清水 智実 院長の独自取材記事
しみず耳鼻咽喉科クリニック
(京都市北区/北大路駅)
最終更新日:2025/01/15

地域の人々や学生でにぎわう御園橋商店街の一画へ、2024年12月に開業した「しみず耳鼻咽頭科クリニック」。院長の清水智実先生は、大学病院や基幹病院で長年診療にあたってきた耳鼻咽喉科、頭頸部外科の専門医師だ。中耳炎や副鼻腔炎など耳鼻に関する疾患から咽頭の疾患まで、脳と目をのぞく首から上の悩みを相談できる。特に補聴器の外来に注力しており、補聴効果測定装置や補聴器をつけた状態で聴力検査が実施できるスピーカー設備などが充実。一人ひとりの聴力や困り事に適した補聴器のトレーニングを行う。診察時は内視鏡とモニターを使用し、患者の目に見える形で症状や治療を説明。「怖くない耳鼻咽喉科として地域の力になりたい」と穏やかに語る清水先生に、クリニックのコンセプトや今後の展望について話を聞いた。
(取材日2024年12月25日)
モニターの活用で患者の目に見える診療を意識
天井を突き抜けるようなシンボルツリーが目を惹く待合室ですね。

耳鼻咽喉科は小さなお子さまもいらっしゃるので、病院特有の無機質な雰囲気にしたくなかったんです。できるだけやわらかい雰囲気を演出したいと考えた際に、本物の木を使ったシンボルツリーを思いつきました。待合室の中央にあるツリーをメインに、出入り口、キッズスペースの3箇所にコブシの木を設置しています。他にも院内の壁紙は白色を避け、ベージュやグリーンなどナチュラルで温かみのある色を取り入れています。キッズスペースは折り紙やマグネットパズルで遊べるスペースを用意し、診察室にお呼びした際に靴を履く手間が省けるよう、土足で遊べる仕様になっています。病院が苦手なお子さまでも、怖くないと思えるようなクリニックになれたらうれしいです。
クリニックのコンセプトを教えてください。
地域のかかりつけ医として、小さなお子さまからご高齢の方まで幅広い世代に頼られるクリニックをコンセプトにしています。ちょっとした症状や悩みでも、気軽に相談してもらえるような場所にしたいですね。特に当院では中耳炎や副鼻腔炎など一般的な耳鼻咽喉科症状の治療だけでなく、難聴の検査や補聴器のフィッティングに関する設備が充実しています。これから高齢化が進んでいく中で、難聴が原因で生活に支障が出る方も増えていくと思います。当院は、地域の皆さまが年を重ねても快適な暮らしが過ごせるよう、難聴でお困りの方の受け皿になれるクリニックをめざします。
診療時に、特に大切にしていることはありますか。

症状や治療の様子を、モニターを通して患者さまにも確認していただくことです。例えば耳の疾患を処置する際、内視鏡で耳の中の状態をチェックします。そのまさに今診ている内視鏡の画像が、患者さまの目の前にあるモニターに映るようになっており、自分の耳の中が処置されていく様子が確認できる仕様になっています。大人の患者さまに患部の状態や治療内容を一つ一つ納得していただきながら処置を進めるのが目的ですが、実は小さなお子さまが怖がらずに診療を受けるためにも活躍します。病院が苦手なお子さまも、自分の耳の穴が見えたり、耳垢が抜き出されていったりする様子が興味深いようで、怖がっていたお子さまもいつの間にか画面に集中してくれるんです。私としては、治療していく手元がすべて見られるのでちょっと緊張しますが、お子さまも大人の方も前向きに治療と向き合えるのでメリットが大きいと感じています。
正しい補聴器トレーニングで認知症リスクを防ぐ
こちらの補聴器の外来では、補聴器の購入まで3ヵ月間のトレーニング期間を設けているそうですね。

当院の補聴器の外来では、補聴器相談や補聴器適合判定をする私と、言語聴覚士、認定補聴器技能者の3本柱で、検査からフィッティングまでサポートしています。一般的な耳鼻咽喉科で難聴の相談をすると、検査をした後の補聴器選びは補聴器を取り扱う業者にお願いするパターンがほとんどです。しかし当院では、補聴器を3ヵ月間お試しで貸し出し、クリニック内でフィッティングやトレーニングを行う期間を設けています。補聴器は視力の矯正を行う眼鏡と違い、使用してすぐに聞こえの改善が図れるわけではありません。定期的な診療で少しずつ音量を上げながら、生活の困り事の改善が望める状態まで調整していきます。当院の言語聴覚士は長年補聴器のトレーニングに深く携わってきた方で、私も信頼を置いていますし、万が一トレーニング期間後に補聴器が合わないと感じた場合は、購入を見送ることも可能です。
聴力の低下を感じたら、早めの受診が大切だとお聞きしました。
聴力の低下で生活に支障を感じたらできるだけ早く耳鼻咽喉科に相談するべきです。完全に悪化してから補聴器を頼っても、聞こえの改善は期待できません。聴力がある状態で脳や耳に補聴器の使い方を慣れさせることが大切なので、それも踏まえて当院では補聴器のトレーニング期間を設けています。難聴の原因や補聴器でのサポートが必要なのか見極めるためにも、まずは耳鼻咽喉科の専門医師を受診しましょう。また早めの受診が必要な理由の一つとして、認知症リスクの上昇があります。近年の研究により、認知症の予防可能なリスク因子の中でも、難聴は非常に危険な因子であると明らかになってきました。難聴が進むと会話が難しくなるため、周囲とのコミュニケーションがおっくうになり、社会的孤立感や脳への刺激の減少により認知症のリスクが高まるとされています。難聴対策だけでなく認知症の予防策としても、聴力に不安を感じたら補聴器の使用を検討しましょう。
将来の難聴リスクを減らすために、若い頃から心がけたほうがいい習慣はありますか。

大音量で音を聞く習慣は、あまり良くないと思います。特ににぎやかな場所でイヤホンを使用して音楽を聞くのは避けたほうが無難です。例えば電車の中など騒音が大きい場所で音楽を聞くと、静かな部屋で聞くよりも確実にボリュームは大きくなってしまいますよね。それを毎日の習慣として長時間続けていると、難聴を引き起こす恐れが高まるので、年を重ねても会話やコミュニケーションを楽しむために気をつけてほしいと思っています。
怖くない耳鼻咽喉科として気軽に立ち寄れる場所に
この地域で開業を決めた理由やきっかけはありますか。

正直この地域を選んだのは、私が働きやすい条件と耳鼻咽頭科が開業しやすい条件がそろっていたからでした。でもいざ開業準備を始めると、とてもいい雰囲気の地域だと気づいて。ここは京都市の最北にある「御園橋商店街」の一画ですが、商店街の方々がとても温かく迎えてくださったのがうれしかったです。京都市自体が地域のつながりを大切にしており、商店街活動が活発なイメージですけれど、御園橋商店街も季節ごとにさまざまなイベントを開催していて、地域全体に活気があふれているんですよね。近くに京都産業大学があるので学生も多いですが、長く地元にお住まいの方が多い印象です。私もこの商店街の一員として盛り上げていくために、イベントなどに参加したり、地域の皆さまが歳を重ねても元気に過ごせるよう、地域のかかりつけ医としてサポートしたりしていきたいと思っています。
お休みの日のリフレッシュ方法を教えてください。
家の庭いじりをしていることが多いですね。樹木が好きで、待合室のシンボルツリーも私が木材店まで出向いて買いつけてきたんです。家の庭には、カエデやヤマボウシ、ハイノキなどを植えています。今はクリニックを開業したばかりで忙しく、なかなか庭の手入れができていませんが、時間にゆとりができたら、かわいらしい実がつくジューンベリーの木をお迎えしたいですね。あとは子どもがまだ幼いので、子どもたちと過ごす時間を大切にしています。
今後の展望や、読者へのメッセージをお願いします。

体調を崩したから行く場所というだけでなく、耳や鼻の調子でちょっと気になることがあったら頼りたくなるような、気軽に立ち寄れるクリニックにしたいと思っています。基幹病院や大学病院で長く勤めていた経験も生かし、大規模病院での治療が求められる症状との見極めも注力していきたいですね。補聴器の購入も最終的な判断は患者さまに委ねていますので、リラックスしてご相談ください。「怖くない耳鼻咽喉科」をモットーに、丁寧で明快な診療を心がけていきますので、耳鼻や喉など首から上の症状で気になることがありましたら、症状の程度に関係なく気楽にお越しください。