鈴木 隆介 院長の独自取材記事
西新井すずき整形外科・リハビリクリニック
(足立区/西新井駅)
最終更新日:2025/03/14

大学病院や基幹病院で約15年間にわたり整形外科診療に携わった鈴木隆介院長が、2025年1月に開業した「西新井すずき整形外科・リハビリクリニック」。スポーツによる打撲や骨折などの外傷、肩凝りや腰痛といった日常的な不調、慢性的な関節痛などさまざまな悩みに対応する地域のかかりつけ医だ。そのほかにもリウマチ、痛風、先天性疾患、さらには鈴木院長が長年研究に携わってきた骨粗しょう症の治療など専門的な診療も提供。自身も2児の父で、「けがをしたときはもちろん、側湾症や低身長症などに悩む方も頼ってほしいです」と小児の治療にも力を注ぐ。そんな、終始穏やかな笑顔が印象的だった鈴木院長に、同院の特徴や診療方針を聞いた。
(取材日2025年2月13日)
かかりつけ医として外傷や慢性的な痛みなどに広く対応
このエリアは先生にとってなじみ深い場所だそうですが、どんな患者さんがいらっしゃいますか?

私は足立区で生まれ育ち、この辺りに祖父母の家もあったので、とても愛着があります。自分が培った経験を地元に還元したいという思いで、ここを開業場所に選びました。当院は整形外科を中心に、お子さんから高齢者の方まで、お悩みに幅広く対応しています。さらに加齢に伴う変形性の骨や関節の疾患、リウマチ、痛風、先天性疾患などの診療も可能です。リハビリテーション科も標榜しているので、けがをした方や腰痛や肩関節周囲炎などによる慢性的な痛みに悩む方をはじめ、さまざまな患者さんが通っていっらしゃいます。リハビリテーション室は十分なスペースを取り、淡いピンクをメインにして温かみの感じられる空間にしました。けん引療法や電気療法に使用する機器もそろっており、全身のリハビリテーションに対応できます。
骨粗しょう症の治療にも力を入れていらっしゃると聞きました。
大学病院在籍中に骨粗しょう症の研究を行った経験がありますので、それを生かした診断と治療を行います。骨粗しょう症は高齢者に限らず、閉経などで女性ホルモンのバランスが崩れ始めた50代以降の女性にも増える傾向があります。女性ホルモンには骨が壊れるのを抑えてくれる働きがあるといわれており、その分泌が減ることで骨がもろくなってしまうことが原因ともいえます。若い頃に過度なダイエットをしたことがある方も、骨粗しょう症になりやすいです。寝たきりの生活や運動機能低下を予防するためには早期診断、予防、治療が非常に重要です。当院では精密な骨密度装置を導入しており、即日検査が可能です。患者さんの年齢や体型、過去の骨折の経験の有無などを聞いた上で骨粗しょう症の可能性があるかを見極め、必要な検査をご提案します。その結果に応じて、薬物療法や食事・運動などの生活習慣の改善などに取り組んでいきます。
骨粗しょう症を専門的に研究した経験は、どのように生かされていると感じますか?

検査結果の分析を含めた診断でしょうか。骨密度の低下以外にも、骨がもろくなる要因があります。例えば糖尿病や動脈硬化などの生活習慣病です。骨はカルシウムのイメージが強いですが、実は体積の半分ぐらいはタンパク質で構成されています。糖尿病の人はタンパク質が劣化してしまう可能性があるため、骨粗しょう症のリスクが高まります。そういったリスクは骨密度測定だけではわからないので、これまでの経験が生かされると感じています。
小児の側湾症や低身長症など専門的な診療にも対応
お子さんの治療にも積極的に取り組んでいるそうですね。

外傷のケアだけでなく、側湾症や低身長症治療など専門的な治療も行っています。側湾症は学校健診で指摘されるケースもありますが、お子さんも保護者の方も気づかないうちに悪化する可能性があるので注意が必要です。対処せず放置していると、成長に伴う腰痛や足のしびれなどの原因になりかねませんので、気になる症状があれば気軽に相談していただきたいです。エックス線検査で骨がどのくらいの角度で曲がっているか確認したり、お子さんの成長線を見て今後どのくらい曲がる可能性があるかを予見したりしながら適切な判断を行います。まれに手術が必要になるケースもありますが、その場合も当院では大学病院の紹介が可能です。
お子さんの外傷は何科に行くべきか迷うこともあると思います。
けがをしたら、正しい診断と処置が重要です。捻挫した足首を適切に固定しないことでなかなか痛みや腫れが引かなかったり、変形性足関節症になったりということもあるでしょう。突き指だと思っていたら実は骨折していて、放置してした結果、偽関節状態になってしまうケースも。正しい診断のためにはエックス線検査による確認が重要ですが、普段からエックス線検査に慣れているという点は整形外科医としての強みかもしれませんね。当院では小児の低身長症治療も行っていますが、血液検査で成長ホルモンの分泌量を測定するだけでなく、エックス線で骨の状態を見て、医療が介入すべきかどうか見極めることも必要です。低身長症ではなく、成長が遅れているだけという場合もありますから。そういった診断もできますので、ぜひ気軽に整形外科の医師を頼っていただきたいです。
診療方針を聞かせていただけますか?

状態が悪くなってしまった患者さんをサポートするのはもちろんですが、そうなる前の予防医療も重視しています。骨折が原因で車いす生活になってしまうこともありますが、それを防ぐために早めに骨密度を測って、骨粗しょう症治療を始める、痛みが慢性化する前にリハビリテーションをする、生活の質が落ちる前に介入することが大切だと思っています。予防のためには1回来院して終わりではなく、長く通ってもらえるクリニックでなければなりません。そのためには、アクセスの良さだけでなく雰囲気も大切です。気持ち良く過ごしていただけるよう、スタッフ一同、笑顔で患者さんに接するように心がけています。お子さんと接する時も、着ているシャツに電車が描かれてあったら電車の話をするなど、できるだけ不安を払拭できるようにしています。私にも子どもがいるので、お子さんが好きそうなキャラクターの話もできますよ。
研究・臨床の経験を生かしながら地域に貢献したい
先生はなぜ整形外科の医師をめざしたのでしょうか。

私は幼い頃に小児喘息を患っていたのですが、ずっと診療してくれた医師を見て「自分も誰かに貢献したい」と思ったことが医師をめざす原動力になりました。整形外科を選んだのは、患者さんが笑顔を見せて帰っていく姿を見ることができる、やりがいを感じられる科だと思ったからです。当時お世話になった整形外科がとても和やかな雰囲気で、先輩方も魅力的な人ばかりで、そういう医師になりたいと思ったのも、整形外科を選んだ理由の一つかもしれません。過去にひどい骨折をした患者さんの手術を含めた治療を担当した時にすごく感謝されたのも思い出深いですね。骨折だけでなく骨粗しょう症の治療も行うことで、患者さんが長い間快適に過ごせるようにお手伝いができるのは、整形外科のやりがいだと思います。
先生はこれまでさまざまな経験を重ねていらっしゃいましたね。
東京慈恵会医科大学を卒業後、同大学大学院医学研究科博士課程で骨粗しょう症とエイジングケアの研究に携わりました。その後も東海大学農学部バイオサイエンス学科食品生体調節学研究室や、熊本大学大学院生命科学研究部細胞病理学講座で研究員も経験しました。2020年に東京慈恵会医科大学整形外科に戻り、お子さんの外傷治療や高齢者の腰痛などの一般診療や、人工関節などの専門的な治療も経験してきました。東京慈恵会医科大学葛飾医療センターでは後輩の指導を中心に行い、自分が学んできたことを後輩たちへの還元に努めました。そして研究と臨床、両方の経験を生かしながら地域に貢献したいという思いから、2025年の開業に至りました。
ありがとうございます、それでは今後の展望をお願いします。

開業してまだ1ヵ月ほどですが、たくさんの患者さんに来ていただき、改めて需要があることを実感しました。スタッフは私を含めて7人で、子育て経験のあるスタッフもいますし、ベテランぞろいで助かってますが、より多くの患者さんのニーズに応えるために増員ができればと考えています。自分が学んだことを生かした診察、リハビリテーション、そして予防も強く意識した治療を通じて地域に貢献していきたいと思います。