中野 一仁 院長の独自取材記事
奈良なかの皮ふ科
(奈良市/近鉄奈良駅)
最終更新日:2025/01/28

「奈良なかの皮ふ科」は、近鉄奈良駅そばの商店街を少し奥に入った所、レトロな風情漂う街並みの一角にある。アクセス抜群の立地でありながら、周辺は喧騒を忘れさせてくれる穏やかな雰囲気があり、診療に訪れた際には少し辺りを歩き回ってみたくなる様子だ。院長の中野一仁先生は優しい笑顔が印象的なドクター。大人から子どもまで、皮膚に関するあらゆる悩みに寄り添いながら診療を行っている。中野院長は、問診、視診、触診を大切にしており「丁寧に患者さんのお話を聞くことが大切です」と静かに語る。問診の心がけや早めの受診が大切な理由を中野院長に尋ねた。
(取材日2024年11月15日)
世代を問わずあらゆる皮膚科疾患に対応
こちらのクリニックの特徴について教えてください。

当クリニックは2024年11月に開院しました。小さなお子さんからご高齢の方まで、幅広い年齢の患者さんのさまざまな症状に対応しています。私自身は大阪出身ですが、妻の出身地である奈良に住まいを移したことでこの辺りにご縁ができました。転居した当時、この周辺を散歩してまわったのですが、雰囲気というかたたずまいというか、大阪とは全然違ってすっかり気に入ってしまったんです。「開院するならここ」と独立への気持ちが高まり、開院を決断しました。幸い駒井皮膚科という地域で愛されているクリニックの跡地で開院することができました。近鉄奈良駅から歩いて3分の好立地ですので、通いやすいのではないでしょうか。皮膚に関することなら何でも気軽に聞いてほしいと思います。
医師をめざしたきっかけやご経歴をお伺いします。
私の家系は代々医師をしていたので、私にとって医学の道に進むのは自然なことでした。大学は久留米大学に進学。卒業後は大阪に戻り、その後市内の皮膚科医院で副院長として勤務しておりました。開業を考えたのは、奈良出身の妻とこちらに引っ越してきたことがきっかけです。ここでクリニックを営まれていた駒井先生と義理の父が同級生だったということからご縁をいただき、駒井皮膚科の跡地で開業することができました。勤務医時代での、水疱症や皮膚がん、白血病に由来する皮膚疾患など重篤な患者さんを看取った経験は、今でも忘れられません。皮膚科医院では赤ちゃんからお年寄りまで、さまざまな疾患の軽症から重症まで幅広く診ておりました。これまでの経験を生かし地域のクリニックとして早期受診を皆さんに呼びかけ、早期治療につなげ、クリニックで対応できる範囲を超えたときには、専門の医療機関や基幹病院との橋渡し役になれたらうれしいです。
院長にとって皮膚科医としてのやりがいはどんなところにありますか。

目に見えて結果や経過がわかることと、患者さんの反応がダイレクトにわかるところに惹かれて皮膚科医を選びました。皮膚科は診療部位も頭から足先、内臓に関連したものまで多岐にわたり、病気の種類も多いです。研修医の時から、治療の成果が目に見えてわかるところにやりがいを感じていました。そのときに教えてくださった先生もすてきな方で、同僚同士の関係も心地良く人に恵まれたことも、皮膚科を専門にした理由です。その時の仲間とも、今でもときどき交流があります。
一人で悩まず早期受診で症状の根本的な改善を
どんな主訴が多いのでしょうか。

アトピー性皮膚炎、ニキビ、水虫、足裏のうおのめ、頭皮のトラブルが多いですね。女性がヒールを履いてうおのめができたというような相談も多いです。うおのめは皮膚科で治療できると知らない方も多いですが実は対応可能です。まだ開業したてですが、勤務医時代に担当していた患者さんが、県外から車で1時間かけて来院してくれたりしています。遠くなり申し訳ないのですが、信頼してくださっているのだなと、うれしい気持ちもあります。大阪で24年間勤務していたのですが、診療で患者さんのお話を聞いたりたわいない会話の中から、患者さんの不安や悩みを少しでも解決できていたのかなと思います。
足のうおのめでも診てもらえますか。
足裏のうおのめなどもぜひ受診してほしいと思います。痛いまま放置してしまうと痛い所をかばって歩くので膝に痛みが来ることもあります。治療では、まず皮膚が厚くなったところを削り、硬くなるのを防ぐために保湿剤を塗布します。痛みが繰り返すことがあっても何もしないより症状は軽いはずです。痛みが出ても再度受診してもらえば皮膚も削りやすく痛みの悪化も防止が期待できます。安易に市販薬を使ったり放置してしまうより、少しでも気になることは早めに相談してもらうといいですよ。
セルフケアか受診か迷ったらどうすればいいでしょうか。

基本的には皮膚科の受診をお勧めしています。ニキビ治療などでも医療が進歩していて良い薬も登場しています。市販薬と処方薬に含まれる成分は違いますので、市販薬で治らない時は、早めに受診していただいて処方薬を使ったほうが症状の再発や悪化を防ぐことにつながる、というのが私の考えです。ニキビは出たり収まったりしてぶり返すことが多く、若い患者さんなどでは見た目が気になってQOLが著しく下がってしまいます。相談するのに勇気がいるかもしれませんが、早めの受診と治療で、肌をきれいな状態にキープすることが大切です。相談に来る患者さんは低年齢化していて、最近だと10歳前後のお子さんが受診されることもあります。
皮膚科は問診、視診、触診が何より大切
初診ではまず検査から始まるのでしょうか。

皮膚科というとアレルギーの血液検査のイメージも強いですが、検査は必ず実施するわけではありません。皮膚トラブルの原因は複合的で、何か一つに特定できることのほうが珍しいのです。ですから総合的な判断の結果、必要であれば血液検査を行います。逆に水虫ではきちんと検査することが大切です。顕微鏡を使った真菌検査をして、患部に真菌がいることを確認して確定診断となります。単に足の皮が剥けてきたからといって、それで水虫だと自己判断しないように注意が必要です。そこに菌がいないと水虫だと断定はできないからです。そのまま市販薬で対処してしまうのではなく、できるだけ皮膚科で検査することをお勧めします。検査して原因がわかれば、水虫になりやすい環境を避けたり薬を処方するなど、適切な治療が可能になります。
院長は問診を何より大切にしているそうですね。
そうなんです。問診で患者さんのお話にじっくり耳を傾けることと、「見て、触って」診断をつけることを心がけています。皮膚科ではMRIなどは必要ありませんが、その分患者さん一人ひとりに時間をかけて問診します。症状についてだけでなく、患者さんが不安に思っていることをくみ取って診断の予想をつけます。そして視診や触診、検査を組み合わせて診断が決まります。まず最初に問診があってそれから検査があるのです。また、皮膚科というと重篤な病気が少ないイメージがあるかもしれませんが、皮膚がんや重度の感染症ややけど、膠原病に関連する症状などもあります。そういうケースを見逃さないように丁寧に診断を進め、万が一重篤な病気が疑われる場合は、早めに近隣の総合病院や基幹病院につなぎます。
今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

かかりつけの皮膚科クリニックとして、赤ちゃんからお年寄りまで年代を問わず地域の皆さんのご相談に乗りたいと思います。皮膚は爪先から頭の上まで全身に及んでいます。皮膚疾患は見た目にも影響するので、悩んでしまう患者さんが多いです。原因も複合的なことが多くセルフケアでの解決は難しいですが、「こんなことで相談してもいいの?」と思うようなことも、気兼ねなくお話しください。何かイボやたこ、ニキビなどが気になったまま生活を続けるのはつらいことです。一人で悩まず早めに皮膚科を受診しましょう。困ったことがあればお気軽にご相談ください。