脳疾患後の後遺症を諦めない
脳神経外科で行うリハビリテーション
けやき脳神経リハビリクリニック
(目黒区/不動前駅)
最終更新日:2024/12/13
- 保険診療
- 自由診療
「リハビリテーション」と聞くと、整形外科を思い浮かべる人が多いだろう。しかし、脳神経外科でもリハビリに対応しており、脳の機能回復のため、麻痺がある中でも可能なことを増やすためのリハビリを行っている。脳卒中や脳腫瘍、脳部外傷などで、体に麻痺がある、注意力が落ちる、失語症などの障害が残る人は少なくない。日本脳神経外科学会脳神経外科専門医の資格を持つ「けやき脳神経リハビリクリニック」の林祥史院長は、そうした患者に対する脳神経外科ならではのリハビリに注力している。また、同院に在籍する理学療法士・作業療法士は急性期医療の経験が豊富で、高次脳機能障害のリハビリなど幅広く対応可能だ。「リハビリを必要としている方の受け皿になりたい」と語る林院長に、脳神経外科で受けられるリハビリの種類と特徴、流れを聞いた。
(取材日2024年11月22日)
目次
検診・治療前の素朴な疑問を聞きました!
- Q脳神経外科で受けられるリハビリの種類を教えてください。
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A
当院では、外来リハビリ、介護保険で受けられる通所リハビリ、自由診療のリハビリの3種類があります。外来リハビリは、脳梗塞やくも膜下出血などを発症してから180日以内の方が保険診療で受けることが可能です。しかし、181日以降もリハビリが必要な方が多くいるため、当院ではその受け皿となれるような体制をつくりました。リハビリは、理学療法と作業療法に対応しています。脳梗塞や脳出血、頭部外傷などで病院に入院後、退院された方が利用することが多いですね。手足のしびれや麻痺、高次脳機能障害、複視などの改善が期待できます。他にも、認知症の改善をめざすリハビリも行っています。
- Q脳神経外科でリハビリを行うメリットはありますか?
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A
整形外科で行うリハビリは運動器リハビリという分野で、腰や膝が痛い、動かしにくいといった症状に対して、その改善をめざすために行います。それに対し、手足を動かして刺激することで、脳自体の活性化を図り、機能を取り戻そうとするのが脳神経外科のリハビリです。つまり、整形外科と脳神経外科のリハビリは、アプローチする箇所も目的も異なります。脳卒中などの脳の疾患を患って体に麻痺が残った方、高次脳機能障害の方などは、脳神経外科でリハビリを受けることがより適切な治療につながると考えられます。
- Q理学療法と作業療法の違いを教えてください。
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A
理学療法は一般的にベッドの上で手足を動かしたり、体の姿勢を見たりしながら、徒手的にアプローチしていくものです。筋肉の動きや関節の硬さを見ながら、適切に刺激をします。一方、作業療法は体や関節を動かすといった大きな動きではなく、複合的な動きの改善をめざす方法です。例えば料理をする、物を右から左に移すなどの細かい作業を訓練します。作業療法は幅広く、高次脳機能障害で注意力が落ちている、失語症がある、ビジョントレーニングが必要といった場合なども作業療法士が行います。麻痺がある場合、麻痺自体の改善も視野に入れて進めるのが理学療法で、機能改善を図り生活の質の向上をめざすのが作業療法というイメージです。
検診・治療START!ステップで紹介します
- 1診察と検査によりリハビリの必要性を判断
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まず医師が診察を行い、リハビリが必要か否かを判断する。麻痺や高次機能障害の程度などをチェックし、場合によっては、MRI検査や採血などを行うことも。その後、リハビリスペースで患者に体を動かしてもらい、医師が検査結果と症状を診た上で、スタッフにリハビリ内容を指示。患者に対しても、理学療法と作業療法のどちらを行うかなどの説明がなされる。
- 2作業療法士と理学療法士による評価をもとに計画を立案
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続いて医師の指示に基づき、作業療法士と理学療法士がリハビリの専門家としての視点から評価を行う。具体的には、作業療法士は患者の症状や日常生活における基本的な動作能力の程度や、手や指の細かい動作を確認。理学療法士は、筋肉や関節の動きなど、体の可動域を確認。それらの評価をもとに、医師が多職種と連携しながら通院回数や内容に関するリハビリ計画を立案。
- 3個別の外来リハビリや、集団の通所リハビリを開始
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同院では、個別の外来リハビリのほか、介護保険の認定を受けている方を対象とした集団の通所リハビリにも対応。また、麻痺や高次脳機能障害や筋力低下がある場合は、自宅でのトレーニング指導を必ず行っている。集団の通所リハビリでは認知機能に改善をめざした脳トレーニングを行ったり、パワーリハビリを行う一方、個別の訓練も提供する。なお初回は、どの程度のリハビリが可能なのかを確認するために診察と検査が実施される。
- 4一人ひとりに合わせたゴール設定する
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初回の通院で患者の状態が把握できたら、2回目の通院では具体的なリハビリの目標やゴールを設定。理学療法士や作業療法士が、「介助なしで食べられる」「一人で歩ける」など一人ひとりに合った目標を検討。その後は目標を達成できるように決められた頻度でのリハビリの実施となる。
- 5継続的に通院
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発症から180日を過ぎた場合、外来リハビリを受けつけていない病院も多い。ただ、同院では必要性を正しく評価し、180日を過ぎても必要な場合は保険診療でのリハビリを受けられる。また、医師や理学療法士、作業療法士などと相談の上、自由診療でより長期間のリハビリを受けることも可能である。
自由診療費用の目安
自由診療とは個別リハビリ/40分7000円、60分1万円、集団リハビリ/週1コース(1回90分)7200円/月