森元 英周 院長の独自取材記事
もりもとベビー&キッズクリニック
(京都市下京区/西大路駅)
最終更新日:2025/02/06

親子のペンギンのキャラクターが出迎えてくれる「もりもとベビー&キッズクリニック」は、西大路七条の医療モールに2024年12月に開業した。森元英周(もりもと・ひでちか)院長は、京都の大学病院や中核病院の小児科、新生児集中治療室で長く研鑚を積んできた。内分泌疾患やアレルギー疾患などの専門的な知識もしっかりと得た上で「子どもやその保護者と関わる時間が好きだ」と開業を決意。生まれてすぐから小児科を卒業する年齢まで幅広くケアしたいと尽力している。話をする時間を重視し、子育てのちょっとした悩みや保護者の不安にも真摯に寄り添う森元院長に、これまでの経験や診療で大切にしていること、今後の展望などを聞いた。
(取材日2024年12月26日)
子どもに感じる希望や強さが小児科医のやりがい
まずは、医師をめざしたきっかけからお聞かせください。

中学生の頃、白血病の子どものドキュメンタリーを見たんです。今でこそ治療が進歩し、小児白血病の多くは治癒が見込めるようになりましたが、当時はまだまだ治療が難しい病気でしたので、内容に衝撃を受けて……。それが医師をめざすきっかけになりました。自分の知識を生かして人を笑顔にできるという点にも魅力を感じましたね。高校卒業後、一度は工学部に入りましたが、やはり医師の道が諦めきれず、大学を卒業後必死に勉強して医学部に入り直しました。子どもの頃から両親に厳しく言われたことはなく、医師をめざすことも応援してくれたので感謝しています。
開業までさまざまなご経験をされてきたとお伺いしました。
舞鶴医療センターや京都府立医科大学附属病院などで経験を積みました。特に新生児集中治療室(NICU)での経験は大きいですね。小さく生まれた子も多くが生存を望める時代なので、求められるのは障害を残したり発達が遅れたりせず元気に育つこと。中には長く生きられない子もいますが、可能性がある限り必死で向き合います。わが子を信じて一生懸命な保護者の願いに応える責任の重さ、ギリギリの緊張感というつらさはあるものの、それが醍醐味であり大きなやりがいでした。小児科医になって本当に良かったなと思うのは、子どもに感じる希望です。脳梗塞で麻痺していた子の笑顔を見られたり、1000gに満たないような状態で生まれNICUにいた子と数年後に別の病院で出会ったり。子どもの持つ強さに、何度も感動させられましたね。
2024年12月に開業されましたが、経緯や思いをお聞かせください。

小児科医になったからには、命を救うため、病気を治すための診療技術や知識をしっかりと身につけたいと思いました。また、小児を診ていく中で必要になるであろう領域、日本内分泌学会内分泌代謝科専門医や日本アレルギー学会アレルギー専門医などの専門医資格も取得し、学びを深めておきたかったので長く勤務医をしてきました。一方で、小児科は外来での業務が多いので、大学病院で子どもやその保護者と密に話をしながら治療することが好きだなと感じていました。自分がこれまで得た知識を使い、10年、20年とこの地域の子どもたちを診て、その子たちの成長を見守っていけたら楽しいだろうなと考えたことが、開業に至った理由です。
生まれた直後から高校生まで子どもの受け皿になりたい
クリニックで力を入れていきたい診療について教えてください。

開業から1ヵ月ほどの間にすでに多くご相談を受けているのが、アレルギーです。お肌のトラブルからアトピー性皮膚炎かもしれないという方や、食物アレルギーを心配されている方など、風邪などのお困り事に次いで小児科でよく求められる領域だと感じています。しっかりと応えられるようアレルギー専門医の資格を取得したので、気軽に相談していただきたいですね。また、私が一番の専門としているのは内分泌疾患なので、特に低身長や思春期早発症などの診療に注力したいと考えています。継続した治療が必要になるので、勤務医時代に平日の昼間に学校を休んで病院に来ている子を見て、不便だろうなと感じていました。もちろん大学病院でしかできない検査が必要なこともありますが、通いやすい時間帯に近所のクリニックで専門的な治療を受けられれば、病院とクリニックとのすみ分けとして機能するのではないでしょうか。
低身長や思春期早発症の診療はどんなことをするのでしょうか?
低身長や思春期早発症の診断では、手のエックス線撮影で骨の成熟度を調べます。低身長の方には将来的に伸びる余地がこれくらい見込めますよとお伝えしています。必要に応じて血液検査や負荷試験を行い、成長ホルモンによる治療を行うこともあります。思春期早発症では、例えば6歳の女の子で胸の発育が見られる場合、骨の成熟度が1~2歳進んでいることがあります。血液検査でホルモン量などを確認し、思春期早発症と診断されれば毎月の注射による治療を行うこともあります。当院では検査から診断・治療まで完結でき、大学病院などで診断された方の治療継続も可能です。生まれてすぐの体の発達やアレルギーの有無、小学生から中学生の低身長や思春期早発症など、赤ちゃんから子どもの幅広いお悩みの受け皿になりたいですね。また疾患によっては高校生以降も診ていくこともありますので、小児科と内科のどちらを受診するか迷われる場合も、ぜひご相談ください。
患児やその保護者との関わりで気をつけていることはありますか?

話しやすい雰囲気をつくることが第一です。情報過多になっていてかなりの重病を想定していたり、間違った対応をしてしまったりする保護者もいますが、すべては大切なお子さんを思ってのことです。ないがしろにしたり否定したりせず、毎日お子さんを見ている保護者の違和感を尊重するようにしています。また「もっと早く連れて来れば良かった」と自分を責めてしまう方の場合には、病気は誰のせいでもないとお伝えするなど、保護者とお話しする時間を重視していますね。治療は保護者が納得してくれなければ継続できないので、ステロイドを嫌う方には必要性を丁寧に説明したり、塗り薬や保湿が忙しくてできないという方には続けられる方法を考えたりしています。
話す時間を大切に、何でも相談できる場所に
スタッフについてお聞かせください。

看護師としての経験に加え、子育て経験も豊富なスタッフが集まってくれました。開業準備期間からスタッフ同士の仲が良く、和気あいあいと働いてくれているので助かっています。ちなみに、子育てのイメージからクリニックのキャラクターとして選んだペンギンの親子ですが、スタッフがお母さんペンギンを「もりぺんちゃん」と名づけ、開業前の内覧会に来ていただいた方の投票で子どもペンギンが「ペンたくん」になりました。これからたくさんの人に覚えてかわいがっていただければ、うれしいです。
どんなクリニックにしていきたいか、今後の展望を教えてください。
まずは、生まれた直後から小児科を卒業する年齢まで、これまで得た経験や専門的な知識を生かしてしっかりと診ていきたいと考えています。風邪で来院された場合でも必ず「他に気になることはありますか?」とお聞きし、子育てのご相談などにも対応しています。お話を聞く時間を大切にしたいからこそ、患者さんが増えて診療時間が短くなってしまうことは避けたいんです。将来的には、小児科の医師である妻にも来てもらい、二診制にできればと計画中です。患者さんとのやりとりが私にとって一番楽しい時間ですから、一人ひとりと向き合う機会を減らしたくないですね。お話をすることで関係性を築き「この先生なら安心できる」と思っていただければうれしいです。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

ちょっとした風邪の症状から、どこに相談すれば良いのかわからないようなときにも、まずは一度当院にお越しください。1人目の子どもの育児をされている方は特に小さなことでも悩んでしまわれる傾向にあるので、何でもお話ししていただければと思います。また、親子で参加できるような健康に関するイベントを定期的に開催していく予定です。育児や赤ちゃんの病気に関する疑問、低身長の定義、お子さんが本当に低身長なのかなど、気軽にご相談していただける機会にできればと思っていますので、ぜひご活用ください。