林 祥史 院長の独自取材記事
けやき脳神経リハビリクリニック
(目黒区/不動前駅)
最終更新日:2025/01/24

不動前駅より徒歩6分。「けやき脳神経リハビリクリニック」は、首都高速五反田出入口すぐそばで2024年11月に開院。林祥史院長は、2005年に東京大学医学部医学科を卒業。その後、亀田総合病院、および北原国際病院で急性期医療に携わり、日本脳神経外科学会脳神経外科専門医と日本脳神経血管内治療学会脳血管内治療専門医を取得。頭痛や物忘れなど身近な症状から、脳梗塞などの脳疾患発症後のリハビリテーションまで幅広く対応できるクリニックをつくった。特にリハビリテーションに注力し、急性期治療の経験が豊富なリハビリスタッフを採用。また、総合診療の経験を生かし、生活習慣病の診療も行う。「気軽に通える脳神経外科の専門クリニックをめざしたい」と穏やかな笑顔で語る林院長に、クリニックの強みや注力している治療などを聞いた。
(取材日2024年11月22日)
子どもから高齢者まで通いやすいクリニックをめざす
なぜ医師の道を選ばれたのでしょうか?

高校生になって将来のことを考えた時に、人助けができる仕事がしたいと思いました。それができる職業はいろいろありますが、医師なら「命を救う」という大きな使命がある上に、社会貢献もできます。研究が好きなので生物学者と迷ったのですが、研究の要素もあり、人助けもできる医師の道を歩むと決めました。脳神経外科を選んだ理由も、救命につながることと研究できるからです。医学部に入ってから、未知の部分が多い脳科学に興味を持ちました。脳科学は現在でもわからないところが多く、研究をしながら救命もできるため、脳神経外科を選びました。
開業のきっかけを教えてください。
脳卒中、くも膜下出血、脳梗塞で倒れた方の緊急手術を中心に、急性期病院で17年間勤務しました。救急の現場から手術、入院患者さんの治療まで担当しながら、院長などの管理業務も経験しました。そんな中で「チームづくりからすべて自身でやってみたい」という思いが芽生えました。この経験から、脳卒中や認知症などにおける脳の病気の予防と、すでに発症してしまった方のリハビリテーションまで対応できるクリニックにしたいと思ったのです。急性期を診てきたからこそ、発症後のリハビリテーションの重要性を理解しています。脳卒中など脳の病気を発症した場合、発症日から180日間は保険診療で手厚いリハビリテーションを行えますが、それ以降はできる回数が減ってしまい、多くの病院・クリニックでは対応していません。しかし、181日をすぎてもリハビリテーションが必要な方は少なくないため、そこをカバーできる場所をつくりたいと思い開業しました。
目黒エリアで開業された理由をお聞かせください。

「地域のかかりつけ医になりたい」という思いがありまして、私自身の生活圏内での開業を考えておりました。目黒不動尊のすぐ近くにあるこの開業地は、多くのお勤めの人でにぎわう都市部でありながら、昔ながらの下町の風情もあり、こちらに決めました。MRIやリハビリのための広いスペースを借りられる、ちょうど良い物件が見つかりました。7階まであるビルの1~3階をお借りしていて、3階はワンフロアすべてリハビリテーションのスペースにしています。内科も標榜しているため、発熱のある方は別の部屋で待ってもらい、一般の患者さんと診察室も分けています。また、脳神経外科は、小児から高齢者まで幅広い年代の患者さんが来られるので、キッズスペース、赤ちゃんが入れるトイレ、車いすのまま待てるスペースも用意しました。混み合っていると「車いすが通りにくいから」と言って敬遠する方を過去に見てきたので、スペースの取り方には気をつけました。
物忘れや頭痛など身近な症状の診断から治療まで
先生がめざす理想のクリニック像はどのようなものでしょうか?

クリニック全体で目標にしているのは、「脳神経のプロフェッショナルによる地域のかかりつけクリニック」です。専門性の高い脳神経外科は、多くの方が「大きな病院へ行かなくてはいけないのかな……」と考えますが、実は頭痛や物忘れを含めて、クリニックでもほとんどの場合、総合病院と同等の診断や治療ができます。もちろん手術や入院が必要となれば、総合病院と連携を取って対応を行います。予防の観点では高血圧など生活習慣病もきちんと診るのもかかりつけ医の役割ですから、一般内科にも十分対応できるようにしています。私だけでなく看護師や理学療法士、作業療法士もしっかり研鑽を積んだスタッフが集まっていますので、安心して来院してくださいね。
こちらの強みと特徴を教えてください。
まずMRIがあることが特徴です。近年の脳神経外科の診断では、MRIがなくてはならないものになってきています。そのため、当クリニックでもAIが搭載された先進型の1.5テスラMRIを導入しました。AIが搭載されているため、3テスラのものとも引けを取らないきれいな画像が撮れます。さらに、従来のモデルだと20分かかっていた検査が10分程度に短縮できるため、お子さんや高齢者、閉所恐怖症の方も負担が少なくなっています。もう一つの特徴は、脳神経に強みを持ったリハビリが提供できることです。脳の病気で症状があっても、正しいアプローチでリハビリを行うことで症状の改善がめざせます。経験豊富な理学療法士・作業療法士が、必要な器具を十分そろえておりますので、安心してリハビリテーションを受けることができます。
物忘れの治療に注力されているそうですね。

誰しも多かれ少なかれ物忘れはあると思いますが、生活に支障を来すようなものは病的な要因が考えられます。例えば、コンロの火を点けたまま忘れてしまった、物忘れで仕事に影響が出るなどの症状があれば、受診してもらったほうが良いでしょう。画像検査や採血では正常圧水頭症や甲状腺機能低下症など、治療可能な物忘れの原因を探します。それらが否定され、脳の萎縮によるアルツハイマー型認知症、その一歩手前の軽度認知機能障害という病態の場合でも、薬や生活習慣の改善、運動で症状の改善が見込めたり、進行を遅らせることが望めたりできます。当院では、物忘れの改善に有用な脳トレを取り入れた集団リハビリも実施。リハビリスタッフの中には、認知症サポーターもいるため、ご家族に認知症の方との付き合い方や対処法も相談できます。
患者一人ひとりに合った治療法で生活習慣病もサポート
患者さんと接する時は、どのようなことを大切にしていますか?

患者さんのお話をしっかり聞いて、一人ひとりに合った解決策を提案したいと思っています。例えば、糖尿病や高血圧症で食事の指導で「これだけ塩分を減らしてください」と言っても、これまでの食事方法や好き嫌いもあるでしょう。そんなときは「食事制限はここまでにして運動しましょう」とか、甘いものが好きな方には「おやつをやめてフルーツにしましょう」など、その方に合った続けられる治療法を提案します。脳の病気で来院する患者さんは、生活習慣病を合併しているケースが多いです。脳の病気だけでなく、生活習慣病も診られるのも当クリニックの強みなので、一人ひとりに合った解決策を提案して、総合的にサポートします。
スタッフさんについて教えてください。
当院のスタッフは10人。放射線技師2人、看護師2人、理学療法士2人、作業療法士1人に検査技師と受付がいます。職種が多いため、人数は多いですが、各職種は少数精鋭です。スタッフの教育方針は、なるべくなんでもできるようになってほしいということ。職種の壁にこだわらず、看護師でも検査や医師の補助をするなど、幅広く挑戦してもらっています。日々の診療では、急性期病院の経験が長いスタッフが中心となって動いてくれています。当クリニックの患者さんの多くは軽い症状ですが、2割程度は重篤な疾患の方がいます。急性期の経験があると、重篤な方に慣れているため、スムーズな対応が可能です。
最後に読者へのメッセージをお願いします。

当クリニックは「気軽に受診できる脳神経外科の専門クリニック」をめざしています。頭痛や物忘れなど軽い症状の方も気軽に来ていただければ、なるべくお待たせせずに診察させていただきます。MRIも即日検査できる体制を整えていますので、ぜひご利用ください。AIを搭載した先進のMRIできちんと診断し、経験豊富な理学療法士と作業療法士がリハビリテーションまで対応いたします。また、当クリニックでは、脳ドックも実施しています。ご家族に認知症や脳梗塞などの脳疾患を患った方がいるなど、症状がなくても不安がある方は脳ドックをご検討ください。
自由診療費用の目安
自由診療とは脳ドック/1万7800円~、個別リハビリ/40分7000円、60分1万円、集団リハビリ/週1コース(1回90分)7200円/月