どんな治療ができる?
痛みを専門とするペインクリニックの活用法
吹田くわた内科・ペインクリニック
(吹田市/千里丘駅)
最終更新日:2025/03/25


- 保険診療
どのような病気やケガも、一番の悩みは痛みではないだろうか。特に「なんだか痛いけど、何科にいけばいいかわからない」「治療に通っているけど、鎮痛剤では痛みが取れない」という場合には、体ばかりでなく、心まで疲れきってしまう。そんなとき、総合的に診断し、痛みに対する専門的な医療を提供するのがペインクリニックだ。根本原因を探り当て、神経ブロック注射をはじめとするダイレクトな手法で、患者一人ひとりに応じた治療を提供する。「痛みが慢性化すると、心身ともにつらくなってしまいます。一人で悩まず、早めに相談してほしい」と優しく呼びかけるのは「吹田くわた内科・ペインクリニック」の桑田繁宗院長。今回は日本麻酔科学会麻酔科専門医である桑田院長に、ペインクリニックの上手な活用法などについて話を聞いた。
(取材日2024年12月6日)
目次
我慢できない痛み、長引く痛みには、痛みを専門とするペインクリニックへ相談を
- Qペインクリニックでは、どんな痛みに対応しているのでしょうか?
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A
▲幅広い種類の痛みに対応していることが特徴である
ペインクリニックは「痛みの治療」に特化しており、さまざまな痛みに対応します。五十肩や四十肩といわれる肩関節周囲炎、ぎっくり腰と呼ばれる急性腰痛症、椎間板ヘルニア、変形性脊椎症、坐骨神経痛、神経根症、膝や股関節の術後痛などさまざまです。整形外科疾患による痛みをイメージされる方が多いですが、それ以外にも片頭痛や肩凝りが原因の緊張型頭痛といった頭痛、帯状疱疹、三叉神経痛、がん性疼痛など、診療領域も多岐にわたります。痛みを総合的に診療し、その原因に直接アプローチして治療していくのがペインクリニックの特徴です。
- Qどのように受診・活用したらよいのでしょうか?
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A
▲痛みを長時間放置すると、治療に時間がかかることもある
突然の痛みはもちろん「なんとなく痛くて、スッキリしない」といった慢性的に続く痛み、はたまた原因がよくわからない痛みでも、「痛い」と思ったら、まずはペインクリニックを受診してください。診療領域を気にすることはありません。また万が一、当院では対応できない場合も、適切な病院をご紹介していますので、安心してください。ただ、受診のタイミングは早いほうがいいと思います。痛みを放置していると痛みの物質が蓄積したり、神経細胞が傷ついたりして、治るのに時間がかかることも少なくありません。たとえ結果的に何もなくても、検査することで「大きな病気でなくて良かった」と安心できるでしょう。
- Q具体的にどのような治療を行っていくのですか?
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A
▲ブロック注射には複数種類があり、それぞれ痛みや費用は異なる
まずは内服薬や湿布、コルセットなどの装具から検討しますが、それでも痛みが取れない場合には、注射による治療に移ります。注射といってもさまざまな種類があり、症状や身体所見から痛みの原因を多角的に診断し、疾患によって薬剤や注射の種類を検討して行います。ブロック注射と呼ばれるもので、坐骨神経痛や帯状疱疹であれば硬膜外ブロック注射、肩凝りや首の痛みには星状神経節ブロック注射、頸椎症性神経根症や腰部脊柱管狭窄症には神経根ブロック注射を行うことが多く、体の深部にある神経に直接アプローチしていきます。ほかに、腰痛や肩凝りではトリガーポイント注射や筋膜リリースといった治療法もあります。
- Qブロック注射について、詳しく教えてください。
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A
▲患者一人ひとりの要望や病状に合った治療方法を提案する院長
ブロック注射は、神経や神経の周辺に局所麻酔やステロイド剤を注射して、痛みの除去をめざす治療法です。神経に作用する麻酔薬で痛みが伝わる経路のブロックを図り、血流の改善をめざすことで、発痛物質の活動の抑制につなげます。「神経に注射って、大丈夫?」と思われるかもしれませんが、超音波を用いて肩や首の体の中の状態を確認しながら注射をしますので、心配ありません。超音波を用いてリアルタイムに痛みやしびれの原因となる神経にアプローチするため、比較的短時間で効果が望める点も特徴です。そのため、ブロック注射を痛みの原因の追究に用いることもあります。
- Q副作用やデメリットについて伺います。
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A
▲ブロック注射治療を行った後も、定期的な通院が必要となる
局所麻酔薬がほかの神経まで流れていくこともあるので、一時的に声がかすれたり、手足がしびれたり力が入りにくくなることもありますが、ほとんどの場合1~2時間で元に戻ります。念のため、ブロック注射をする際には、その後半日の予定を空けておいたほうがいいでしょう。またブロック注射は1回で痛みが治まるものではなく、複数回実施するのが一般的です。良くなったと思っても、医師の了解が出るまでは、しっかりと通院することが大切です。注射することに抵抗がある人は多いでしょうが、針も細いものを使って痛みの軽減に努めていますし、早期に痛みの緩和が期待できることを思えば有用な治療の一つだといえます。