齊藤 さや子 院長の独自取材記事
かわつレディースクリニック
(松江市/松江駅)
最終更新日:2025/03/10

2025年2月5日、松江市西川津町に新たに「かわつレディースクリニック」が開院。周辺には大学や高校、住宅街があり、スーパーやドラックストア、郵便局などが並ぶ生活道路沿いにある一方で、市街地を縦断する「松江だんだん道路」の川津インターからも近く、市内外からも通いやすい立地だ。にこやかに出迎えてくれた齊藤さや子院長は、複数の病院やクリニックでの勤務を経て、「一人ひとりに合った治療を丁寧に提案することで、地元である松江の医療に貢献したい」という思いから同院を開業したという。めざしているのは、女性に寄り添う婦人科の医師として、悩みがあれば気軽に相談できるような身近なかかりつけ医。地域に根を張り、末永く患者を支えたいと意気込む齊藤院長に、診療に向けた思いについて聞いた。
(取材日2025年1月30日/情報更新日2025年3月3日)
経験を生かし落ち着いた環境で幅広い診療を提供したい
齊藤院長の今までのご経歴を教えてください。

私は鳥取大学医学部卒業後、同学の大学院を経て、鳥取大学医学部附属病院をはじめ、さまざまな病院やクリニックの産科・婦人科で勤務しました。また、大学院では子宮内膜症の研究を、さらに神戸百年記念病院の和漢診療科などで漢方医学や栄養に関する知識を学び、女性が抱える悩みに対応するために幅広く経験を積んできました。同じ症状に悩まれているように見えても、実は根本にある原因は異なることも多いのです。ですので、クリニックでは「こういう症状にはこの薬を……」といった画一的な治療ではなく、生活習慣を見直したり漢方を用いて体質改善を図ったりと、一人ひとりに合った治療の提案をしたいと考えています。西川津町は人や車の往来が多く、市街地や周辺エリアからも好アクセスで便利な場所です。クリニックも多いですが、婦人科に特化したところは少なかったので、開院のご報告をした際には近隣の先生方や地域住民の方にも喜んでいただけました。
院内はおしゃれで温かみがありますね。こだわりについて伺いたいです。
内装はホワイトやブラウンを基調に木材を取り入れ、扉や入り口をアーチ状にするなど、女性の患者さんの視点に立って、やわらかくおしゃれなデザインをめざしました。ロゴマークも気に入っています。産婦人科だと妊婦さんや赤ちゃんをモチーフにしたデザインが多いのですが、さまざまなお悩みを持つ幅広い年齢層の患者さんを診ていくために「女性が元気にすてきになれるように」という思いを込めて作りました。こだわりとしては、プライバシーに配慮して診察室や検査室は完全個室に。また、私が女性医師というメリットを生かして、内診台にはあえてカーテンをつけていません。医師の姿が見えないと「次に何をされるのか」という恐怖心を抱かれる患者さんもいらっしゃいますし、一緒のモニターを見てご説明できるので理解しやすくなると考えています。
こちらのクリニックでは、どんなお悩みを相談できますか?

月経や妊娠関連のこと、外陰部やおりものに関するトラブル、更年期障害、各種検査、ワクチン接種など、婦人科全般の診察が可能です。お産の受け入れはできませんが、妊婦健診には対応しています。エコーで赤ちゃんの顔を見ることができるのはうれしいですね。当院から分娩できる病院をご紹介するということも可能ですよ。病院の勤務医時代には難症例の患者さんも多く診てきましたが、当院では「一つの領域に特化した専門クリニック」といったジャンルは決めていません。女性の体は、年齢やライフステージの変化によって、月経や妊娠、更年期障害などさまざまなお悩みが出てくると思いますので、身近なかかりつけ医として、婦人科に関わるお悩みは何でも気軽に相談できる存在になりたいと思っています。
笑顔で患者を迎え、ポジティブな言葉をかける
これからクリニックをどのような場所にしていきたいですか?

そうですね。アットホームで、皆さんにとって身近な存在でありたいと思っています。「こんなこと相談して良いのかな」と受診を迷うかもしれませんが、どんな些細なお悩みでも遠慮はいりません。一人で悩むより誰かに話すことで、案外簡単に解決方法が見つかることもありますので、母親・姉・友人などの身近な人に相談するような気持ちで、まずは気軽にお越しいただきたいですね。看護師や受付などのスタッフも、優しくて前向きになれるような声かけをしてくれる人が集まっています。地域の皆さんが、ここへ来て少しでも元気になって帰っていただける場所でありたいですね。頼りになるスタッフとともに、私も楽しく元気に働きたいと思っています。
診察で心がけていらっしゃるのはどんなことですか?
まずは患者さんに優しく接することです。患者さんは痛みや不安を抱えていらっしゃるので、そんな時に事務的で冷たい対応をされたら、心折れてしまいますよね。傷つけないように笑顔でポジティブな言葉をかけるようにしています。また、慣れない婦人科の受診で緊張される方もいると思いますので、例えば内診では「今から機械が入るから、ちょっと冷たいかも」など、こまやかに声をかけながら診察を進めます。問診では、根本的な原因を探るために、日頃の生活についてもヒアリングすることを心がけています。患者さんが抱える症状や悩みとその原因には、その方の健康状態や生活環境と複雑に絡み合っているケースが多いからです。一見関係なさそうなことを伺うこともあるかと思いますが、お付き合いいただけたらうれしいです。
女性特有の不調に、どのように対応されていますか?

例えば「手足が冷える」「気分がいらいらする」など、薬を飲むほどではなくてもつらいと感じるお悩みにも対応していきたいと考えています。そうしたお悩みには漢方医学を用いたケアを試みる場合もあります。漢方医学は、病名のつかない、いわゆる「未病」段階のアプローチも重要視しています。生活習慣の改善も有用な手段で、例えば月経不順は食生活に影響されることがあります。月経を促すためホルモン剤を投与したとしても、それでは根本的な解決にならないので、「ちゃんと朝ごはん食べてる?」といったコミュニケーションを取っていくことで、適切な食事を取っていただくようにアドバイスをしています。また、無自覚でも強いストレスがあると、栄養素がうまく吸収できないことも。肝臓に負担がかかり、解毒できなくて代謝が落ち、そこから冷えや便秘に……と負のサイクルを引き起こすこともあります。適切な対処法を一緒に探していきたいと考えています。
婦人科領域を探求し続け、患者のためにアップデート
先生が医師をめざし、婦人科をご専門にされたのはなぜですか?

私は昔から月経痛がひどく、毎月苦しんできました。その後、月経関連頭痛も起こるように。そのたびに「なぜこんなに痛いんだろう」「どうやったら治るのか」と考えてきました。そうした経験から、身近な疾患を診るかかりつけ医になりたいと思ったのです。医学部へ進学して専門を選ぶ際は、内科か婦人科で迷いましたが、最終的に婦人科の道へ進んだ理由は、自分自身が悩んできたこと、今後の人生で直面する悩みにつながる医療だと感じたから。実際、月経痛に悩んだ過去や、妊娠出産の経験があるおかげで、患者さんに対するより深い理解や共感につながっていると感じますね。あとは、婦人科として主に扱う臓器は卵巣と子宮ですが、症状は頭から足先まで全身に現れることがあり、興味を持ちました。大学病院時代は、外来の患者さんを内科的に診察し、開腹手術で外科的に答えを知るという貴重な経験も積みました。
読者へ伝えたい情報などはございますか?
例えば、受験など大切な日に向けて、月経に関するご相談で受診される患者さんには「直前ではなく早めに一度ご相談に来てほしい」と伝えたいです。ピルなどのホルモン剤は、体質的に使えない方がおられるほか、副作用の心配も。直前から飲み始めて、受験当日に体調を崩してしまうといったことを避けるために、保護者の方にも知っておいていただきたい情報ですね。不調の原因が貧血であるケースも。経血量が多い方は、一度貧血の検査を受けることをお勧めします。
最後にメッセージをお願いします。

月経不順、手足の冷え、ホットフラッシュなど、出ている症状が同じでも、根本原因は一人ひとり違うことも。それは遺伝の関係、ストレス、睡眠不足、運動不足、あるいは栄養状態が原因かもしれません。当院は、一人ひとり丁寧に診察をするためにも、予約制を基本にしています。電話のほか、ウェブでの予約も受け入れていますので、気軽にご利用いただけたらうれしいです。