高原 太郎 院長の独自取材記事
【2025年4月開院予定】高原クリニック イノベーティブスキャン
(世田谷区/経堂駅)
最終更新日:2024/12/04
【2025年4月開院予定】※開院前の情報につき、掲載情報が変更になる場合があります。
2025年4月、世田谷区経堂に新しいクリニックが誕生する。MRI装置を用いて全身のがんを検査するDWIBS法を考案した高原太郎院長が運営する「高原クリニック イノベーティブスキャン」だ。イノベーティブ(創造的な)という言葉には「ほかと一線を画す高品質な画像診断を提供する、これまでにないクリニックに」という高原院長の思いが込められている。がんのことは気になるけれど、多忙で検診を受けられない働き世代のニーズにも対応していく予定。オンライン予約・短時間検査という手軽さに加え、経験豊富な医師が気になる部分にフォーカスして検査するオーダーメイド性など、多様な特徴を持つ同院について、高原院長に話を聞いた。
(取材日2024年10月24日)
DWIBS法考案者が提供する高品質の全身画像診断
まずはこのクリニックの特徴を聞かせてください。
当院はオーダーメイド検診・画像診断を中心としたクリニックです。私自身が2004年に考案した、MRI装置で全身のがんやその他疾患を検査できるDWIBS法を用いた検診を行います。当院の検診の特徴の一つが、患者さん一人ひとりに合わせたオーダーメイド検診であることです。一般的な検診はだいたいメニューが決まっていて、撮影も事前に決まった流れで行い、後で静止画を見ながら異常があるか否かを判断することが多いと思います。当院の場合は撮影中に少しでも異常があればそこをクローズアップして細かく診るというように、臨機応変に検診内容をアレンジすることができます。撮影をしながら診断をしているようなイメージですね。これによって見逃しが減り診断の精度が上がりますし、必要な処置を迅速に行うことができます。今後は、検査とともに内科などさまざまな分野に精通した先生方との連携によって、早期治療にも力をいれていく予定です。
なぜそのようなオーダーメイド検診が実現するのでしょう。
これには検診を行う医師が撮影と診断、両方の技術と経験を有している必要があります。私は医師になって最初の3年間、朝から晩までMRIの撮影に携わっていました。通常は撮像は技師、診断は医師というように担当が分かれるのですが、当時はMRIの黎明期であったため、医師も技師も区別なく撮影を勉強しました。そんな環境のおかげで、私は撮影と診断の両方に精通することができたのです。当院はMRIで表示している内容をリアルタイムで別の部屋のディスプレーに表示できる仕組みを整えました。2階で画像診断をしている私が、撮影中の技師に指示をしたり必要に応じて撮影に加わったりという対応が可能です。
どのような人に検診を受けてほしいとお考えですか?
毎年定期的に検診を受けている方だけでなく、ずっと検診を受けていなかったけれど、ある日何か異常を感じたという方が駆け込める場所にしたいと思っています。特に当院の乳がん検診は痛みもほとんどなく15分ほどで終了しますので、忙しい女性にも受けていただきやすいと思います。基本的にはがんの発見を目的としていますが、実はMRIによって副鼻腔炎やヘルニアなどがん以外の病気が見つかることもあるんですよ。足がむくみやすい女性は多いと思いますが、MRIではむくみの状態もわかりますので、圧迫やマッサージなどを行う「むくみ」に特化した外来も開設予定です。がん検診なのでがん以外の病気はフォローしない、ということは決してありません。
外来経験で培った「伝える力」で患者をサポート
高精度な検査に加え、結果の伝え方にもこだわりがあるそうですね。
検査結果に異常があった場合は対面で説明しますし、そうでなかった方にもレポートで丁寧にお伝えするのが当院の方針です。レポートはAやBといった記号などの端的な判定ではなく、具体的にどうすべきかを伝えることに意味があると考えています。医療機関を受診したほうがいいのか、このまま様子見でいいのか、ご本人が判断するのは難しいでしょうから指針を示すようにしています。こうした対応には、2年間小児科外来を務めた経験が生かされていると感じます。保護者の方は自分のこと以上にお子さんを心配して悩んでいらっしゃいますから、深刻な病状でないときは「そんなに心配要らないですよ、このまま様子を見ましょう」というように、具体的な言葉をかけると非常に安心してくださるんです。これは放射線科での画像診断だけでなく、外来も経験した自分の強みだと思っています。
先生のこれまでのキャリアを聞かせてください。
医学部卒業後に大学病院の小児科に勤務しました。保護者の悩みを解決して差し上げることや子どもと接することにやりがいを感じ、これが天職と思ったこともありました。しかしある日、書籍に掲載されていたMRIで撮影した脳のタテ切り画像を見て衝撃を受けました。私は以前から、ロボットやコンピューターに関わる工学にも興味があったのです。その日からどうしてもMRIに携わりたいと考えるようになり、栃木県の大学病院の放射線科に勤務することを決意しました。本当はMRIの担当は数ヵ月でローテーションする予定でしたが、私があまりに熱心に勉強していたので、何年間も担当させてもらうことができました。MRI装置は原理が非常に難しいのですが、ここでMRIを深く理解できたおかげで、後にDWIBS法を考案できたのだと思います。その後は聖マリアンナ医科大学放射線科に勤務し、CTや血管撮影などMRI以外の画像診断学全般を習得しました。
DWIBS法を考案した後、すぐに検診に取り入れたわけではなかったと聞きました。
2004年にDWIBS法を考案しましたが、DWIBS法はまず通常の保険診療でのみ用い、検診に取り入れることには慎重でした。しかし2012年に私の母が病気で亡くなり、その通夜の席で父が「自分も最近体調が悪く体重が減っている」と話し始めたのです。早速翌日にDWIBS法で検査したところ、進行した大腸がんが見つかり、父親も約1年後に亡くなってしまいました。もっと早くDWIBS法を使っていたらと強く後悔し、それを機にDWIBS法を検診に採用することを考えるようになりました。ちょうどその頃、乳がんの患者さんが増えているという情報を目にしました。そこで、乳房領域において診断機能を高めたMRI乳がん検診も考案し、理解が得られた4つの病院で2017年から開始しました。
心配事があれば、いつでも駆け込める場所に
検診を受けるべきか迷っている方にアドバイスはありますか?
がんの早期発見・治療につながることはもちろんですが、MRIでは脂肪肝、むくみ、骨粗しょう症などほかの病気や自分の体質も無被ばくで明らかにすることができます。自分がこれまで知らなかった、自分の健康状態を知ることができるわけです。それを把握した上で、適切な対処を行いながら快適に生活して行くことが大切なのではないでしょうか。検診の結果、医療機関の受診や通院が必要になった場合は、患者さんの住んでいる場所や病状に合わせて適切な医療機関を紹介する橋渡しも行います。ここでも、当院のレポートの精密さが役に立つのです。本人だけでなく、治療をバトンタッチしたほかの医師がレポートを見て、患者さんの病態を詳しく正確に把握することができますからね。
クリニックの内装や外装も素敵ですね。
できるだけこだわって、清潔感と高級感のあるクリニックに仕上げました。そして経堂という町になじむ温かみと、おしゃれさも兼ね備えた雰囲気にしたつもりです。院内の壁に配置した複数の大型ディスプレーにはさまざまな絵画を映し出していますので、ぜひそれも楽しんでいただきたいですね。そして2階はカフェスペースになっています。開業後はカフェでイベントなどを開催することも考えています。
読者にメッセージをお願いします。
愛着のある地元に貢献したいという思いで、経堂に開業することとなりました。患者さんの気になるところにフォーカスする高精度のオーダーメイド検査は、ほかの医療機関とは異なる当院の強みだと思っています。そして何か病気が見つかった場合は、患者さんを速やかに正しいところに導くことができるクリニックでもあります。胸にしこりがある、下痢や便秘が続く、咳が出るなど何か心配事があればいつでも駆け込んでください。