも大切にしたのが、受診のしやすさ。大きな医療機関はどうしても初診のハードルが高く、「今すぐ相談したい」という方が受診するのは難しい面があると思います。医療は、困っている時にすぐ相談できることが何よりも重要です。だからこそ、地域に根差し、気軽に相談できるようなクリニックをつくりたいと考えました。
クリニック名の由来を教えてください。
【亜希院長】四つ葉のクローバーは、見た目のかわいらしさももちろんありますが、意味の面でもとても惹かれるものがあったんです。四つ葉は踏まれやすい所に生えていることが多いそうです。また、もともと葉は3つなのが何らかの原因で葉が4つになるという少し特殊な形なんですが、幸せの象徴として親しまれていますよね。人は生きていく上で、困難なことに遭遇し、障害にぶつかることもあると思います。でも人とは違う性質や困難な経験も、いつかご自身の幸せの象徴や過程だと感じられる日が来るはず、そう思えるようなお手伝いができたら良いなという思いを込めて、このクリニック名とマークを選びました。
クリニックの特徴を教えてください。

【亜希院長】当院ではお子さんから大人の方まで年齢を問わず、それぞれの世代に応じた専門的な診療を提供できるよう体制を整えました。私が日本小児科学会小児科専門医として幼児から小学生までを、俊太郎副院長が大人の精神科診療を担当しています。もともと、年齢によるケアの断絶をなくしたいという想いがありました。子どもの診療と大人の診療が分断されていることが多く、特に思春期や青年期になると、支援の手が途切れてしまうケースを多く見てきました。一貫して寄り添える支援が必要だと感じています。だからこそ、当院では切れ目のない支援ができるよう、年齢に関係なく、ずっと寄り添い続けられる医療の提供をめざしています。
多職種連携によるきめ細かなサポートをめざす
多職種チームでのサポートも行っていると聞きました。

【俊太郎副院長】はい。特に若い方々の中には医師の診察だけでなく、日々の生活に関する悩みや不安にも支援が必要なケースが多くあります。そのため当院では、医師だけでなく、精神保健福祉士や、カウンセリングなどを担当する公認心理師などが在籍しています。お子さんの生活や発達全体を多角的に支援したいという想いから取り組んでいます。
他職種チームでは、具体的にどのようなことが可能なのでしょうか?
【俊太郎副院長】公認心理師には発達の特性を踏まえた心理支援やカウンセリングが可能です。例えば、ADHDのお子さんの行動面での課題について一緒に考えたり、不安が強いお子さんのコミュニケーションスキル向上をめざしたり、不安そのものへの対処法を一緒に探ったりします。精神保健福祉士は、特に中高生以降のお子さんの進路について、さまざまな福祉サービスの情報を提案したり、相談に乗ったりしています。高校の選び方、卒業後の就労支援や就労移行支援などの情報提供、必要に応じて訪問看護などの在宅サービスのご案内も行っています。引きこもりがちでなかなか来院が難しいお子さんのご家庭に訪問することも可能です。多職種の専門性を生かしながら、「かゆいところに手が届く」体制を整えています。
診療時にはどのようなことを意識されていますか?

【亜希院長】特に心がけているのは、お子さん本人が安心して過ごせる環境を整えること、そして安心して話せるようなコミュニケーションを取ることです。お子さんがリラックスしていて安心していると、親御さんも自然と心を開いてくださることが多いですし、またその逆もいえます。親御さんが穏やかな表情であれば、お子さんも安心できると思います。これまで診察室になかなか入って来られないお子さんも見てきたので、受診するというハードルを少しでも下げたいですね。
【俊太郎副院長】最も大切にしているのは、優しく温かい気持ちで患者さんに接することです。患者さんは不安を抱えているからこそ、できる限り優しい言葉遣いを心がけ、温かい気持ちで寄り添いたいと思っています。これは私だけではなく、スタッフ全員も同じです。患者さんが本当に安心できる、理想の精神医療を提供できるクリニックをめざしています。
俊太郎先生は、総合商社の社内診療所で多くの経験を積まれたとか。
【俊太郎副院長】以前は某総合商社の社内診療所で、社員の方々のメンタルヘルスに関わってきました。その中で大切にしたのは、こちらの考えを一方的に押しつけるのではなく、その方の気持ちやペースに合わせて、一緒に考えていくことです。その方の状況を理解し、現実的な改善方法でなければ、かえってその方を追い詰めてしまうことになりかねません。実際には時短勤務が難しい部署にいる方に対し「時短勤務が必要」としてしまうと、逆にその方の立場が苦しくなってしまう可能性もあります。そういったことが起きないように、必要があれば上司の方と話し合ってその方の業務量を調整するなど、無理のない形で働き方を見直せる提案を心がけていました。
「優しく温かい」をクリニック全体で
診療室にお子さん用のスペースを設けているそうですね。

【亜希院長】診察の際、お子さんの苦手なことや困っていることを、どうしても親御さんに伺うことが多くなります。どんなに小さなお子さんでも、自分のネガティブなことについて話をされている、というのはちゃんと理解しているんですよね。そこで、親御さんの姿は見えているけれど、お子さんにはあまり聞こえないような場所をつくりたいと考えました。診察室からドア越しにガラスが入っていて、様子が見えるようになっている小さな部屋を1つ用意しました。少しでも安心して過ごせるようにかわいい壁紙にして、クッションや絵本、おもちゃなどを置いて、待っていてもらえるようにしました。重度の自閉症のお子さんは、むしろ少し狭い空間のほうが落ち着けることもあるようです。
今後の展望を教えてください。
【亜希院長】療育、心理支援の面で、それぞれの個性に合わせてカウンセリングを行っているんですが、例えば、グループでの療育やグループワークのような形や、親御さん向けのペアレントトレーニングなども提供できたら良いなと考えています。また、ご家庭でも学校でもない、第3の居場所として、このクリニックがお子さんやご家族にとって安心して過ごせる場所になればと思っています。不登校のお子さんが少しでも気持ちを楽にして通えるような、そんな居場所づくりもできたらと考えています。
最後に、読者へのメッセージをお願いします。

【亜希院長】もしかしたら、「何か診断名をつけられて、レッテルを貼られてしまうのではないか」と不安を感じる方もいるかもしれません。私たちはそのお子さん自身の個性、得意なことや苦手なことも含めて、その子全体を理解するお手伝いができればと思っています。また、お子さんだけでなく、認知症の方、仕事を頑張るお父さんやお母さん、成人の方の不安やうつといった症状にも対応しています。「優しく温かい」を第一に考えていますので、お気軽に来ていただければと思っています。