安江 千尋 院長の独自取材記事
天王寺やすえ消化器内科・内視鏡クリニック
(大阪市天王寺区/天王寺駅)
最終更新日:2024/12/02

大阪・天王寺の地で2024年12月に開業を予定している「天王寺やすえ消化器内科・内視鏡クリニック」。院長の安江千尋(やすえ・ちひろ)先生は、がん研究会有明病院などで胃がんや大腸がんの治療に携わってきた日本消化器病学会消化器病専門医。特に内視鏡の分野において多くの経験と高い技術を持つ。同院では、胃や大腸、肛門のトラブルに幅広く対応しながら、痛みやつらさが少ない内視鏡検査に力を入れていく方針だ。安江院長は「内視鏡検査をできるだけ多くの方に受けてもらい、胃がんや大腸がんで亡くなる方を減らしたい」と意気込む。穏やかな人柄で、なんでも相談できそうな安心感のある安江院長に、開業に至るまでの経緯や同院で行う内視鏡治療の特徴、診療にかける思いなどを語ってもらった。
(取材日2024年11月15日)
胃と大腸の内視鏡検査を気軽に受けられる身近な存在に
高級感と清潔感にあふれた、とてもすてきな院内ですね。

症状がない人でも気軽に受診できるクリニックにしたいという思いがあったので、あえて病院らしくはせずにホテルライクな雰囲気を意識しました。院内には内視鏡検査のリカバリースペースのほか、下剤を飲むための個室も3部屋用意しています。個室には無線LANやテレビを完備しているので、検査前後の時間をリラックスして過ごしていただけると思います。内視鏡検査室は、今は1つですが、ゆくゆくは2部屋に増やし、より多くの検査を行えるようにしていきたいと考えています。天王寺駅から歩いてすぐの場所にあるため、周辺にお住まいの皆さんはもちろん、通勤で天王寺駅を利用している方や沿線にお住まいの方にも利用していただけたらうれしいです。
医師をめざしたきっかけや、消化器を専門に選ばれた理由を教えてください。
子どもの頃にお世話になったかかりつけの先生が素晴らしい方で、体がつらい時にはいつも助けてくれる、当時の私にとってはスーパーマンのような存在だったんです。自分の家族以外にも信頼できる大人がいるというのは、とても心強いものでしたね。成長してからもその先生のことが印象に残っていて、自分も誰かを支えられる存在になりたいと考え、医師を志しました。消化器を専門に選んだのは、卒業後にいろいろな科を回った中で一番興味を持ったのが内視鏡による検査や診断、治療だったからです。カメラ1本で小さな病変を見つけ出し、細かな技術で取り除いていくという点に憧れました。内視鏡をやりたくて消化器内科を選んだ、というかたちですね。
これまでのご経歴についてもお聞かせください。

私は防衛医科大学校の出身です。はじめは自衛隊所属の医師として各地を転々としながら消化器に関する幅広い疾患を診療し、国立がん研究センター東病院や現在の大阪国際がんセンターで内視鏡の腕を磨きました。もともと内視鏡がやりたくて消化器内科を選んだということもあり、最終的には自衛隊を辞めて、がん専門病院であるがん研究会有明病院へ。下部消化管内科で約8年間にわたりがんの内視鏡検査や治療、ほかの病院での指導などに携わってきました。内視鏡の中でも専門とするのは大腸の分野で、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)という治療を得意としています。内視鏡によって胃や大腸の粘膜下層の病変の切除を図るというもので、内視鏡の中でも特に高度な技術が必要とされる治療です。
先進の内視鏡と医師の技術で見逃しのない検査をめざす
開業を決意した背景には、がん専門病院でのご経験があるそうですね。

直近まで働いていたがん研究会有明病院では、さまざまながん患者さんを診てきました。幸いにも早期にがんが見つかり大事に至らずに済んだ方もいれば、見つかった時にはがんが全身に転移し、残念ながら亡くなられた方もおられました。終末期の患者さんの中には「もっと早く、検査や医療的アプローチができていれば……」と思わずにはいられない方も多く、早期発見・予防医療のための検査の重要性を強く感じてきました。そうした理由から、内視鏡検査を一人でも多くの人に受けてもらえるクリニックをつくり、これまで積み重ねてきた経験や技術を還元していきたいと考え、開業することに決めました。
クリニックではどのような診療を受けられますか?
腹痛や吐き気、胃もたれ、下痢、痔といった胃や大腸、肛門のトラブルをはじめ、肝臓や胆嚢、膵臓も含め臓器に関する症状に幅広く対応します。必要に応じてエコー検査やCT検査、内視鏡検査を行い、病気が見つかった場合にはすぐに連携する医療機関に紹介できる体制を整えています。がんの早期発見・治療につなげるため特に内視鏡検査に力を入れ、胃と大腸の同日検査にも対応します。胃カメラに関しては、嘔吐反射が少ない鼻からの検査を選ぶこともできますし、検査に対して恐怖心が強い方や過去に受けた内視鏡検査でつらい思いをしたという方は、ほとんど眠ったような状態で検査を受けていただけるよう鎮静剤を使うこともできます。
こちらの内視鏡検査の特徴やこだわりを教えてください。

当院では、初めての方でも安心して受けられる内視鏡検査をめざしています。経鼻内視鏡や鎮静剤など、ご自身に合った方法で楽に検査を受けられるよう丁寧にサポートさせていただきます。内視鏡は大学病院でも使われている先進の機器を導入し、これまで研鑽を重ねてきた私の診療技術と合わせて、非常に質の高い内視鏡検査が行えるよう環境を整えています。大学病院レベルの内視鏡検査を気軽に受けられるクリニックにしていきたいですね。大腸がんや胃がんを早期発見するためには、内視鏡検査を行う医師の経験や技術が最も重要ですが、大腸ポリープの発見などを支援してくれるAI機能も活用し、人間と機械、双方の視点から見逃しがないよう努めていきます。
患者が不安を感じないよう丁寧な説明や対応に注力
診療において大切にしていることを教えてください。

病院での検査中というのは、何をされているのかわからず不安に感じる場合が多いと思います。そのため、検査が終わった後には実際の写真などをお見せしながら、現状や治療についてわかりやすく説明することを大切にして、その際、患者さんから質問があれば、時間の許す限り一つ一つお答えするようにしていきたいです。これまでも内視鏡検査中に関しては、「すぐに終わりますからね」など優しく声をかけたり、背中に手を添えたりすることで患者さんの不安や緊張をほぐしてあげることを心がけてきました。必要な方が毎年検査や診療をしっかり受けていただけるよう、安心して受診できる環境というのを何よりも大事にしていきたいと思います。
お忙しい毎日を過ごされていると思いますが、リフレッシュ方法はありますか?
大阪に来てからは、朝に大阪城の周りをランニングするのが日々の日課になっています。考え事をしながら走ったり、時には何も考えずに音楽を聴きながら走ったり、ちょっとした自分だけの時間になっています。休みの日は、子どもと公園や温泉へ出かけることが多いですね。最近、滋賀の彦根城に行った時に、日本の100名城を紹介するガイドブックを手に入れたので、子どもと一緒に関西周辺のお城をいろいろ回りながら、スタンプラリーを楽しみたいと思っているところです。
最後に、読者にメッセージをお願いします。

患者さんにとって快適で負担の少ない内視鏡検査を行うというのはもちろん、これまでの経験を生かして見逃しがないよう努めています。内視鏡検査をどこで受けたらいいか迷っている方や、過去に受けた内視鏡検査でカメラを入れるのが大変だったなどつらい思いをされた方も、ぜひ当院にご相談ください。当院であれば安心して検査を受けていただけると思います。今は鎮静剤を使うことで、昔よりもずっと楽に検査を受けることが望めるということも積極的に発信していくつもりです。天王寺やその周辺にお住まいの方で、胃がんや大腸がんで亡くなる方をゼロにすることをめざして診療に取り組んでまいりますので、これからどうぞよろしくお願いいたします。