両林 龍太朗 院長、両林 美保里 副院長の独自取材記事
篠栗北クリニック 内科・糖尿病内科・精神科
(糟屋郡篠栗町/篠栗駅)
最終更新日:2025/07/10

「篠栗北クリニック 内科・糖尿病内科・精神科」は、2025年4月、篠栗町に開院した。糖尿病を中心とした生活習慣病と、風邪や腹痛など一般内科を診療する両林(りょうりん)龍太朗院長、精神科医師として心のケアを担う両林美保里(みほり)副院長が診療を行う。会った瞬間、こちらの心がほどけていくような気さくな笑顔と誠実な受け答えが印象的な2人。糖尿病内科と精神科の連携によって、患者の体と心の両面をサポートしながら、かかりつけ医として地域医療への貢献をめざす。「糖尿病と精神的な疾患は実は関連が深く、両方に対応できるのが当院の強みです。地域に根差し、幸せな健康寿命を延ばすお手伝いをしていきたい」と話す2人に、診療の特徴や今後の展望を聞いた。
(取材日2025年6月11日)
糖尿病内科と精神科が連携し、心と体の両面をサポート
糖尿病内科と精神科の2つを診療するクリニックは、なかなか珍しいと思うのですが。

【龍太朗院長】そうですね。当院は私が日本糖尿病学会糖尿病専門医で、糖尿病を中心とした生活習慣病の検査・治療・管理に注力し、また一般的な内科診療も行っています。副院長の妻は精神科医で、心の悩みやうつ病、不安障害などの精神疾患、認知症などに対応しており、一つのクリニックで心と体の両面からアプローチできるのが大きな特徴です。篠栗町周辺は糖尿病専門医や精神科クリニックが少ないので、私たちの専門性を生かした診療で地域のお役に立てればと開院を決めました。国民医療の課題となっている高齢者の糖尿病についても、積極的にサポートしていきたいと考えています。
心と体のトータルケアをめざすというわけですね。
【龍太朗院長】もちろん、内科・糖尿病内科または精神科のどちらか一方を受診される方もたくさんいらっしゃいますが、予想以上に、両方の診療科で診る患者さんが多い印象です。実は生活習慣病と精神疾患は関連が深いと言われていることをご存じでしょうか。心の悩みから生活が乱れたり、精神科の治療の影響で食欲や体重が増えたり、また長く付き合う疾患である糖尿病の治療がストレスとなって心のバランスを崩す方もいます。例えば、精神科へ相談にいらした方に生活習慣病が見つかったり、糖尿病治療中の方に認知症の診断をしたりするようなケースが考えられます。ご家族に認知症の疑いがある場合、主な受診先の一つは精神科ですが、心理的なハードルが高く連れていけないと悩んでいる方も多いです。当院ができたことで、受診のハードルが少しでも下がったらうれしいです。
龍太朗院長の開院までのキャリアについて聞かせてください。

【龍太朗院長】生まれは福井県の漁師町で、父はいわゆる昔ながらの町医者です。地域に根づいた父の姿に憧れを抱きながら育ちました。大学から福岡に来て、2015年卒業後は福岡大学病院内分泌・糖尿病内科の医局に入り、関連病院で研鑽を重ねてきました。直近では貝塚病院という総合病院で3年間、糖尿病専門の外来を担当していました。糖尿病は基幹病院や他科との連携が必要不可欠な疾患なので、これまで培った経験を生かしてより良い医療が提供できるよう、福岡に腰を据える決心をしました。
精神科の美保里副院長のご出身は熊本だとか。
【美保里副院長】はい、そして院長と同じく福岡大学医学部卒です。福岡市立こども病院の小児科で3年間研修していたときに児童精神科に興味を持つようになり、九州大学病院精神神経科に入局。子どもだけでなく幅広い精神疾患の診療に携わり、現在は精神保健指定医の資格取得に向けてさらに修練を積んでいるところです。そういう事情で今のところ当院での精神科診療は週1回だけなのですが、今後増やしていくつもりです。現在は大人の方の心の悩みや精神疾患、認知症などの検査・診断・治療を行っており、将来的に体制が整ったら児童精神科診療にも取り組んでいきたいと考えています。
【龍太朗院長】副院長は責任感が強く真面目。穏やかで、患者さん一人ひとりに一生懸命です。診療の幅を広げるために今もすごく努力していて、同じ医師として尊敬しかありません。
糖尿病専門医が一人ひとりに合った治療を提案
血糖値が上昇する糖尿病は体にどのような影響が出るのでしょうか?

【龍太朗院長】自覚症状がないことが多いのですが、放っておくと動脈硬化が進行し、壊疽や感染症、神経障害などを来し生活の質が落ち、生命を脅かすことがあります。本人が気づいていない、いわゆる隠れ糖尿病も含めると、成人の5人に1人は罹患していると言われるくらい身近な病気です。若くても生活の乱れから糖尿病になる人もいれば、遺伝でどうしても体質的になりやすい人もいます。また加齢とともに糖尿病になりやすくなることが知られています。幸せな健康寿命を延ばすためには早期発見・早期治療がポイント。適切な治療を受ければ、健康な人と変わらない寿命を生きることがめざせると私は考えます。放置が一番良くありません。少しでも気になる方は一度、検査されることを強くお勧めします。
糖尿病専門医としてどのような診療を心がけていますか?
【龍太朗院長】常に新しい知見を持ち、血糖値を下げるだけでなく、臓器保護まで考えたより良い選択ができるよう心がけています。糖尿病治療薬には今すでに約10種類以上の薬がありますし、新薬もどんどん登場しています。それぞれの患者さんにより適切な薬剤を選択することは、私が特に大事にしているところ。糖尿病の治療は単純ではなく、血糖値の程度も合併症の進行レベルも、ライフスタイルもストレスの度合いもまったく違います。一人ひとりに合わせて、目の前の目標を一つずつクリアしていけるよう寄り添い勇気づけながら、長くサポートしていければと思います。治療の選択肢をご提案できる引き出しは多く持っているつもりです。
精神科ではどのような症状に対応されていますか?

【美保里副院長】気分が落ち込むとき、不安な気分が続いているとき、また、腹痛や下痢などの症状があるのに病院でどこも悪くないと言われたときなど、どうぞお気軽にご相談ください。高齢になると、糖尿病などの生活習慣病と認知症を同時に抱えている方も多いです。認知症の周辺症状の管理を精神科でできればご家族は安心でしょうし、血糖値が管理しやすくなることも見込めます。並行して治療を進めていきましょう。当院の精神科の診察室は内科・糖尿病内科とは少し離れており、人目が気になる方はパーティション内でお待ちいただくこともできます。もちろん共用の待合室を使われても構いません。精神科受診ご希望の方はまずはお電話ください。
何でも相談できる、地域のかかりつけ医をめざして
こちらではどのような検査ができるのでしょうか?

【龍太朗院長】糖尿病の診断と治療目標になる血糖値・ヘモグロビンA1c、また糖尿病の合併症として多い腎臓病の評価ができる尿糖・尿たんぱくの検査を院内で迅速に行うことができます。血管年齢の測定も可能で、糖尿病関連はその日中に検査から説明までできる体制を整えています。
【美保里副院長】うつ病患者さんの中には甲状腺機能の低下が見られるケースが多いため、当院では臨床検査技師による首・甲状腺のエコー検査も行っています。より専門性の高い診療が実現できるよう、今後は公認心理師や管理栄養士などの採用を進め、さらにできることを増やしていく予定です。
お忙しい毎日だと思いますが、お休みの日はどう過ごされていますか?
【龍太朗院長】6歳と3歳の子どもと一緒に公園に行って、家族でドッジボールなんかして遊ぶことが多いです。上の男の子はこの春小学校に入学、下の女の子はスイミングを習い始め、私はクリニックを開院したのでみんな同じ1年生です。共働きなので何かとバタバタしていますが、妻と工夫して協力しながら子育ても楽しんでいます。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

【龍太朗院長】私は開業医としては若い方だと思いますが、この篠栗町で根を張り、この先30年40年と長いお付き合いをしていきたい、健康寿命を延ばすお手伝いをしたいと心に決めています。生活習慣病と心の病気の専門診療はもちろん、一般的な内科診療にもしっかり取り組み、困ったときに何でも相談できる「町のお医者さん」をめざし精進してまいります。笑顔が良くて気遣いのある自慢のスタッフたちにもぜひ会いに来てください。
【美保里副院長】院長はいつも笑顔で優しく、少しおちゃめ。常に人に寄り添うことを考えているドクターです。良い意味で貫禄がないので話しやすいと思います(笑)。お気軽にお越しください。