木村 一紀 院長の独自取材記事
さくらの木ファミリークリニック
(広島市西区/福島町駅)
最終更新日:2026/10/22
福島町駅から徒歩7分の「さくらの木ファミリークリニック」には、その名のとおり子どもから高齢者まで幅広い年齢層の患者が訪れている。院長を務める木村一紀先生は航空自衛官として勤務後、予備校教師をしながら受験勉強をして鳥取大学医学部へ学士編入合格をしたという経歴の持ち主。卒業後は総合診療を専門に内科、小児科、心療内科、救急医療、在宅医療など多彩な臨床医学に携わった。2024年に開業した同院では総合診療を専門とする医師として内科、小児科を標榜し、アレルギー治療など幅広い診療にも注力している。「地域を支える」という強い想いを胸に、日々プライマリケアを実践しているという木村院長に、同院の取り組みなどについて詳しく話を聞いた。
(取材日2026年2月13日)
さまざまな経験を経て「地域医療で地域貢献」の道へ
医師になるまでの経緯を教えてください。

幼少期から科学や医学に興味はありましたが、家庭の事情などもあり、高校卒業後は学びながら手当が給付される防衛大学校へ進学。卒業後は航空自衛官として勤務していました。23歳で退官し予備校講師をしていましたが、友人の大学編入合格を機に一念発起し、28歳で鳥取大学医学部に合格しました。
総合診療を専門に選ばれたのはなぜですか?
家族・親戚など周囲に医療関係者がおらず、医療の現場についてはとにかく素人でした。研修医の時に「臓器を診るのではなくて、人間を診たい」「ドクターとして幅広くやりたい」という想いが強くなり、広島大学病院の総合内科・総合診療科に入局しました。「先生の経験を生かすなら、プライマリケアを担う医師が向いている」と先輩医師から背中を押してもらったことが大きな励みとなりました。今もその想いは変わりません。
さまざまな経験を経て開業されたそうですね。

総合診療専門の医師として救急、小児、在宅、心療、へき地、災害医療など、さまざまな現場で子どもから高齢者までを診る経験を積んできました。経験を重ねるうちに、自分がやりたいのはクリニックで地域の方々と深く関わることだと確信し、2024年に開業に踏みきりました。この場所を選んだのは、大学時代になじみのある土地だったことと、「クリニックが必要」という近隣住民の声があり、そのニーズに応えられることにやりがいがあると感じたからです。ホームページには「プライマリ・ケア」「包括的で全身的な医療」「地域医療をベースに」など数多くの言葉が並んでいますが、根底にあるのは「地域医療で地域貢献」という方針です。0歳から100歳以上の方まで、どんな症状でも「まずは診る」という覚悟を持って日々の診療にあたっています。
包括的医療で患者のニーズに応える
診療ではどのようなことを心がけていますか?

当院は内科・小児科をベースとした総合診療クリニックですので、一般的な発熱、風邪症状といった日常的な不調を、一人ずつ丁寧に診察することを何よりも大切にしています。成人の方にあたっては、健診で異常項目が指摘された部分の精査と治療、生活習慣病の定期診療、近年相談が増えている喘息の治療や指導なども行っています。総合診療に従事する医師として、循環器、呼吸器、消化器、内分泌疾患など幅広く診察しますが、患者さんのライフスタイルも考慮して内服薬のタイミングなども相談して処方します。
小児科の診察で特に注力されている部分があれば教えてください。
総合診療専門の医師としての幅広さを生かし、近年ニーズが高まっている不登校や発達障害といった「子どもの心の悩み」に応える窓口として、小児心療内科の相談に対応する外来も開設しました。放課後デイサービスや訪問看護など、行政や民間の支援制度も広がっていますが、「どこに相談すればいいのかわからない」と悩むご家族は少なくありません。私たちは安心できる「橋渡し役」として、病気や悩みを家庭内だけで抱え込まず、社会全体で子どもたちを支えていけるような医療をめざしています。
アレルギー疾患の診断と治療にも非常に力を入れているそうですね。

はい、子どものアトピー性皮膚炎や気管支喘息などのアレルギー診断・治療に力を入れています。これまでアレルギーは要因が不透明な部分も多く、時に間違った民間療法がまん延して症状を悪化させてしまうケースが見られました。しかし現代の医療界では、正しいエビデンスに基づいた新しい治療法が次々と誕生しています。だからこそ、私自身が常に最新の知見を学び続け、ご家族に正しい情報と治療の選択肢をわかりやすくお伝えすることが医師の務めだと考えています。当院では、指先から採るわずか1滴の血液で、受診当日の30分以内に結果がわかるアレルギー検査機器を導入しています。注射を怖がる小さなお子さんでも最小限の負担で適切な診断を行うことができ、それぞれの症状やライフスタイルに合わせて、内服、吸入、外用、点滴、注射など多角的なアプローチから適切な治療プランをご提案しています。
0歳から100歳以上まで真のプライマリケア医療を
迅速な診断のための先進的な設備も整えられているのですね。

はい。患者さんの負担軽減と安心感につながるよう、先進の検査機器を厳選して導入しています。例えば、咽頭画像と問診情報をAI(人工知能)で解析してインフルエンザの兆候を捉える機器や、血液検査ではCRPなどの炎症反応の結果がわずか3分で判明する院内検査機器などをそろえています。また、重症の方や乳幼児の発熱患者の方を対象として、最短20分程度で感染症の診断が可能なPCR機器も導入しました。これらにより、大きな病院への紹介や入院の要・不要、今すぐ必要な対処法がその場でお伝えできるため、少しでも早くご家族の不安を解消するための一助となっています。
日々の診療で最も大事にしていることは何ですか?
形式的な問診や検査だけで終わらせるのではなく、主訴の裏にある患者さんの不安や心配、本音を引き出して、本当のニーズを解消していく医療です。これは私自身が10年近い社会人経験を経て、受診する側の立場や気持ちを経験したからこそ強く思うことです。「実は本当に心配していること」を医師が聞き出すことができれば、それが確かな信頼関係のベースになります。そこには自衛隊で学んだリーダーシップも生きていると感じています。また、ファミリークリニックの特性上、お子さん、親御さん、ご祖父さま・ご祖母さまと世代を超えて受診してくださる連鎖が生まれやすい環境です。将来的にクリニックがさらに成長した際には、通院が困難になった高齢者の方々の受け皿となる在宅医療や、予防医学にもさらに力を入れていきたいと考えています。
最後に今後の目標と、地域の方々へのメッセージをお願いします。

私は、生まれてから亡くなるまでのライフステージすべてに関わる総合診療の専門家です。困った時の相談役、いわば医療のコンシェルジュだと思っています。「どこに行ったら良いかわからない」と、やけどやケガの相談に来られる方もおられます。頼りにされている証拠であり、非常にやりがいを感じます。専門外のことであっても、必要に応じて適切な専門医師へおつなぎできる体制を常に整えています。目標は、この福島町で長く診療を続け、地域の方々の生活の一部、なくてはならない歯車のような存在になることです。これからも皆さまと深い信頼関係を築いていくため日々努力を重ねてまいります。

