三井田 博 院長の独自取材記事
まさご皮ふ科クリニック
(新潟市西区/小針駅)
最終更新日:2025/03/11

新潟市中心部から車で20分ほどの真砂メディカルゾーン内にある「まさご皮ふ科クリニック」。三井田博(みいだ・ひろし)院長が2024年10月に開業以来、幅広い年齢層の患者が相談に訪れる。院内は清潔感のある白色を基調とし、プライバシーに配慮した診察室と相談室を設置、落ち着いて手術を受けることのできる処置室も備えている。三井田院長は、1997年新潟大学医学部を卒業後、新潟大学医歯学総合病院や新潟県立新発田病院などの県内の病院で経験を積み、長年皮膚科の医師として尽力してきた。今まで勤務医で培ってきた経験を、町のかかりつけ医として地域住民に還元していきたいという思いを持つ三井田院長に、開業までの経緯や診療に対する思いを語ってもらった。
(取材日2024年12月25日)
地域の基幹病院で培ってきた知識と技術で地域に貢献
皮膚科の医師を志したきっかけを教えてください。

人の役に立つことをしたいと、中学生の頃から医学部をめざしていました。医学部に入ってからは、専門は漠然と消化器内科か腎臓内科にしようと考えていましたが、大学卒業後は幅広く内科を経験したいという思いから、市民病院で臨床研修を受けました。臨床研修では、内科だけではなく、外科系も選ぶ必要がありましたので、皮膚科を選んだんです。その時に出会った先生の指導が素晴らしく、専門内容にもはまり皮膚科をめざすことにしました。メスを持って手術ができる点や、病理を見ることができる点にもやりがいを感じましたね。その後勤務した新潟県立がんセンター新潟病院では、手術の技術を研鑽し、新潟大学医歯学総合病院では、助教として学生の指導にも携わり、人に教えることで自分の糧にすることもできました。いろんな施設で勉強させてもらい、出会った患者さんや指導してくださった先生方がいたおかげで今の私があると思っています。
開業された経緯についても伺います。
恩師の中には学術的な活動が好きな先生もいらっしゃって、私も恩師のようになりたいと思ったんです。皮膚には免疫に関わる細胞もあり、学問としての追究も面白いんですよ。新潟県立新発田病院では、患者さんの治療をきっかけに掘り下げて勉強してみようと、学術発表や論文の執筆などにも取り組んでいました。そのため、長い間開業には興味がなかったんです。ですが、病院を受診をされる方というのは症状が重症な方が多く、その治療が大事なことは確かですが、重症度や疾患の種類がクリニックで扱う疾患と異なるところがあります。私自身年齢を重ねるにつれ、クリニックに来られるような患者さんと関わることのないまま、医師として終わって果たして良いのかなと思うようになりました。医師として末長く貢献していきたい気持ちもありましたし。そんな頃に真砂メディカルゾーンを計画した企業から提案をいただく機会があり、思いきって開業しようと決断しました。
どのような患者さんが来られていますか?

真砂地区は住宅街ですから、近隣に住んでおられる方の来院が多く、幅広い年代の方が来てくださっています。車を運転できない年配の方には、近くにクリニックができて良かったと喜んでもらえていますし、勤務医時代にはあまり担当することのなかった若い世代の方からの相談もあり、開業して良かったなと思います。少しずつ患者さんも増えてきていまして、やりがいを感じていますね。小さいお子さんの場合には乾燥による発疹やアトピー性皮膚炎が多く、高校生くらいになるとニキビの相談が多いですね。30代から40代では、イボの治療で来られる方もいます。保険診療内で対応していますが、積極的に相談してくださる方が多い印象です。60代以上の患者さんからは、皮膚の乾燥から生じるかゆみやスキンケアについての相談も多いですね。
軽症・重症に関わらず、皮膚の悩みに寄り添う
症状によっては、大きな病院に行くまででもないと自己判断で放置してしまう場合もありますよね。

そうですね、大きな病院では紹介状がないと初診料が高額になりますので、「この程度であれば平気」と我慢してしまう人もいらっしゃると思います。そういった症状をクリニックで診てあげることができればというのも、開業した理由の一つなんです。患者さんは、軽症であろうと、重症であろうと悩んでいることには変わりありません。クリニックで受診をしていても、大きな病院の意見も聞きたいという人もきっといると思います。ですから、中には「このぐらいのことで受診してすみません」と来られる方もいるのですが、そういった人にこそ受診していただきたいですね。
美容関係には対応せず、保険診療にこだわって診療を行うとお聞きしました。その理由を教えてください。
もともと内科を志していましたし、勤務医期間も長いですから、病気で苦しんでいる方を診たいという思いが強いんですよね。もちろん、美容関係で悩まれている方も外見的なことに苦しんでいるのでしょうが、私としては、アトピー性皮膚炎など保険で対応できる病気で苦しんでいる方を最優先で診てあげたいのです。それに、美容皮膚科まで対応範囲を広げてしまうと、待ち時間が長くなってしまうかもしれません。私が今まで身につけてきた知識や技術を生かすためにも、美容関係の対応はほかのクリニックにお任せし、当院では保険診療に専念させていただいています。
患者さんとの関わり方で大切にされていることはありますか?

悩みを持って来てくださっているわけですから、診療ではまず、患者さんのお話に耳を傾けることから始めます。目を見て会話をしたり、お話を聞きながらうなずいたりと、話を聞く姿勢も大切にしていますね。そして、話を聞けるだけ聞いた後、症状をしっかり観察します。これまで勤務していた大学病院や基幹病院には重症の患者さんが来られるので、話よりもとにかく目の前の症状を何とかしてほしいという方が多かったんです。一方、地域のかかりつけ医の場合は、たとえ軽症でも患者さんの話を丁寧に聞く診療スタイルなので、患者さんに納得して喜んでもらうことにやりがいを感じています。
皮膚の悩みは抱え込まずに、気軽に相談を
診察の中で、患者さんに伝えていることはありますか?

治療をスムーズに進めるためには、患者さんにも理解していただくことが大切で、時には厳しくお伝えすることがあります。例えば、治療では飲み薬だけではなく、塗り薬を継続的に塗ってもらわなければいけません。体を洗う時に使うタオルの素材など、皮膚症状に関わる生活習慣についても、アドバイスさせていただいています。毎日継続することは大変ですが、症状を改善させるためには患者さんにも頑張っていただかなければいけないこともありますので、時には「良くないことは良くない」とはっきり言わせていただいています。
お休みの日のリフレッシュ方法を教えてください。
休日は家で読書をすることが多いですが、冬になるとスキーを楽しんでいますね。医学部時代は陸上部に所属していたこともあり、体を動かすことが好きなんです。とはいえ、皮膚科学の勉強も好きなので、休みの日にもわからないことを調べたり、勉強会に参加したりすることもリフレッシュになっています。若い頃ほど根を詰めて勉強することはありませんが、皮膚科学は生活の一部となっていますね。
最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

今後も地域の皆さんに貢献できるように、保険診療に特化した治療で、目の前の患者さんに集中していきたいと思っています。大学病院や基幹病院で培ってきた技術や経験を、地域のかかりつけ医として日々の診療に生かしていきたいですね。皮膚とメンタルは切っても切り離せない関係にあり、アトピー性皮膚炎などかゆみや外見などの症状によって気持ちが落ち込んでしまう方もいらっしゃいます。皮膚に関する悩み事がありましたら、一人でふさぎ込んでしまう前に気軽に受診していただけるとうれしいです。また皮膚の発疹でも、予想に反して皮膚以外の病気を合併している場合もありますので、そのような意味でも皮膚科を受診する意義はあると思いますよ。