トラウマによる症状の緩和と
心と脳の統合をめざすPTSDの治療
きょうまちなかこころクリニック
(八幡浜市/八幡浜駅)
最終更新日:2026/04/30
- 保険診療
過去の強烈な恐怖体験が心の傷となり、心身にさまざまな症状を引き起こすPTSD(心的外傷後ストレス障害)。近年その概念は、単なる記憶のフラッシュバックにとどまらず、人間の心・体・脳・対人関係が統合されていない状態として捉えられるようになってきた。「最近は小学生から高校生まで、集団いじめがきっかけで受診されるケースが増えています。つらい体験の後は、迷わず一度ご相談いただきたいですね」と訴えるのは、八幡浜市「きょうまちなかこころクリニック」で院長を務める近藤強(こんどう・きょう)先生。専門的な知見に基づく心理療法を取り入れ、地域に根差した精神医療を提供する同院における、PTSDの治療アプローチについて教えてもらった。
(取材日2026年4月1日)
目次
薬物療法だけでは根本解決が難しいPTSD、人生のストーリーを再び紡ぎ直すための専門的アプローチとは
- QPTSDとは、どのような状態や症状を指すのでしょうか?
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A
▲患者の気持ちに寄り添った、地域に密着したクリニック
以前は「過去のつらい出来事を思い出し、フラッシュバックを起こす病気」というイメージが強かったかもしれません。しかし最近の精神医学では、人間の脳と体、心、そして対人関係がうまくまとまっていない状態をPTSDと定義しています。発症のきっかけは交通事故や自然災害、DV、いじめなど、強い恐怖を伴う体験です。年齢を問わず誰にでも起こり得るもので、当院では学生さんの集団いじめによるご相談も多く見られます。ご本人にPTSDという自覚がないことも多く、悪夢や不眠、うつ症状や気分が高ぶる症状などをきっかけに来院される方が大半ですね。
- Qどのようなタイミングでクリニックを受診すべきでしょうか?
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A
▲一人だけで悩まずに気軽に来院してほしいと穏やかに話す近藤先生
トラウマとなる体験をしてから症状が出るまでの期間は人それぞれです。1ヵ月過ぎてから出てくる方もいれば、半年や1年後、あるいは数年後になって突然フラッシュバックが起こる方もいます。期間に関わらず、つらい体験をされた後で何らかの症状が1ヵ月以上続くようであれば、一度ご相談ください。また、医学上のPTSDの定義には当てはまらなくても「ご自身が今とてもつらい」と感じているのであれば受診していただいて構いません。苦しみはご本人にしかわからないものですので、疾患名に関わらずサポートさせていただきます。
- QPTSDに対して、具体的にどのような治療を行うのですか?
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A
▲患者一人ひとりに合わせた医療の提供をめざす
現状、お薬のみでPTSDの根本的な解決を図ることは難しいとされています。治療の選択肢の一つとして挙げられるのが「暴露療法」をはじめとした各種のトラウマ焦点化療法です。これは、患者さんが恐怖や不安を感じる対象・状況に少しずつ慣れることで、つらい症状を軽減することをめざす療法です。不安の対象から回避し続けると症状が長引くことがあるため、安全に配慮した環境のもと、無理のないペースで向き合っていきます。また、患者さんの状態に応じて心理療法を組み合わせるほか、ご自身の言葉で体験を語り、トラウマによって中断された人生の流れを整理し直すカウンセリング的アプローチも大切にしています。
- Q家族など、周囲の人はどのように関わればよいでしょうか?
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A
▲家庭や職場での関わり方についてもアドバイスしてくれる
PTSDの症状にお悩みの方は「自分が悪いんだ」と強い罪悪感を抱えていらっしゃるケースが非常に多く見られます。ですから、ご家族は「決してそうではない」「あなたが悪いとは思っていない」ということを、言葉にしてしっかりと伝えてあげることが何よりも大切です。また、お子さんがつらい体験をした直後は、ニュースやドラマの激しい暴力シーンなどを控え、刺激から遠ざけてあげることも必要です。ご家庭での対応が難しいケースや虐待などが疑われる場合は、ご家族だけで抱え込まず、児童相談所などと連携してご本人の安全を確保していくことが第一になります。

